中学高校D組クラス会の現幹事から電話が有ったのは丁度同じクラスのK君の喪中はがきを手にしていた時でした。
「Yが亡くなった・・Yの奥さんから・」「そうか・・」あとが続かない・・
夕べ都内の葬儀場で行われた通夜に参加する・・
団地自宅を出る時は雨も上がっていたのに、池袋からメトロ有楽町線で小竹向原駅で地上に出たら天気が変っていた・・
小雨の中を傘も差さないで歩きながら途中何度も通る人に道を尋ねながらも斎場に着いたのは定刻の5分前・・
通夜式には現幹事N君が声を掛けて、知った顔のクラス友達が8人余り・・
皆今年の正月に顔を合わせた者ばかり・・
然し、クラスの元幹事の通夜と有れば、沈んだ雰囲気の中でも、私を含めて余計年老いて見える同輩もいて・・
読経も進み・・ご遺族、参列者30人足らずの焼香も終わって・・僧侶が退場します。
「これにて故Yの通夜儀式を終了させて戴きます」で・・
遺族が残り、参列者達はコートを羽織ったり自分の傘を持ってソロソロと出口の方へ・・
出口の辺りでクラスの友らは静かに微笑んで小声で、お互いに何か短い言葉を交わして一人、又三人と夜の環状七号線交差点の方へ立ち去って行きました・・
私は斎場近くのコンビニでビニール傘を買い、降り続く雨の中を地下鉄入り口迄歩いています・・
都会の街路灯が行く手を照らし・・
500m程の雨に濡れた冷たい遊歩道にはぺったりと落ち葉が貼り付いて・・
暗闇の先に歩いて行く3人連れの黒い人影は・・
どうやら私と同じ会葬お礼の袋を手にしているのは、先程斎場で別れたクラス友達の様です・・
少し足早に直ぐ後ろ迄、追いついた私ですが・・
どうやら三人のうち二人は足が大分弱っているらしくて・・
一人杖をついているのはK君かも知れません。
何か穏やかに会話を交わし乍ら、ゆっくりと歩く3人の中に割って入るのを私は戸惑っていて・・
そのまま後ろについて私も一人、黒い歩道の落ち葉を見ながら、一層歩幅を狭めてゆっくりと歩き続けました・・
やがて明るい地下鉄の入り口迄辿り着いた私達・・
追い越してから振り向いて三人の友だちに声を掛けて・・
「私は向こうの入り口から乗りますから・・」
三人とは別れて200m先の同じ地下鉄駅の入り口迄歩いて行ったのです。
有楽町線で乗り換えたJR池袋駅では、ホームに止まっていた電車に乗ったのですが・・
「只今、新宿駅の線路に人が入って緊急信号が・・この電車は安全が確認され次第発車致しますのでそのままお待ちください・・」
暫らくして「安全が確認されましたので間もなく発車します・・」
間も無くドアが閉まり「この電車は約5分の遅れで当駅を発車致しました。大変申し訳ありません」
内心「こんな日に人身事故で無くて良かった・・」と・・
途中日暮里駅までの、どの駅だか覚えていないのですが・・
ドアが閉まって発車直後にアナウンスが「閉まるドアを手で開けて入らないで!・・」
怒りを押し殺したような声で・・
毎日通勤する人達の大変さを昔の自分と重ねて思い出した私です。
PM9時帰宅、昼間歩いて稼いだ歩数が今日だけは余分だったようです。
「お疲れさん、どうだった?・・何人位の人が来たの?・・」
「あ~疲れた・・お風呂に入るわ・・」
友達と故人Y君の話で、折角供養出来ると思って出掛けた私、その心算で気遣いもしてくれた奥様です。
冷たくても美味しいカレイと疲れを癒してくれるワインが気持ちの高ぶりと眠りを速めてくれたのです。ゴチソウサマ