歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

こぼれた花の色

2011年06月02日 | 徒然 -tzure-zure-
雨。







そういえば、

「歌庭」を開いてから、丸2年になりました。



マメなような、マメじゃないような。

勢いづいたり、ほっぽらかしたり。

気まぐれですが。


おかげさまで、不思議とじわじわ、
訪れてくれる人も増えてくれました。

どうも、ありがとうございます。





そして、

今お世話になっている会社で「ガーデンプランナー」なんて肩書きで働くようになってから、

丸1年。


おかげさまで、結構な数のお庭を作ってきました。

たった独りの「野口造園」だけじゃ到底出来なかったいろんなことを、
やらせてもらえて。

怒涛の勢いです。
まったく、よう働いております。



そんなわけで、

なにげに、節目だったりする、今日この頃です。





会社の事務所の庭は、




一見無作為的な、ほっぽらかし系の、
よくいえば‘自然風’の庭ですが、

バラが咲いたり、ミントが茂ったり。
楽しげです。


エニシダの花が終わって、

シルバープリペットが咲き始めています。
西洋イボタノキ、とも言います。


ケータイで撮ったら、
なぜかピンクがかって、しかもぼんやりにじんで光って、写りました。
ほんとはもっと、白いです。

バラも、もっと白っぽいのに、ピンクが強く写っています。






ところで、

いつも写真は、デジカメか、ケータイで撮っています。

一応、興味がある方だけに向けて 紹介しますと、

デジカメは、
オリンパスのμ1030SW。水にも衝撃にも強い現場向きのもの、最大10.1メガピクセル。

ケータイは、
ソフトバンクのSHARP製の、水に濡れても大丈夫なはずのやつ。最大3.2メガピクセル。


上記の通り、

雨でずぶ濡れになっても・コンクリートに落っことしても・粉塵にまみれても
とりあえず 大丈夫そうな、
「強さ」を基準に、選びました。
デジカメは、プロフェッショナルのキャメラマンご推薦のもの。



ケータイは、そんなに旧くないんだけど、
落っことしたり泥の軍手で持ったりで、もうボロボロ。
なので、
カメラのとこにも、傷っぽいものが。

それで、最近はこんな風な、ピンクがかって滲んだような天然加工が入るんでしょうかねー。


ちなみに
一番上のは、ケータイと違います。デジカメの方で撮った、エゴの花。





改めて比べると、なんとなくわかりますね。


このエゴの花は、
八王子の方にある、加工場・兼・資材置き場のそばで。


こぼれ種か、実生(みしょう)で生えた小さな、膝丈くらいのエゴの木が、

木から離れた用水路のがけっぷちに、生えていました。




ちゃんと花も、たわわに付けて。



かわいいつぼみ。

ガクがまた、かわいい。





石を切ったりする加工場は、
やぶみたいな小さな山と、畑に囲まれています。

小さな谷の中にあります。


小さな農村の風景。




畑のある風景。


土の香。


なんだか懐かしい、谷あいの畑の風景。




謎のふくろう。




エゴの木にかぶさるように、すぐ隣りには、




朴(ほお)の木。





花は、
すんごく芳醇な甘い香りがするはず。

あたりに、空気の流れとともに、漂ってきて。


遠くからでも、わかるほど。




もう、落ちています。

朴の花の かたびら。


モクレンに、そっくりです。







エゴの花も、







だいぶ、散りしきっています。



花のじゅうたん。

白は茶色に褪せていきます。

落ちてから時間が積もって、すでにずいぶん、褐色ばんでいます。


でも、
新しく落ちたばかりの真っ白に目がいくせいか、

改めて写真を見るまでは、「真っ白なじゅうたんだったな」と、思っていました。


思い出を 綺麗なように収めたいのか、
ぼやんとした 記憶の力。

茶色は、見ていたはずだけど、
なんとなく忘れて。

憶えているのは、
濡れて深まった緑の中の、
ほんのり滲む 真っ白い、点々。

その、真っ白い、綺麗な記憶。

多分、綺麗な感傷に重ねて。


しんとした、ちいさな風景の、ちいさな記憶に重ねて。







時間を置いて書く段になって、
その瞬間のあれこれを 思い出そうとすると、

ついでにじわー~~っと、思い出されることがあります。

その時はあんまり気にもとめず、
けろっと忘れていたこと。


空気のにおいとか。(においって、結構忘れてしまうけど、思い出そうとするとすごく鮮明に思い出したりする。)

鳥が、けっこう啼いていたこと、とか。



なんか、尻尾がやけにまっすぐ長い鳥が 3羽、

まっすぐ連なって、ふわっ、ふわっ、って、微妙に上下しながら(うまく説明できないけど)、
すいっ、すいーっと、滑空していきました。

見事なバタフライを泳いでいるようだったな。



鳥は、全然わかりません。






静かな雨と風で、

あっちの山肌に茂る竹たちが さわさわ揺れて、


こっちの山肌では 小さな白い花が ぽつぽつ、落ちます。




たくさんの音。

耳を澄ませば 随分とにぎやかしいはずだけど、

静か。

気持ちが しん、とします。






しんとして、
しばし眺めているあいだにも、


ポタ、ポタ、と、

白い花は 次から次へと、まっすぐに、降りこぼれます。


ぽた、ぽたんと。

黙って、散っていきます。














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