Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 38(雪輪紅葉文皿)

2020-01-10 20:26:01 | 古伊万里
今年は全国的に暖冬のようで、酒田でも未だに翌日まで残るような雪は降っていません
雪国に暮らす人間にとってはありがたいことなんですが、スキー場と除雪を請け負っている会社は困っているようです。

さて、そんな訳で今回は雪にまつわる文様の小皿を紹介しようと思います
「染付雪輪紅葉文皿」です。

柴コレに似たようなデザインの品が収蔵されており(図録番号2-227)、1660~80年代と記されています
雪輪文を三つ描き、このうち中央の雪輪文だけを「輪」の部分を太くして塗りつぶすことで変化をつけており
さらに残りの雪輪のうち一つを大きな雪輪と重ねることでバランスを取っているように思います。


雪輪の中には花文が散らしてあり、さらに雪輪の外側には紅葉文が描かれていますので、季節感という点では「?」という感じもします。
そこで「雪輪文」についてネットで調べてみたところ、下記のように解説してありました
「雪の結晶を文様化したもので、雪片の六角形の輪郭を円形に描いた線の文様で、季節感にとらわれず、夏の装いに涼しさを求めて使われることもある文様です」
だそうです。早い話が季節にとらわれない文様ということなんでしょうか。


裏面については量産品でならではの筆の早さが感じられますね。


マルバネアカネタテハ

2020-01-05 23:14:24 | 
昆虫の中でも蝶が一番大好きなんですが、蝶の標本というヤツは何分にも伊万里と違い保存が大変でありまして
密閉性の高い標本箱(通称ドイツ箱)が必要ですし、最低でも年に一度は防虫剤の入替が必要、さらには、直射日光はダメといった制約があります。
そんな事もあって、がさつな性格のワタシには向かないことを悟り、蝶標本についてはずっとお休み中だったりします。

それはともかく、今日紹介するのは青が美しい「マルバネアカネタテハ」という蝶です


翅を開いても5cmに満たない小さな蝶ですが、この美しい青はアグリアス(ミイロタテハ)に匹敵する美しさがあります
この蝶が属するムラサキタテハ族(Epiphilini)は南米を中心に分布しており、美麗な種類が多いようです。


さて、この青い蝶になぜ「アカネタテハ」という和名が付いているのか、裏面を見ると判ります


後翅の基部にまるでペンキでも塗ったような毒々しいばかりの「赤」が広がっています
訊いたことはありませんが、恐らくはこの「赤」がアカネタテハの名前の由来であることは確かだと思います。
さらに驚くこととして、裏側も緑っぽい金属的な光沢を放っている点があります、「ジャングルの宝石」であるアグリアスでも
裏面に金属光沢はありません。美しいというよりは「夜の蝶」でも表現したいようなケバケバしさであるとも言えるでしょうか。



回想の古伊万里37(青磁色絵鮑形皿)

2020-01-04 23:31:02 | 古伊万里
 いつも素晴らしい品と見せていただいている、遅生さんのブログで初期青磁の凄い品が登場しましたので
「よっしゃ!、ならばウチも青磁だ」という訳で、ちょっとだけ探したんですが、やはりショボい品しかありませんでした。

青磁色絵鮑形皿、横15cmほどの品で、絵付けの感じから一般的には柿右衛門青磁と呼ばれるタイプの品だと思います



この品を購入したのは今から10数年前で、正直なところ縁に広範囲の直しがありコンディションは良くありません
当時は見込部分の絵付けが気に入って購入したように思いますが、今になって考えてみると

1.柿右衛門様式の青磁色絵はたまに見かける
2.鮑形皿も延宝から後期まで存在し、特に珍しくはない
3.青磁色絵の柿右衛門様式で、なおかつ鮑形の品となると類品をほとんど見かけない

という自分勝手な思いが強くなったのも事実でしょうか。



裏側の色絵の青で絵付けされた唐草文は、延宝期の品で見かけますし、18世紀中盤以降の鮑皿は丸い高台をしているようです。
また、紫口鉄足ではありませんが、高台部分を見ると鉄分の多い土が使われたのでは?、と思えなくもありません

伊万里においては鍋島を除くと青磁の人気はイマイチですが、たまに面白い品があるのも確かのようです。

デタニツマベニチョウ

2020-01-01 22:54:06 | 
酒田では大晦日から元旦にかけて雪模様の上に強風が吹く荒天でしたので、初日の出など見れようはずもありませんでしたが
とりあえず、初日の出をイメージできるような蝶(?)を紹介したいと思います。


このオレンジ色に輝く蝶は「デタニツマベニチョウ」で、日本でも鹿児島や沖縄に生息している大型のシロチョウである「ツマベニチョウ」の亜種です
この蝶はインドネシアのスラウェシ島の近くにあるペレン島で発見されたんですが、発見したのが日本人の出谷裕見さんという人で
発見者の名前を取って「デタニツマベニ」と命名(学名Hebomoia leucippe detanii)されています。
↓は裏面です


さて↓の白っぽい蝶の画像はウチにある普通のツマベニチョウの標本、そして前翅がオレンジ色なのは、ウチに標本がないんで借りてきた「ヒイロツマベニチョウ」の画像です。


ツマベニチョウはその名の通り翅の先端だけがオレンジ色で、ヒイロツマベニは前翅がすべてオレンジ色、そしてデタニツマベニは全体がオレンジ色です
ちなみに、ペレン島ではツマベニチョウとデタニツマベニチョウが混生しており、交雑したと思われる両方の特徴を持った個体も見つかっています
詳しくは知りませんが、全体が濃いオレンジ色の個体は徐々に姿を消しているようで、発見された当初のような美しい個体は得られなくなっているようです。