秋田県の朝、まだ夜が完全に明け切れていないうちに、
ホテルをチェックアウトしました。
この日は東北の日本海側に、寒波が迫るとの予報・・・。
駅構内の窓から外を眺めると、天気はまだ穏やかな様子。
無事に山形県へ辿り着けるのか?・・・いちもつの不安を抱えつつ、
青春18切符をバッグから取り出しました。
そしてJR羽越本線6時50分発酒田行きの電車に乗車。
ちょうど通勤、通学の時間と重なり、車内は満員・・・。
うまい具合に1ケ所だけ席が空いていたので、そこへ座りました。
この電車でまずは酒田駅を目指します。
予定通りの時刻に電車は出発しましたが、出発してすぐに寒波襲来・・・。
満員電車の為、撮影は出来ませんでしたが、外は吹雪いていました。
電車は徐行運転したり停車したりを繰り返しながら走ります。
ラッシュ時で、20分以上の遅れが出ているにもかかわらず、
通勤、通学者の皆様は意外と落ち着いています。
これが大阪であれば、舌打ちのひとつやふたつは聞こえてきそうですが、
そういうものが全くない・・・。
この土地では、こういう電車の遅れは日常茶飯事の事なのかもしれません。
でも、のんびりと構える気持ちは、思いやりのような気がしました。
山形県の手前、金浦駅に到着したあたりで天候が落ち着きました。
満員だった車内も、いつの間にかガラガラになっていました。
ふと窓の外を見ると、向こうに日本海が見えました。
前日まで太平洋を見ていたのに・・・奥羽山脈をまたいで今は日本海を見ている・・・。
なんて痛快な旅だろう・・・思わず笑みがこぼれました。
日本海の荒々しさとは裏腹に、私の気持ちはとても晴れやかです。
景色も良い。
窓枠が額縁の代わりになっていて、様様な風景画を見ているような気分です。
電車は秋田県をあとにして、山形県へ入りました。
天候は落ち着いていますが、まだまだ安心できない状況です。
そこで私はある決心をします。
山形県では3軒のお店を回る予定でした。
3軒の内、2軒は鶴岡駅の徒歩圏内。
あと1軒は羽前大山駅に・・・この羽前大山駅へ行く事を諦めました。
もし羽前大山で吹雪かれると、
そのあと宮城県へ向かう事が困難になる可能性があるからです。
思い通りに動けないことは想定内。
残念な気持ちはありますが、今回諦めたお店は、またいつの日か訪ねよう。
再び東北を旅しよう。
そう思うと気持ちも楽になります。
電車は約30分遅れて酒田駅に到着しました。
この駅で乗り換えして鶴岡に向かいます。
当初の予定では8時44分に酒田駅に到着して、
9時23分の電車に乗り換える予定でした。
なので40分ほど時間を持て余すところでしたが、
電車が遅れた事により、10分程度の待ち時間で済みました。
ひょっとすると、吹雪による遅延を予測して、
40分間という連絡時間を設定しているのかも知れませんね。
鶴岡駅へ向かう電車は予定通り9時22分に動き出しました。
ただ、また天候が悪くなり徐行運転が続きます。
羽前大山駅へ向かう事を諦めたせいもあり、時間に少しゆとりを持つ事が出来ました。
その為、徐行運転が続いても、気持ちはのんびりと構えてられます。
時には諦める事も必要なのだと、自然から学んだ気がしました。
諦めは、気持ちを自由にしてくれます。
JR鶴岡駅には10分の遅れで到着しました。
どうやら雪は降っていないようです。
駅舎を出ると、アーチ状のモニュメントが目に入りました。
アーチの上には稲藁を担ぐ人の像が立っています。
このモニュメント名は「大地」。
鶴岡は庄内米で有名ですし、稲藁文化が盛んな土地である事から、
このようなモニュメントが生まれたものと思います。
特急「いなほ」が鶴岡駅に発着する際、アーチの上にある像が回転するそうです。
諸説ありますが、「雪の降る街を」の曲は、この鶴岡から誕生したと言われています。
さて、そんな鶴岡に、すこし風変わりなお店があるという情報を耳にしたので、
訪ねる事にしました。
鶴岡駅からは徒歩5分ほど。
訪ねたのは「スイッチポン」という名のお店です。
カウンターだけのこじんまりとしたお店です。
ご年配の女将さんがおひとりで切り盛りされています。
私が「お店を撮影しても良いでしょうか?」と訊ねると、
「ええー!?どうしよう、どうしよう!」と、
慌てている姿が何とも微笑ましく思えました。(^_^)
もちろん撮影の許可は下りました。(^_^)v
カウンターの背面には壁棚があり、観光客の為に雑誌が並べられていたり、
女将さんの趣味であろう扇子や造花などの飾り物がディスプレイされていました。
2016年7月にオープンされたそうで、店名の「スイッチポン」の由来は、
こちらのお店で食事して、
元気のスイッチを入れてほしいという思いから名付けたそうです。
↓↓メニュー。
どのメニューもなかなかリーズナブルな価格です。
私は「肉うどん」を注文。
5分も経たずに品物が出てきました。
↓↓「肉うどん」
豚バラ肉、ワカメ、揚げ玉、ネギがトッピングされています。
まずは出汁から飲んでみました。
こちらの出汁は天日干しした黒鯛を使っているとの事。
旨味があり美味しいです。
醤油の風味が少し前に出ている感じがあり、関東人好みの味ではないかと思います。
麺は角のない丸々した麺です。
豚バラ肉は、ほんのり塩味で、あっさりした味でした。
こちらの肉うどん、「お母さんが作るうどんの味」と表現するのが好ましいと思います。
お店の雰囲気、気さくな女将さん、そして料理、それらすべてが融合して、
ひとつの味になっています。
心をホッとさせる温もりがあり、お店を出るときには、
元気スイッチがPON!と入ります。(^ ^)
スイッチポンさん、良いお店です。(^v^)
電話番号 0235-29-2456
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