歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

俄雨

2009年08月10日 | 徒然 -tzure-zure-
ひさしぶりに

「あ、いたた」と思うくらい
ピシピシピシッ!と肌を撃ちつける
強(したた)かな雨を 浴びました。



真昼の夏の、にわか雨。

少しぬるくて

香りは甘い。




 *


八月。

台風の前触れのような 甘い 重たい雨が降ると

サルスベリを、探してしまいます。



ほわほわの紅い花が 容赦ない雨の平手打ちで
たっぷり落とされて

きれいな ほわほわのじゅうたんを作ってないかな と。



でも
残念。

花のほうも、そんなにやわじゃない。

咲いたそばから そう簡単に、どっさり落ちてたまるか。
と。




散っても 心ばかり。


夏の花は、雨に負けじと したたかです。

春の花は、雨に打たれると
あっけなく散って
見事なじゅうたんを作ります。

たとえば、サクラのような。
たとえば、アカシアのような。

雨に散ってしまう春の花の、あの
「生の儚さ」は
夏の花には 無くて

熱帯からおしよせる 甘い雨を 勢い良く飲み干すくらいの
明るい「生の強さ」が、
夏の花には あります。

ひと雨降るごとに
あからさまに ぐんぐんっ!と、伸びてゆく。
強(したた)かな、
「生の強さ」。



強かな雨。 強かな花。

その「強さ」に
びっくりしながら。


しこたま濡れすぎて
服もびっしょりで、真っ黒。
「もう、どうだっていいや」
って、

ギブアップ。良い意味で。

いいよ、思う存分、濡らしていいよ、もう。
ギブアップ。


という、
コインランドリーへ行く 道すがら。

傘なんか持っていなくて、
びっしょり濡れてしまった バックパック(ぎゅーぎゅー服詰め)を背負って。




ランドリーにつくや

雨はぴたりと 止んでしまった。




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