米オバマ大統領が、ピンチに陥っているように見える。今年秋(11月4日)の中間選挙を控えてオバマ大統領への支持率が急速に低下していることが明らかになった。中間選挙での民主党が劣勢に立たされているからだ。
すでに2010年の中間選挙では、下院での多数派を共和党に奪われている。かろうじて上院は民主党が多数を占めているが、そのためねじれ現象による「決められない政治」が問題になっている。日本における民主党政権後半と同じような状態になっているのだ。
アメリカの議会は上院と下院の二つに分かれている。日本の衆議院と参議院のような優位性はどちらにも与えられていない。また上院も下院も日本の参議院と同じで解散制度はない。上院の議員任期は6年で各州2人ずつが選出され(計100人)、3分の1が2年ごとに改選される。つまり上院は2年ごとに33,33,34人が改選される。一方下院は各州の人口に比例して割り当てられ、総数は435人。その全員が中間選挙で改選される。上下両院とも中間選挙は大統領選の中間(偶数年)の11月に行われることになっている。ということは上院議員の3分の1は大統領選挙と同時に改選されることを意味する。
アメリカでは伝統的に大統領が所属する政党が中間選挙では不利になっている。大統領の施政に対する厳しい批判が集中するためと考えられている。近年で例外だったのは9.11テロ事件翌年の2002年の中間選挙で、第1次ブッシュ大統領が所属する共和党が上下両院で議席数を伸ばしたケースがあげられるくらいだ。その勢いで2004年の大統領選挙もブッシュが再選されたが、その反動で2006年の中間選挙では上下両院で民主党が多数を占め、大統領でありながらブッシュは政治の主導権を握れなかった。
中間選挙が伝統的にそういう性質を持っているため、大統領の2期目には上下両院がねじれ現象を生じることが少なくなく、「決められない政治」の原因とも言われている。現在上院は民主党がまだ多数を占めているが、下院は共和党が多数を占めており、今年の中間選挙でも民主党の不利が世論調査の結果でもあらわれている。実際オバマ大統領の不人気はアメリカでは相当なもののようで、民主党の立候補者はだれもオバマ大統領に応援演説を依頼しないという。オバマ大統領も演説会で「私の娘も学校の行事に、私ではなくヒラリー・クリントンを招いたくらいだ」と話し、会場の大爆笑を呼んだほどだ。韓国の朴大統領は涙で国民の支持をかろうじてつなぎとめたが、オバマ大統領はジョークで支持率の下落に歯止めをかけようとしているのだろうか。
オバマ大統領は、外交でもアメリカの威信を大きく傷つけてしまった。日本のメディアは、まだ気づいていないようだが…。
すでにアメリカの国際的影響力は相当低下していた。オバマ大統領がアメリ
カの威信を回復、国際政治に対する影響力を発揮する絶好の材料と考えて飛びついたのがウクライナ紛争への介入だった。が、そもそもウクライナ紛争は、アメリカにとっては国益を左右するような問題ではない。日本にとっても、はっきり言ってどうでもいいことだ。が、EU諸国にとってはウクライナの情勢は看過できない重要事だった。
それは日本が抱えている韓国や北朝鮮、中国との軋轢は、EU諸国にとってはどうでもいい話で、今回のG7でも安倍総理は必死に拉致問題を訴え、いちおう参加国も日本に同調する姿勢を示したが、そんなのは儀礼的なものにすぎない。もっとはっきり言えば、北朝鮮の核に敏感なのはアメリカ、韓国、日本、中国くらいのもので、EUは「われ関せず」である。政治力学というものを日本のメディアはまったく理解していない。安倍総理が拉致問題をG7で一生懸命訴えている姿は感動的だが、EUは「そうかい、そうかい」と子供の頭をなでる程度のスタンスだし、肝心の北朝鮮もEUが拉致問題や核問題に介入してくるとは毛ほども考えていない。
オバマ大統領は、ウクライナ紛争でEUがロシアと対決する姿勢をとりだしたことに乗じて、アメリカの威信を取り戻そうとした。EU以上に強固な姿勢でロシアに対する制裁を始めたのも、この機会にアメリカの威信を回復して中間選挙での不利な状況を一変させたかったのだろう。が、オバマ大統領が勝手に2階に飛び上がって、ふと気づいたら降りる梯子がなかった。ひょっとしたら梯子は最初はあったのに、EUが外してしまったのかもしれない。いずれにせよ、オバマ大統領の面目は丸つぶれになった。そのことに日本のメディアは気づいていない。
そのことがはっきりしたのは、ノルマンディー作戦70年を記念する式典である。EUの主要国がアメリカを2階に上げたまま、勝手にロシアとの融和の道を探りだしたのだ。ドイツのメルケル首相が取り持つ形でウクライナの新大統領選で当選したポロシェンコ氏とプーチン大統領が会談、二人は握手も交わした。さらにフランス大統領府関係者は、ウクライナ東部の停戦に向けたロシアとウクライナ次期政権の対話が近日中に始まるとの見方を欧州メディアに示したという。
プーチン大統領が式典に参加するためパリに到着したのは現地時間5日の夕方。G7終了直後だったという。プーチン大統領は英キャメロン首相、仏オランド大統領と相次いで会談、翌日には独メルケル首相とも会談している。EU側は、おそらくクリミア自治共和国のロシア編入を承認する代わりに、ウクライナ東部の「親ロシア派」への軍事支援の停止(支援はしていないかもしれないが)と、ウクライナへの政治介入をやめるよう求めたと思われる。
7日のNHKはニュース7でポロシェンコ大統領の就任式を伝えると同時に新大統領が「できるだけ早くEU加盟の前提となる経済協定に署名したい」と述べたこと、また東部の「親ロシア派」との暫定政権側との武力衝突については「戦争や復讐はしたくない。平和を望む」と強調、近く現地を訪れ武装集団以外の代表と話し合い、融和を図っていきたいとの意向を示したと伝えた。さらにクリミアについては「クリミアはこれまでもこれからもウクライナの領土だ。ロシアには返還を求めていく」と述べたという。
これに対してプーチン大統領は「ウクライナ東部の流血の事態を速やかに停止したいとするポロシェンコ大統領の考えを支持しないわけにはいかない」としたうえで「交渉の当事者はロシアとウクライナではなく、ウクライナ中央政府と東部の代表であるべきだ」とロシアの介入を否定、さらにウクライナのEU加盟については「自国の経済と市場を守るための措置をとる必要がある」と、新政権をけん制した。
EUの主要3国の首脳がプーチン大統領とウクライナ問題について話し合い、プーチン大統領がポロシェンコ新大統領とウクライナ問題の平和的解決について、まだ温度差は残しながらも融和の方向で合意したとみられること(ポロシェンコ大統領の就任式にロシアのウクライナ大使が出席したことは、プーチン大統領が新政権を正式に承認したことを意味する)から、もはやアメリカの出る幕はなくなったといってもいい。
実際式典の際オバマ大統領はプーチン大統領と15分も会談した。ホワイトハウスの高官によればオバマ大統領はプーチン大統領に対し「事態を鎮静化するためロシアが新政権を認め、東部の武装集団への支援をやめなければいけない。そうでなければロシアは孤立を深めるだけだ」と言ったらしい。もともとオバマ大統領がウクライナ問題に口を出すようになったのは、クリミア自治共和国が住民投票を行おうとした時点であり、クリミアの分離独立とロシアへの編入は認められないというEUの側に立つことを明らかにするためだった。
が、肝心のEUがロシアとの決定的な対立を避け、現実的な解決に方向を転じたこと自体、オバマ大統領の顔を完全につぶしたといっていい行為だ。だからEU首脳もオバマ大統領も、プーチン大統領に対して、クリミアをウクライナに返還しろといった要求は事実上取り下げてしまった。ポロシェンコ大統領の「ロシアにクリミアの変換を要求する」という発言も、プーチン大統領の「ウクライナがEUに加盟したら何らかの措置をとる」といった発言も、国内向けの一種のプロパガンダといってよいだろう。
安倍総理はオバマ大統領の恫喝に屈して一定のロシア制裁に踏み切ったが、もはや制裁を続けるのは茶番劇でしかない。早々にロシアへの制裁をやめることをプーチン大統領に伝え、北方領土問題やロシアの北方資源開発と日本への
輸送方法についての技術協力の話し合いを開始することだ。
だいたい、アメリカの同盟国はアジアでは日本だけでなく韓国やフィリピンなどもある。なぜ日本だけにロシアへの制裁に協力するよう要求してきたのか、よく考えれば日米関係がどういう関係かが分かるというものだ。オバマ大統領にとっては、日本ほどアメリカの言いなりになってくれる国はないからである。現にフィリピンなどは一時駐留米軍基地を撤廃したくらいだ。今は中国の海洋進出に備えて再び米軍の駐留を要請する形になってはいるが、主権国家としての自尊心を持った国の防衛姿勢はそうでなければならない。
日米安保条約はあるが、有事の際米軍が日本防衛のために出動するためにはアメリカ議会の承認を得ることが条件として条約に記載されている。原発の安全確率と同じで、米軍の日本防衛出動も確率の範囲でしかない。現にオバマ大統領が「尖閣諸島は安保条約の適用範囲だ」とリップサービスしてくれても、「では、尖閣諸島防衛のため米軍を駐留してくれ」と頼んでも絶対OKしない。
中国の海洋進出にしても、アメリカの国際的地位や軍事的影響力の相対的低下を見越しての行為だ。ベトナムは現在、アメリカの同盟国ではないにしても、米海軍が中国の勝手なふるまいを実力で阻止する態度に出れば、ベトナムをアメリカの勢力圏に入れることができるはずなのだが、その絶好の機会すら指をくわえて眺めているだけだ。そういう状況の中で、日本が環太平洋の平和と安全に果たすべき役割は何か。それは、いわゆる「集団的自衛権行使」を憲法解釈によって限定容認することではないはずだ。集団的自衛権問題については、これまでも何度も書いてきたが、明日もう一度整理して書く。
すでに2010年の中間選挙では、下院での多数派を共和党に奪われている。かろうじて上院は民主党が多数を占めているが、そのためねじれ現象による「決められない政治」が問題になっている。日本における民主党政権後半と同じような状態になっているのだ。
アメリカの議会は上院と下院の二つに分かれている。日本の衆議院と参議院のような優位性はどちらにも与えられていない。また上院も下院も日本の参議院と同じで解散制度はない。上院の議員任期は6年で各州2人ずつが選出され(計100人)、3分の1が2年ごとに改選される。つまり上院は2年ごとに33,33,34人が改選される。一方下院は各州の人口に比例して割り当てられ、総数は435人。その全員が中間選挙で改選される。上下両院とも中間選挙は大統領選の中間(偶数年)の11月に行われることになっている。ということは上院議員の3分の1は大統領選挙と同時に改選されることを意味する。
アメリカでは伝統的に大統領が所属する政党が中間選挙では不利になっている。大統領の施政に対する厳しい批判が集中するためと考えられている。近年で例外だったのは9.11テロ事件翌年の2002年の中間選挙で、第1次ブッシュ大統領が所属する共和党が上下両院で議席数を伸ばしたケースがあげられるくらいだ。その勢いで2004年の大統領選挙もブッシュが再選されたが、その反動で2006年の中間選挙では上下両院で民主党が多数を占め、大統領でありながらブッシュは政治の主導権を握れなかった。
中間選挙が伝統的にそういう性質を持っているため、大統領の2期目には上下両院がねじれ現象を生じることが少なくなく、「決められない政治」の原因とも言われている。現在上院は民主党がまだ多数を占めているが、下院は共和党が多数を占めており、今年の中間選挙でも民主党の不利が世論調査の結果でもあらわれている。実際オバマ大統領の不人気はアメリカでは相当なもののようで、民主党の立候補者はだれもオバマ大統領に応援演説を依頼しないという。オバマ大統領も演説会で「私の娘も学校の行事に、私ではなくヒラリー・クリントンを招いたくらいだ」と話し、会場の大爆笑を呼んだほどだ。韓国の朴大統領は涙で国民の支持をかろうじてつなぎとめたが、オバマ大統領はジョークで支持率の下落に歯止めをかけようとしているのだろうか。
オバマ大統領は、外交でもアメリカの威信を大きく傷つけてしまった。日本のメディアは、まだ気づいていないようだが…。
すでにアメリカの国際的影響力は相当低下していた。オバマ大統領がアメリ
カの威信を回復、国際政治に対する影響力を発揮する絶好の材料と考えて飛びついたのがウクライナ紛争への介入だった。が、そもそもウクライナ紛争は、アメリカにとっては国益を左右するような問題ではない。日本にとっても、はっきり言ってどうでもいいことだ。が、EU諸国にとってはウクライナの情勢は看過できない重要事だった。
それは日本が抱えている韓国や北朝鮮、中国との軋轢は、EU諸国にとってはどうでもいい話で、今回のG7でも安倍総理は必死に拉致問題を訴え、いちおう参加国も日本に同調する姿勢を示したが、そんなのは儀礼的なものにすぎない。もっとはっきり言えば、北朝鮮の核に敏感なのはアメリカ、韓国、日本、中国くらいのもので、EUは「われ関せず」である。政治力学というものを日本のメディアはまったく理解していない。安倍総理が拉致問題をG7で一生懸命訴えている姿は感動的だが、EUは「そうかい、そうかい」と子供の頭をなでる程度のスタンスだし、肝心の北朝鮮もEUが拉致問題や核問題に介入してくるとは毛ほども考えていない。
オバマ大統領は、ウクライナ紛争でEUがロシアと対決する姿勢をとりだしたことに乗じて、アメリカの威信を取り戻そうとした。EU以上に強固な姿勢でロシアに対する制裁を始めたのも、この機会にアメリカの威信を回復して中間選挙での不利な状況を一変させたかったのだろう。が、オバマ大統領が勝手に2階に飛び上がって、ふと気づいたら降りる梯子がなかった。ひょっとしたら梯子は最初はあったのに、EUが外してしまったのかもしれない。いずれにせよ、オバマ大統領の面目は丸つぶれになった。そのことに日本のメディアは気づいていない。
そのことがはっきりしたのは、ノルマンディー作戦70年を記念する式典である。EUの主要国がアメリカを2階に上げたまま、勝手にロシアとの融和の道を探りだしたのだ。ドイツのメルケル首相が取り持つ形でウクライナの新大統領選で当選したポロシェンコ氏とプーチン大統領が会談、二人は握手も交わした。さらにフランス大統領府関係者は、ウクライナ東部の停戦に向けたロシアとウクライナ次期政権の対話が近日中に始まるとの見方を欧州メディアに示したという。
プーチン大統領が式典に参加するためパリに到着したのは現地時間5日の夕方。G7終了直後だったという。プーチン大統領は英キャメロン首相、仏オランド大統領と相次いで会談、翌日には独メルケル首相とも会談している。EU側は、おそらくクリミア自治共和国のロシア編入を承認する代わりに、ウクライナ東部の「親ロシア派」への軍事支援の停止(支援はしていないかもしれないが)と、ウクライナへの政治介入をやめるよう求めたと思われる。
7日のNHKはニュース7でポロシェンコ大統領の就任式を伝えると同時に新大統領が「できるだけ早くEU加盟の前提となる経済協定に署名したい」と述べたこと、また東部の「親ロシア派」との暫定政権側との武力衝突については「戦争や復讐はしたくない。平和を望む」と強調、近く現地を訪れ武装集団以外の代表と話し合い、融和を図っていきたいとの意向を示したと伝えた。さらにクリミアについては「クリミアはこれまでもこれからもウクライナの領土だ。ロシアには返還を求めていく」と述べたという。
これに対してプーチン大統領は「ウクライナ東部の流血の事態を速やかに停止したいとするポロシェンコ大統領の考えを支持しないわけにはいかない」としたうえで「交渉の当事者はロシアとウクライナではなく、ウクライナ中央政府と東部の代表であるべきだ」とロシアの介入を否定、さらにウクライナのEU加盟については「自国の経済と市場を守るための措置をとる必要がある」と、新政権をけん制した。
EUの主要3国の首脳がプーチン大統領とウクライナ問題について話し合い、プーチン大統領がポロシェンコ新大統領とウクライナ問題の平和的解決について、まだ温度差は残しながらも融和の方向で合意したとみられること(ポロシェンコ大統領の就任式にロシアのウクライナ大使が出席したことは、プーチン大統領が新政権を正式に承認したことを意味する)から、もはやアメリカの出る幕はなくなったといってもいい。
実際式典の際オバマ大統領はプーチン大統領と15分も会談した。ホワイトハウスの高官によればオバマ大統領はプーチン大統領に対し「事態を鎮静化するためロシアが新政権を認め、東部の武装集団への支援をやめなければいけない。そうでなければロシアは孤立を深めるだけだ」と言ったらしい。もともとオバマ大統領がウクライナ問題に口を出すようになったのは、クリミア自治共和国が住民投票を行おうとした時点であり、クリミアの分離独立とロシアへの編入は認められないというEUの側に立つことを明らかにするためだった。
が、肝心のEUがロシアとの決定的な対立を避け、現実的な解決に方向を転じたこと自体、オバマ大統領の顔を完全につぶしたといっていい行為だ。だからEU首脳もオバマ大統領も、プーチン大統領に対して、クリミアをウクライナに返還しろといった要求は事実上取り下げてしまった。ポロシェンコ大統領の「ロシアにクリミアの変換を要求する」という発言も、プーチン大統領の「ウクライナがEUに加盟したら何らかの措置をとる」といった発言も、国内向けの一種のプロパガンダといってよいだろう。
安倍総理はオバマ大統領の恫喝に屈して一定のロシア制裁に踏み切ったが、もはや制裁を続けるのは茶番劇でしかない。早々にロシアへの制裁をやめることをプーチン大統領に伝え、北方領土問題やロシアの北方資源開発と日本への
輸送方法についての技術協力の話し合いを開始することだ。
だいたい、アメリカの同盟国はアジアでは日本だけでなく韓国やフィリピンなどもある。なぜ日本だけにロシアへの制裁に協力するよう要求してきたのか、よく考えれば日米関係がどういう関係かが分かるというものだ。オバマ大統領にとっては、日本ほどアメリカの言いなりになってくれる国はないからである。現にフィリピンなどは一時駐留米軍基地を撤廃したくらいだ。今は中国の海洋進出に備えて再び米軍の駐留を要請する形になってはいるが、主権国家としての自尊心を持った国の防衛姿勢はそうでなければならない。
日米安保条約はあるが、有事の際米軍が日本防衛のために出動するためにはアメリカ議会の承認を得ることが条件として条約に記載されている。原発の安全確率と同じで、米軍の日本防衛出動も確率の範囲でしかない。現にオバマ大統領が「尖閣諸島は安保条約の適用範囲だ」とリップサービスしてくれても、「では、尖閣諸島防衛のため米軍を駐留してくれ」と頼んでも絶対OKしない。
中国の海洋進出にしても、アメリカの国際的地位や軍事的影響力の相対的低下を見越しての行為だ。ベトナムは現在、アメリカの同盟国ではないにしても、米海軍が中国の勝手なふるまいを実力で阻止する態度に出れば、ベトナムをアメリカの勢力圏に入れることができるはずなのだが、その絶好の機会すら指をくわえて眺めているだけだ。そういう状況の中で、日本が環太平洋の平和と安全に果たすべき役割は何か。それは、いわゆる「集団的自衛権行使」を憲法解釈によって限定容認することではないはずだ。集団的自衛権問題については、これまでも何度も書いてきたが、明日もう一度整理して書く。