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マリアビートル 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2010-09-23 |
マリアビートル 伊坂幸太郎
グラスホッパーの続き。物騒なことを請け負う業者の方々がなぜか東北新幹線に集結し、密室で高速移動していて人間模様があるという列車サスペンス。タイトルのマリアビートルはてんとう虫。てんとう虫と呼ばれる七尾という運に見放された業者が登場する。でも…主役は誰なのかな?
不気味な中学生王子様が考える人間の行動は、おそろしいけれど、伊坂幸太郎が他の作品でも繰り返し訴えていることのような気がする。
「その判断が重要で、しかも、正解がはっきりしない、答えにくいもの」の判断を迫られたとき、人は他人に同調しやすくなる、ということ。
たしかにね。今から15年くらい前に公団がスケルトンインフィルの住宅を販売して、好きにデザインしてカスタマイズすることができますよ、と売り出したところ、ほとんどの消費者がモデルルームと同じにしてくれ、と言って、全くオーダーメードの意味がなかったということを思い出した。人は自由がいい、といいながらも、自由にしていいですよ、と言われると困ってしまうものなのだと…
テレビや新聞の情報はあてにならない、という意見も、実は誰かが言ったその意見に同調しているだけかもしれない、とか…
話自体も面白いけれど、会話の中などで展開する伊坂幸太郎のその考え方が、私は好きです。