古伊万里の中でも人気の高いジャンルとそうでないジャンルがありますが、蓋茶碗などは比較的に人気のないジャンルかも知れません。
私がまだ古伊万里初心者だった頃、この世界の大先輩に「蓋茶碗なら良い品でも意外に安く買える」と教えられた覚えがあります
そんな訳で、今回はウチに3個しかない蓋茶碗の中で、一番手の掛かったと思われる品を紹介したいと思います。
「染錦手蓋茶碗」
直径12.5cm、高さ7.5cmほどの大振りの蓋茶碗ですが、これくらいのサイズになると「蓋物」と呼ぶべきなんでありましょうか。
外側は八個の区画に割られ、それぞれ対角線上に同じ文様が描かれています。
文様①
赤玉に金彩、外側は唐草。この文様だけは4カ所に描かれています。
文様②
青玉の中に金彩、外側の地紋も赤
文様③
青玉に金彩ですが、外側の地紋は緑と紫
内側も手抜きはありません
身と蓋に同じ文様が描かれています
縁文様もカラフルに描かれています
ひっくり返すとこんな感じで、高台横の赤い渦巻文様がいかにも江戸中期の品といった感じですし、高台内の文様もなかなかですね。
見るからに江戸中期(元禄あたりか)を思わせる豪華な蓋物で、蓋茶碗としては高い部類ですが、同時代の上手の色絵皿よりは随分安かったように思います。
それにしても、こんな豪華な茶碗、誰が使ったんでしょうか・・・
この手の器にありがちなことですが、蓋の収まりは良くありません。
この器が5客とか揃ったら、さぞや豪華だと思いますが、なかなか見かけないのも現実です
一度、何かを盛って見ようか思うものの、意外に難しそうです。
「豪華絢爛」ですが、そこは国内向けの品ですんで、適度な落ち着きはあるように感じます。
これくらい派手な品になると、何を盛っても器の方に目が行きますよね。
蓋茶碗は、確かに、比較的に安いかもしれませんが、これは、大きさといい、豪華さといい、蓋茶碗というよりは蓋物ですね。
普通、蓋茶碗の場合は、蓋がもっと本体にめり込みますものね。
これに、どんな豪華な料理を盛ったのでしょうね(^-^*)
俗に流れず、凛とした品格があります。
染錦類のお手本ですね。
このような器をどんな人が使ったかと同時に、何を入れたかが興味あります。
ご飯ではちょっとそぐわない?