“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

東海第二原発 延命を止めること

2014年05月26日 10時58分57秒 | 臼蔵の呟き

原子力発電所による発電は電力供給にとどまらない政治問題を提起しています。その解決方法をめぐっては、安倍、自民党政権、経済産業省、経団連が目指す原子力発電にしがみつき、事故の問題を無視し、使用済み核廃棄物の処理の先延ばし路線が1つの方法としてあります。この方法が、様々な問題を発生させています。

1番目に問題は、原子力事故の不安がなくならないことです。福井地裁の判決が示す基本的人権、人格権、生存権が確実に守れないことです。立地自治体への投資、税制上の優遇措置などと引き換えにならないような、大きな損失と引き換えに再稼動、存続をさせることなどは憲法の掲げる基本的年から行っても容認できるようなものではありません。2つは、使用済み核廃棄物の再処理、最終処分場がない問題です、最終処分場がなく、原発を稼動させる限り、核廃棄物はどんどん増え続け、その保管場所がなくて、原発敷地が物理的にパンクする事態も想定されています。また、都市部から遠く、過疎化した地域に廃棄したい、最終処分をしたいと考える政府、電力会社によって最終処分地の選定が行われています。しかし、候補地では反対と賛成で分断が発生し、政治的な対立が発生します。3つ目に問題は、廃炉技術がありません。しかも、稼動年数40年を上限とした法律上の縛りから、多くの原発が、今後、廃炉を迎えることになっています。その技術、廃炉費用、廃炉に伴う汚染物の処理などがありません。4つ目は、安易に原子力発電に頼ろうとすることから再生可能エネルギーの開発が消極的、出来ないでいます。電力会社が大規模再生可能エネルギーの発電を買い取らないために、企業の投資も止まる、停滞する状態が生まれています。

原子力発電を止めて、廃炉にする道が2つ目の選択です。この選択には長期的に見て展望があります。この道の最大の長所は、原子力事故の危険から開放されると言うことです。避難計画の策定も必要がありません。安心して立地自治体、消費地も生活が送れる権利が保障されます。また、使用済み核廃棄物の最終処分場確保も必要なくなります。これまでの分を処理しなければならないことは残りますが。第二に、このことで貿易赤字も大幅に減少することになります。化石燃料に頼る発電を減らすことができるからです。再生可能エネルギーの開発投資に伴う産業の拡大は新たな雇用を生み出し、景気の好転にも寄与することができます。

場当たり的なエネルギー政策を止めて、中長期的な展望にたった、再生可能エネルギー重視政策を進めるべきです。その道にこそ、未来があるのだということを国民に政府が責任を持って説明をすべきです。

<毎日新聞社説>東海第二原発 延命より経営見直しを

 日本原子力発電(原電)が東海第2原発(茨城県東海村)の安全審査を原子力規制委員会に申請した。地元の同意を得たうえで、2016年度以降の再稼働を目指すという。しかし、安全面からも経済面からも再稼働は非現実的だ。申請は原電のなりふり構わぬ延命策に見える。急ぐべきは、原発稼働ができないことを前提にした、抜本的な経営形態の見直しである。

 東海第2原発は営業運転開始から35年余りが経過しており、安全審査を申請中の11原発18基の中では最も古い。原電は防潮堤建設などを含めた安全対策に約780億円を投入する。審査の大きな焦点となるのが、電源ケーブルなどの防火対策だ。

 新規制基準は燃えにくい難燃性ケーブルの使用を求めている。ところが東海第2原発のケーブルは可燃性だ。交換には巨額の費用と時間がかかる。原電はケーブルに防火塗料を塗るなどし、難燃性ケーブルと同等の性能を確保するという。防火対策として妥当か。塗料が劣化する恐れはないか。疑問があり、規制委の審査を通るか分からない。

 東海第2原発から30キロ圏の人口は全国の原発で最多の約98万人。事故に備えた避難計画を策定した周辺自治体はまだない。受け入れ先の確保などが難しいのだ。

 こうした課題を克服し、原電が再稼働にこぎ着けたとしても、東海第2原発に残された時間は少ない。改正原子炉等規制法で原発の運転期間は原則40年とされた。橋本昌知事は毎日新聞のインタビューに「稼働期間と経費のバランスという点で、あまり経済的ではないと感じている」と答えている。その通りだ。

 それでも、原電の頼みの綱は東海第2原発しかない。敦賀原発1、2号機(福井県)と合わせ原発3基を所有するが、11年6月以降はすべて停止中だ。敦賀原発は老朽化や活断層の存在で、再稼働は難しい。

 原電は原発専門の電力卸売会社だ。売電収入はゼロでも、14年3月期決算は黒字を確保した。販売契約を結ぶ大手電力5社から設備維持などの「基本料金」として約1250億円を受け取ったからだ。東海第2原発を再稼働する姿勢を示さなければ、基本料金の説明がつかない。一方で、電力各社の負担は電気料金として消費者にツケが回される。

 原電は日本初の商業原発だった東海原発の廃炉を進めている。こうした経験を生かし、廃炉専業会社への転換などを図るべきだ。電力各社の支援の在り方も問われる。

 老朽原発の廃炉検討を表明する電力会社も出てきた。相次ぐ廃炉にどのような体制で臨むのか。政府も明確な方針を打ち出す必要がある。


世界の政治情勢

2014年05月26日 09時24分27秒 | 臼蔵の呟き

EU,ウクライナ、タイの政治情勢が激しく動いています。EU,ウクライナは経済状況の悪化、失業の増大などが右翼勢力の台頭、外国人労働者への批判などが増加しています。ヨーロッパの財政危機は、ギリシャ、スペイン、イタリアなどに共通して切られる政治危機です。このような財政危機、財政危機回避策による失業問題を改善することが多くの国家の政治課題となっています。

タイは、与党と野党、農村部と都市部中間層の政治的対立を話し合いによって改善しない限り、政治的混乱を解決することができません。その政治混乱を口実として軍部の政治介入、クーデターが合法化されています。

国民の生活の維持と雇用問題は切り離せない課題です。宗教対立、経済状況の悪化、失業率の高止まりが、治安の悪化、政治状況の不安定化を増加させています。民主主義、議会制民主主義の実現と徹底は難しいものになっています。国家間の紛争を話し合いによって解決する流れは大きく、強くなっています。しかし、一方で暴力や、軍事的威圧によって問題の解決をしようとする地域、国もまだまだ、多く存在することは悲しいことです。

反EU勢力が躍進の勢い 欧州議会選、仏で極右が圧勝

 【ブリュッセル共同】22~25日投票の欧州連合(EU)欧州議会選挙(定数751、任期5年)は25日深夜、開票が始まり、議会事務局が発表した出口調査などに基づく各会派の推計獲得議席によると、「反EU」を唱える極右などEUに批判的な勢力が各国で躍進の勢い。

 フランスでは極右の国民戦線(FN)が得票率約25%で圧勝し、同国の74議席のうち23~25議席を獲得してトップとなる見込み。

 EU全体では、中道右派の欧州人民民主党が212議席で最大会派の座を維持するが、現有議席より約60議席を減らすと予測した。

ポロシェンコ氏が優勢 ウクライナ大統領選

 【キエフ共同】混乱が続くウクライナの大統領選が25日、即日開票された。複数の出口調査によると、実業家のペトロ・ポロシェンコ元外相(48)が過半数の支持を集め、決選投票を待たずに当選する可能性が高まった。同氏は記者会見し「選挙は1回の投票で終わり、ウクライナは新大統領を得た」と述べ、事実上の勝利宣言をした。

 ポロシェンコ氏は欧州連合(EU)への統合路線を推進する考えを表明。ロシアについても重要な隣国だとし「問題はあるが、解決に向けた枠組みが十分にある」と発言。米国、EUを加えた4者協議を通じて対話をしていく姿勢を見せた。

<北海道新聞社説>タイクーデター 国際的信頼を失う暴挙

 タイの混乱は極めて深刻な事態に陥った。軍のクーデターがまたも繰り返され、タクシン元首相派の現政権は崩壊した。軍は憲法を停止し、夜間外出禁止令を発動、プラユット陸軍司令官が権力を掌握した。軍は先に戒厳令を出し、政府や政府支持派、反政府派など対立する当事者同士の対話を促した。政府に対しては内閣総辞職を求めたが、拒否されたためクーデターに踏み切ったという。

 民主主義を根底から否定する暴挙だ。軍の政治介入は断じて認められない。拘束した与野党の政治家らを解放し、速やかに民政を回復すべきだ。

 今後は軍と政府支持派の衝突も懸念されるが、決して国民に銃を向けることがあってはならない。日本、米国など国際社会はクーデターを非難している。

 このため、軍は暫定政権をつくり、一定期間後、総選挙を実施するとみられている。だが暫定政権が反政府派中心で構成されれば、政府支持派の反発は必至だ。汚職で有罪判決を受け海外逃亡中のタクシン氏をめぐる対立が発端となった。与党が昨年、同氏の帰国に道を開く恩赦法案を下院で強行採決し、混乱が広がった。

 タクシン氏の妹のインラック首相は下院を解散したが、2月の総選挙は反政府派の妨害で無効となり、首相自身も今月、政府人事で職権を乱用したとして失職した。

 いずれも憲法裁判所の決定だ。

 タクシン政権も2006年、軍のクーデターで倒された。軍や憲法裁は既得権益層が中心の反タクシン派の代表とみられている。それ以来、農民や貧困層の支持が厚いタクシン派が選挙で勝っても、憲法裁が違憲判決などで首相を失職させる事態が繰り返されてきた。こうした流れを断ち切らなければならない。そのためには両派の対話による合意に基づき、総選挙の早期実現を図るべきだ。 7月の再選挙を求める政府に対し、反政府派は選挙制度などの政治改革を優先すべきだと主張する。乗り越えられない溝とも思えず、歩み寄りは可能ではないか。

 デモ隊と警官隊の衝突などで多数の死傷者も出ている。不毛な対立の最大の被害者は国民だ。混乱の長期化はタイ経済にも深刻な影響を与えている。

 タイでは過去に何度もクーデターが起きた。今度こそ政党政治を確立し、真の民主主義国家にならなければ国際的信頼は失墜する。

 


集団的自衛権の行使容認は許せるものではない

2014年05月25日 12時59分57秒 | 臼蔵の呟き

北海道では自衛隊員が、海外派兵、戦争で死ぬことを前提で、自衛隊に入ったのではない。不安だ。家族からの懸念などが出ているそうです。一般の人ではなくて、戦争になれば、当事者そのものである自衛隊員が不安に感じるのは当然のことです。敗戦後、日本の軍人が、他国の兵員、国民を殺したことがないのは誇るべきことです。その平和憲法の下での平和の時代が、安倍のような狂った人物のもとで戦争をする国になることを許してはならないと思います。

自民党、公明党、維新の会、みんなの党、民主党などが大政翼賛体制を作り、みんなでわたれば怖くない式の国民無視の政治行動を徹底して批判し、次の選挙で落選させることを知らしめる必要があります。国民の多数が、反対することを議員である彼らがしたり顔で、戦争できる国へ改変しようとする行為を止めさせる必要があります。

憲法の改悪、治安維持の根拠となる特定秘密保護法制定、財源となる消費税率引き上げ、戦争を遂行する人材作り、そのための教育制度の反動的再編、世論を彼らによって操作するNHK人事への介入など。これらはすべて自民党、公明党が与党として主導し、野党から維新の会、みんなの党がけしかけ、民主党は何もしないことで自民党を救済しました。このような政治状況に未来はありません。このような政治を終了させる必要があります。そのことが歴史の進歩に貢献することは確実です。

<北海道新聞社説>集団的自衛権 地方の世論 なぜ耳を傾けないのか

 集団的自衛権の行使容認に向け安倍晋三首相が憲法解釈の変更に突き進んでいることに、多くの道民が危機感を抱いている。政治家はこの現実を重く受け止め、正面から向き合わねばならない。道内では、少なくとも札幌市など6市4町の議会が、憲法解釈の変更に関して、反対や慎重な対応を求める意見書案を可決し、政府や国会に提出した。

 札幌市議会は「海外で戦争をする国となる」との厳しい表現で政府の動きを批判している。

 地方からの圧力を緩めず、首相に待ったをかけたい。

 とりわけ、道内選出の国会議員は道民の声に寄り添い、切実な思いを国政に届けるべきだ。

 北海道新聞が今月初めに発表した道民世論調査で、集団的自衛権の行使を「認めない」と回答したのは45%で、「容認する」(40%)を上回った。全国の世論調査では過半数が反対している。

 日本の平和主義がないがしろにされる事態を考えれば、当然の結果と言えよう。だが、首相にはこうした地方の声に耳を傾ける姿勢がない。独善的な政治と言わざるを得ない。

 政府の姿勢を批判する意見書を提出した市町村は、全国で60を超える北海道は長野県に次いで2番目に多く、反対世論の高さを裏付けている。意見書を提出した函館市議会は憲法解釈変更について「海外で戦争をする国につくりかえる」と主張し、小樽市議会は「恒久平和主義の憲法原理と立憲主義に反する」と断じた。もっともな指摘だ。意見書案の採決では、保守系議員が賛成に回ったケースもあった。党派を超えて浸透している。

 国政と異なる「ねじれ現象」は、地域に鬱積(うっせき)する政府への不満を地方議員が敏感に感じ取っていることの表れと言っていい。

 一方で道議会や旭川市議会などは意見書を否決した。住民の不安の声をすくい取り、国政に反映させる。これこそが地方自治の根幹であることを忘れてはならない。

 行使が容認され、有事となれば、自衛隊の施設が集積する道内の隊員が現地に派遣されることも想定される。同様に沖縄が攻撃対象となるとの指摘も説得力を持つ。全国で草の根の反対運動が拡大しているのも、危機意識の高まりからだ。身近な論議を深め、反対世論をさらに拡大していきたい。


百田尚樹の暴言、NHK経営委員の罷免を

2014年05月25日 10時59分46秒 | 臼蔵の呟き

このような人物が籾井会長とともに、NHK経営委員として、組織を支配する構図は許せるものではありません。不偏不党と法律で歌われているにもかかわらず、繰り返し、繰り返し、暴言を繰り返す百田の姿勢は世論に挑戦するかのようでもあります。このような人物をNHK経営委員として罷免もせずに、公共放送を牛耳り、政権の宣伝機関化するために、野放しにする安倍、自民党政権は許せるものではありません。

籾井、百田、長谷川などの言動と、行為を放置することで、NHKの公共放送としての役割を破壊、国民を洗脳することを狙っています。年間6000億円強の視聴料を政権が勝手に利用し、誘導することなどが容認されるはずがありません。また、このような政治的に偏向し、極右人物がNHKと言う機関を腐敗堕落させることを許してはならないと思います。NHK幹部、職員はこのようなでたらめな経営委員の支配下に置かれていることを考えても、一刻も早く、彼らを罷免し、経営委員会を正常化し、機能を果たさせることが必要です。

<時事通信>

「貧乏で泥棒も入らない」=軍隊ないバヌアツなどやゆ―NHK経営委員の百田氏発言

 NHK経営委員を務める作家の百田尚樹氏は24日午後、岐阜市内で開かれた自民党岐阜県連の定期大会で講演し、自らを憲法改正派と紹介した上で「軍隊は家に例えると、防犯用の鍵であり、(軍隊を持つことは)しっかり鍵を付けようということ」と語った。さらに軍隊を持たない南太平洋の島しょ国バヌアツ、ナウルの国名を挙げ、「家に例えると、くそ貧乏長屋で、泥棒も入らないなどと両国をやゆする発言をした。

 百田氏は2月の東京都知事選の応援演説で、対立候補を「人間のくず」と非難したことなどが問題視され、NHK経営委員会委員長・浜田健一郎ANA総合研究所会長)が「委員一人一人が、公共放送の使命と社会的責任を深く自覚し、一定の節度をもって行動する」との見解をまとめた経緯がある。外国をやゆする今回の発言は波紋を呼びそうだ。

 百田氏は講演で歴史教育にも言及し、「日本の歴史の中で最も大事な事件は大東亜戦争。しっかり勉強しないと、今現在の国際社会は語れない」と強調。その上で「歴史教育を取り戻すため、自民党のみなさん、頑張ってください」と語った。NHKは放送法で不偏不党を求められており、作家の立場での講演とはいえ、特定の政党に肩入れするような発言は問題視される可能性がある。 


福島原発吉田所長の調書

2014年05月25日 06時00分06秒 | 臼蔵の呟き

朝日新聞が故人となった吉田所長の政府事故調査委員会の調査に対して、証言している記録が、情報として開示され始めています。全容は、朝日が徐々に報道してゆくとのことではっきりはしていません。現在あきらかになっている部分では、事故直後に、福島第一原発勤務の東京電力社員事故直後に所員の9割にあたる約650人が吉田所長の待機命令を無視して“逃亡”したことや、住民が大量被曝(ひばく)するベントの準備を密かに進めていた事実を報道。」が待機命令を無視して非難したこと。ベント準備を情報開示することなく東京電力の判断で進めていたことなどがあきらかになっています。

ここから分かることは、原子力発電所事故が起きれば、当事者である東京電力であっても、対応が出来ないこと。社員が一番事故の恐ろしさを知っていることを示しています。また、原子力事故という過酷な災害であるにもかかわらず、その情報開示はほとんどされずに、一企業の一存で、事態が進行することを物語っています。

2つ目の問題は、特定秘密保護法の問題です。時の政権が都合の悪い情報は隠蔽され、開示されずに、闇から闇に葬られると言うことです。政権によって都合の悪い情報であっても地域住民にとってはとても大切な情報を隠蔽し、廃棄してしまうことも出来る危険な法律の本質がよく分かります。

3つ目の問題は、政府事故調査、国会事故調査委員会の調査内容がまともに、検討され、教訓としていかされていないことです。必要な部署で開示され、検討もされていないこと。民主党政権、自民党政権ともに原子力事故に関しての情報開示は不十分、隠したいのは共通しているように思います。このような政権、政治は危険であり、国民から見たときには犯罪的ですらあると思います。 

<日刊ゲンダイ>福島原発吉田所長の調書

「政府事故調の『吉田調書』入手」「高濃度の放射性物質放出」「大量被曝の恐れ」――。朝日新聞の連日の“スクープ報道”に安倍官邸が激怒しているという。

 朝日は、福島第1原発の所長だった故・吉田昌郎氏が、政府の事故調査・検証委員会に語った「調査報告書」(吉田調書)を入手。事故直後に所員の9割にあたる約650人が吉田所長の待機命令を無視して“逃亡”したことや、住民が大量被曝(ひばく)するベントの準備を密かに進めていた事実を報道。あらためて東電の隠蔽体質を浮き彫りにした。
 この報道に安倍官邸がカンカンなのだ。
「官邸ではいま、『一体誰が朝日の記者に吉田調書を流したのか』と“犯人捜し”が始まっています。菅官房長官は『(調書は絶対に)公開しない』と憤然としている。とくに安倍周辺は、原発は過酷事故が起きれば、電力会社さえもコントロール不能に陥る――という解説部分が気に入らないらしい。原発再稼働に突き進む安倍政権にとって、少しでも反原発につながる動きは許せないのでしょう」

原発はとても人間の手に負えるシロモノじゃない。「吉田調書」の生々しい証言はそれを物語っている。未曽有の大惨事にならなかったのは、たまたま「偶然」が重なっただけだ。

 だからこそ、福井地裁は21日、関電大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を出したのだが、それでも菅官房長官は「(再稼働の方針は)変わらない」と突っぱねている。

■「機密保護法」施行後なら逮捕

 それにしても、つくづく思うのは、もし「特定秘密保護法」が施行されていれば、「吉田調書」は確実に“闇”に葬られていたということだ。

「菅官房長官は会見で『(吉田調書は)政府として情報公開制度に対する扱いは不開示としている』と明確に答えている。つまり、『特定秘密に当たる』ということです。年内がメドとされる秘密保護法が施行されていたら、吉田調書を入手した朝日の記者も、渡した役人も逮捕される事態になっていたでしょう」(司法ジャーナリスト)元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言う。
「『吉田調書』であらためて分かったのは、福島原発事故の全容がきちんと検証されていないことです。驚くのは原子力規制委員会の田中俊一委員長も調書を『読んでいない』と答えていること。秘密保護法が施行されれば、国民にとって必要な情報はますます隠されることになる。大変、危惧します」

 集団的自衛権を行使できないと国民の生命を守れない、と口にしている安倍首相は、国民が原発の被害に苦しんでも構わないと思っているのか。