≪緊急告発≫ 昨日(11日)沖縄・東村高江の民間牧草地に、飛行中の米軍大型輸送ヘリコプターが出荷して緊急着陸して大破・炎上した。事故現場近くには約20人の村民が住む集落があり、小学校もある。小野寺防衛相は米軍に抗議して再発防止を要請したというが、沖縄県での米軍ヘリコプター墜落事故は戦後90回に及ぶという。北朝鮮のどんがらミサイル(核などの弾頭は搭載していない)が襟裳岬上空をかすめた程度でJアラートを東北地方にまで流して住民に緊急非難を要請した政府は、沖縄全土にレーダー網を張り巡らして、米軍ヘリが陸地上空を飛行中はJアラートを県内すべてに流して県民に避難を要請すべきだ。避難場所となる堅牢な建築物がない地域には、国の費用で堅牢な避難用建築物を直ちに作れ。
いよいよ総選挙の争点の検証に入るが、その前に読売新聞が10,11日の両日全国世論調査を行い、総選挙序盤戦の状況を伝えた。読売の速報によれば、自民が単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢いで、各委員会の委員長ポストを独占できる絶対安定多数(261議席)にも届く勢いだという。希望の党は伸び悩み、立憲民主党は躍進しているというが、私が危惧していた状況が現実化しつつあるようだ。私は9月22日に投稿したブログの末尾に「このブログの投稿日時を記憶しておいていただきたい」とまで書いた記事を改めて転記する。
「憲法改正が選挙の争点になった場合(99%そうなる)、民進党はどう出るか。前原代表は「受けて立つ」と強気の姿勢のようだが、おそらく民進党は「賛成」するわけにもいかないだろうが、かといって「反対」すれば確実に党が分裂する。さらに、民進党の出方次第では、これまで秋波を絶えず送り続けてきた共産党が民進党との選挙協力をあきらめる可能性が高い。
そうなるとメディアに踊らされた(※北朝鮮のミサイル発射にキチガイじみた報道合戦を繰り広げたことによる)無党派層が一気に選挙で与党候補に投票する可能性もあり、そうなると与党は一気に「だなぼた」的大勝利を収める可能性もある」
メディアの選挙情勢分析が、選挙直前に発表されたら、「逆アナウンス効果」によって無党派層の与党離れが生じる可能性もあるが、序盤戦の報道では無党派層の投票行動に影響はあまり与えないと思う。
さて争点検証の最初のテーマは「消費税増税の可否と増税分の使途(少子化対策)」という、いきなり重い問題だ。
いちおう法律では実施時期は19年10月となっており、いまから2年も先の、増税が出来る経済情勢にあるのかどうかの予測すら難しく、安倍総理が「自己都合解散」を正当化するために持ち出した「大義」とはいえ、ちょっと理解に苦しむ。実際、希望や維新も含め野党はこぞって「増税凍結」を打ち出した。
ま、安倍総理としては民主党政権からの引き継ぎテーマとして「社会保障と税の一体改革」を推進するつもりで、社会福祉が高齢者重視に偏ってきたのを、全世帯型に転換し、幼児も含む若年層にも福祉の手を差し伸べようという、その考え方自体はだれも否定しようがない方針を打ち出し、政権基盤の磐石化を図ろうとしたのだろうが、方針としては理解できても、なぜ今消費税増税分の使途を国民に問う必要があるのか、「大義のための大義」としか言いようがない。
「いや、いまのうちから検討していく必要がある」というなら、国会で十分審議して、野党と主張が割れたら、そのとき解散して「信を国民に問う」ことが政権の王道だろう。実際、小泉総理の「郵政解散」はそういうプロセスを踏んで国民に信を問うた。
そのことはともかく、いまから考えると日本新党の細川総理が唐突に打ち出した「消費税を廃止して7%の国民福祉税を創設する」というアイディアは、そのときは総スカンを食ったが、細川氏の先見の明は評価せざるを得ない。細川案をつぶした張本人の武村官房長官は、今頃忸怩たる思いをしているに違いない(と思うのは武村氏を買いかぶりすぎか?)。
また3党合意にこぎつけた野田総理も、「社会保障と税の一体改革」という重いテーマについて、大雑把でもいいから改革の具体的方向性を示しておくべきだった。とくに、税改革が安倍政権によってほとんど「消費税」に集約されてしまっている現実の責任の一端は、野田氏にあるといっても過言ではない(ただ野田政権は連合をバックにした輿石幹事長に足を引っ張られ、ほとんど何もできなかった悲劇の総理でもあったが…)。
私は自公が政権の座に返り咲いた直後の12年12月30日に投稿した『今年最後のブログ……新政権への期待と課題』で、税改革を含む経済政策についてこう提言した。
「金融緩和が、果たしてデフレ克服につながるか、私はかなり疑問に思わざるを得ない」「銀行が二流、三流の中小企業や信用度の低い国民にじゃぶじゃぶ金を貸してくれるかというと、そんなことはあり得ない。優良企業が銀行から金を借りてくれなくなってからもう20年以上になる」「(銀行が融資する場合、担保や経営者の個人補償を要求するが)優良企業なら増資や社債の発行でいくらでも無担保で金を集めることが出来るからだ」「そもそもリーマン・ショックで日本のメガバンクが大打撃を受けた理由を考えてほしい」「金融緩和でだぶついた金の運用方法に困り、リーマン・ブラザースが発行した有価証券(※かつて日本のバブル期に流行った「抵当証券」のコピー)に大金をつぎ込み」「金融界の再編成に進んだ」「金融緩和で銀行に金がだぶついたら、また危険な投機商品に手を出しかねない」
私も実は、まさかとは思いつつ5年前の安倍政権誕生直後に、こう書いた。その「まさか」が現実になりつつある。黒田・日銀総裁のマイナス金利政策で融資先に困った銀行が、不動産関連融資やサラ金まがいのカードローンにまで手を染めるようになった。不動産関連融資総額はバブル景気全盛期をすでに上回っており、不動産業界は「誰がババをつかまされるか」と戦々恐々のようだ。またカードローン破綻者の続出も懸念されており、財務省も目を光らせだした。実際、メガバンクの銀行マン自身が今非常に危機感を募らせているという。
さらに私はこの安倍政権誕生直後のブログで、消費を活性化しない限り景気は回復しないと、大胆な税制改革を提案した。
「まず贈与税と相続税の関係を見直し、現行のシステムを完全に逆転することを基本的方針にすべきだ。つまり相続税を大幅アップし、逆に贈与税を大幅に軽減することだ。そうすれば金を使わない高齢の富裕層が貯め込んでいる金が子供や孫に贈与され、市場に出回ることになる(※消費が活性化するという意味)。当然内需が拡大し、需要が増えればメーカーは増産体制に入り、若者層の就職難も一気に解消される(※当時は空前の就職難時代だった)。そうすればさらに内需が拡大し、メーカーはさらに増産体制に入り、若者層だけでなく定年を65歳まで延長し、年金受給までの空白の5年間を解消できる」「その場合、贈与税の考え方そのものを一変させる必要がある。相続税は相続人にかかるが、贈与税は贈与人にかかる仕組みになっている。その基本的考え方を変えなければならない。相続税の支払いは相続人が支払うのは当然だが、贈与税に関しては被贈与人が収入(※一時所得)として確定申告するようにする」「また所得税制度も改革の必要がある。(以下要約)内閣府の『国民生活に関する世論調査』によれば、この調査を始めた1956年(昭和33年)には、中流意識の国民は約7割だったが、70年以降は約8割に達し、79年の『国民生活白書』では、国民の中流意識が定着した、と宣言した」(※現在、総理府は格差の拡大と貧困層の増加を認めている。数字の裏付けなしにだが…)「消費税増税はやむを得ないが、食料品などの生活必需品を非課税あるいは軽減税率にするのではなく、『聖域なき』一律課税にして所得税体系を大幅に変更し、所得税増税による中低所得層への負担増を軽減する」「少なくとも4人家族の標準世帯(年収500~700万)の所得税は非課税にして、年収1000万円超の層は累進的に課税を重くし、年収2000万円以上の高額所得層の所得税率を50%に引き上げる必要がある(現行の最高税率は40%)」
その後、安倍政権は私の主張の一部をパクった。相続税を高くして高齢者富裕層の資産を若年層に移転させるために相続税法を改定したが、肝心の贈与税の抜本的改定を行わず「孫への教育目的の贈与についてだけ非課税枠を設ける」という中途半端な改革を行った。また所得税法も一部改定し、高額給与所得者の給与所得控除だけいじって事実上の課税強化を行った。が、思想なき税制改革のため、効果はあまり期待できない。
安倍総理は選挙の争点として、消費税増税分の一部を若年層向けの援助(おもに教育費の国による負担増)に振り向けるという主張をしている。消費税増税が可能な経済状況であれば、安倍案に反対する人はまずいないだろう。だが、過去最長の経済成長をつづけた「いざなみ景気」(02年2月~09年3月の73か月間)をいま更新しつつあると安倍総理はアベノミクスの成果を誇るが、いざなみ景気もいまの「好景気」も高度経済成長期の「神武景気」や「いざなぎ景気」のときのような「好景気」の実感をほとんどの国民は持っていない。成長率が神武景気やいざなぎ景気に比べて低すぎるというだけでなく、「経済成長しているにもかかわらず消費は鈍化したまま」だからだ。経済成長の恩恵が富裕層に集中し、消費活動を下支えする一般庶民(中低所得層)の実質収入が増えないため、多くの国民は「好景気」を実感できない。
安倍総理は一生懸命、アベノミクスの成果をGDPや大高卒就職率、求人倍率などの数字を持ち出して誇るが、株高や不動産バブルと関係がない庶民にとっては、「どこの世界の話だ」ということになる。
そもそもアベノミクスが「デフレからの脱却」を目的にしたこと自体に、私は疑問を抱いている。デフレは庶民の消費活動にとっては、決してマイナスではないからだ。供給が需要を上回ることによって物価が下落する状況が「デフレ」だが、収入が減らない限りデフレはむしろ消費を刺激する。敢えて金融緩和によるインフレ政策をとらなくても、消費が拡大すれば需要が供給に追いつき、自然に物価は安定に向かう。
アベノミクスに対する評価・分析は争点検証の最後に行うので、このあたりでやめるが、私は消費税増税は「リーマン・ショック級の経済打撃」が生じない限り、断固行うべきだと考えている。ただ、増税時期までの2年間、果たして金融機関が持つだろうか、という疑問を実は私は持っている。もし、その間に不動産バブルが崩壊し、カードローン破綻者が続出するような事態になれば、それこそ「リーマン・ショック級」の大打撃が日本を襲う可能性があるからだ。
実は私はその可能性について、すでにブログ投稿すべく原稿を仕上げている。投稿しようと思っていた矢先に解散劇が始まり、いま「お蔵入り」させているが、選挙が終わり次第、時機を見て投稿する。
消費税増税に当たっては、もし増税が可能であれば、すでに書いたように「聖域なき」一律増税にすべきだ。消費税が逆進性の税制であることは私も否定しないが、公明党が主張するように食料品に限って「軽減税率」を適用するのは、国民の理解が得られない。たとえば富裕層にしか手が出せない高級和牛のひれ肉と、低所得層が買うオージービーフが同じ軽減税率になることに、国民の理解が得られるだろうか。低所得層に対する救済策は別途考えるべきで、例えば給付金制度を復活させるとか、ちょっと大変だが食料品購入や外食(コンビニの弁当も含む)のレシートで消費税を還付する制度を設けるなどの方法で対処すべきである。
確かに高率の付加価値税制度を導入しているヨーロッパ諸国の大半は食料品の非課税もしくは軽減税率方式を採用しているが、そもそもヨーロッパの間接税導入の歴史は古く、コンピュータなどない時代に導入されたこともあって、低所得者対策として採用されたという経緯がある。いまではヨーロッパでも低所得者対策の在り方の見直しが議論されており、課税の実質的負担の公平性を担保するという面から考えても、かえって「消費格差」を拡大しかねない軽減税率方式は導入すべきではない。
安倍総理は希望の党に対して「選挙目当ての野合」と批判しているが、自民党自体が選挙目当ての公明党案丸呑みをしているではないか。そういうのを「目くそ、鼻くそを笑う」という。
消費税増税分を若年層(幼児を含む)に対する福祉に振り向けるという政策については、次回のブログで検証する。ただ、安倍総理が命名した「国難突破解散」の国難の一つとして挙げた「少子化問題」は、保育所の増設や保育士の待遇改善で解決できるような問題ではないことだけ言っておく。
また最近は「少子高齢化」と言い換えているが、高齢者対策については何も言っていない。まさか、高齢者の生存定年制を設けるなどと考えているわけではないと思うが…。
いよいよ総選挙の争点の検証に入るが、その前に読売新聞が10,11日の両日全国世論調査を行い、総選挙序盤戦の状況を伝えた。読売の速報によれば、自民が単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢いで、各委員会の委員長ポストを独占できる絶対安定多数(261議席)にも届く勢いだという。希望の党は伸び悩み、立憲民主党は躍進しているというが、私が危惧していた状況が現実化しつつあるようだ。私は9月22日に投稿したブログの末尾に「このブログの投稿日時を記憶しておいていただきたい」とまで書いた記事を改めて転記する。
「憲法改正が選挙の争点になった場合(99%そうなる)、民進党はどう出るか。前原代表は「受けて立つ」と強気の姿勢のようだが、おそらく民進党は「賛成」するわけにもいかないだろうが、かといって「反対」すれば確実に党が分裂する。さらに、民進党の出方次第では、これまで秋波を絶えず送り続けてきた共産党が民進党との選挙協力をあきらめる可能性が高い。
そうなるとメディアに踊らされた(※北朝鮮のミサイル発射にキチガイじみた報道合戦を繰り広げたことによる)無党派層が一気に選挙で与党候補に投票する可能性もあり、そうなると与党は一気に「だなぼた」的大勝利を収める可能性もある」
メディアの選挙情勢分析が、選挙直前に発表されたら、「逆アナウンス効果」によって無党派層の与党離れが生じる可能性もあるが、序盤戦の報道では無党派層の投票行動に影響はあまり与えないと思う。
さて争点検証の最初のテーマは「消費税増税の可否と増税分の使途(少子化対策)」という、いきなり重い問題だ。
いちおう法律では実施時期は19年10月となっており、いまから2年も先の、増税が出来る経済情勢にあるのかどうかの予測すら難しく、安倍総理が「自己都合解散」を正当化するために持ち出した「大義」とはいえ、ちょっと理解に苦しむ。実際、希望や維新も含め野党はこぞって「増税凍結」を打ち出した。
ま、安倍総理としては民主党政権からの引き継ぎテーマとして「社会保障と税の一体改革」を推進するつもりで、社会福祉が高齢者重視に偏ってきたのを、全世帯型に転換し、幼児も含む若年層にも福祉の手を差し伸べようという、その考え方自体はだれも否定しようがない方針を打ち出し、政権基盤の磐石化を図ろうとしたのだろうが、方針としては理解できても、なぜ今消費税増税分の使途を国民に問う必要があるのか、「大義のための大義」としか言いようがない。
「いや、いまのうちから検討していく必要がある」というなら、国会で十分審議して、野党と主張が割れたら、そのとき解散して「信を国民に問う」ことが政権の王道だろう。実際、小泉総理の「郵政解散」はそういうプロセスを踏んで国民に信を問うた。
そのことはともかく、いまから考えると日本新党の細川総理が唐突に打ち出した「消費税を廃止して7%の国民福祉税を創設する」というアイディアは、そのときは総スカンを食ったが、細川氏の先見の明は評価せざるを得ない。細川案をつぶした張本人の武村官房長官は、今頃忸怩たる思いをしているに違いない(と思うのは武村氏を買いかぶりすぎか?)。
また3党合意にこぎつけた野田総理も、「社会保障と税の一体改革」という重いテーマについて、大雑把でもいいから改革の具体的方向性を示しておくべきだった。とくに、税改革が安倍政権によってほとんど「消費税」に集約されてしまっている現実の責任の一端は、野田氏にあるといっても過言ではない(ただ野田政権は連合をバックにした輿石幹事長に足を引っ張られ、ほとんど何もできなかった悲劇の総理でもあったが…)。
私は自公が政権の座に返り咲いた直後の12年12月30日に投稿した『今年最後のブログ……新政権への期待と課題』で、税改革を含む経済政策についてこう提言した。
「金融緩和が、果たしてデフレ克服につながるか、私はかなり疑問に思わざるを得ない」「銀行が二流、三流の中小企業や信用度の低い国民にじゃぶじゃぶ金を貸してくれるかというと、そんなことはあり得ない。優良企業が銀行から金を借りてくれなくなってからもう20年以上になる」「(銀行が融資する場合、担保や経営者の個人補償を要求するが)優良企業なら増資や社債の発行でいくらでも無担保で金を集めることが出来るからだ」「そもそもリーマン・ショックで日本のメガバンクが大打撃を受けた理由を考えてほしい」「金融緩和でだぶついた金の運用方法に困り、リーマン・ブラザースが発行した有価証券(※かつて日本のバブル期に流行った「抵当証券」のコピー)に大金をつぎ込み」「金融界の再編成に進んだ」「金融緩和で銀行に金がだぶついたら、また危険な投機商品に手を出しかねない」
私も実は、まさかとは思いつつ5年前の安倍政権誕生直後に、こう書いた。その「まさか」が現実になりつつある。黒田・日銀総裁のマイナス金利政策で融資先に困った銀行が、不動産関連融資やサラ金まがいのカードローンにまで手を染めるようになった。不動産関連融資総額はバブル景気全盛期をすでに上回っており、不動産業界は「誰がババをつかまされるか」と戦々恐々のようだ。またカードローン破綻者の続出も懸念されており、財務省も目を光らせだした。実際、メガバンクの銀行マン自身が今非常に危機感を募らせているという。
さらに私はこの安倍政権誕生直後のブログで、消費を活性化しない限り景気は回復しないと、大胆な税制改革を提案した。
「まず贈与税と相続税の関係を見直し、現行のシステムを完全に逆転することを基本的方針にすべきだ。つまり相続税を大幅アップし、逆に贈与税を大幅に軽減することだ。そうすれば金を使わない高齢の富裕層が貯め込んでいる金が子供や孫に贈与され、市場に出回ることになる(※消費が活性化するという意味)。当然内需が拡大し、需要が増えればメーカーは増産体制に入り、若者層の就職難も一気に解消される(※当時は空前の就職難時代だった)。そうすればさらに内需が拡大し、メーカーはさらに増産体制に入り、若者層だけでなく定年を65歳まで延長し、年金受給までの空白の5年間を解消できる」「その場合、贈与税の考え方そのものを一変させる必要がある。相続税は相続人にかかるが、贈与税は贈与人にかかる仕組みになっている。その基本的考え方を変えなければならない。相続税の支払いは相続人が支払うのは当然だが、贈与税に関しては被贈与人が収入(※一時所得)として確定申告するようにする」「また所得税制度も改革の必要がある。(以下要約)内閣府の『国民生活に関する世論調査』によれば、この調査を始めた1956年(昭和33年)には、中流意識の国民は約7割だったが、70年以降は約8割に達し、79年の『国民生活白書』では、国民の中流意識が定着した、と宣言した」(※現在、総理府は格差の拡大と貧困層の増加を認めている。数字の裏付けなしにだが…)「消費税増税はやむを得ないが、食料品などの生活必需品を非課税あるいは軽減税率にするのではなく、『聖域なき』一律課税にして所得税体系を大幅に変更し、所得税増税による中低所得層への負担増を軽減する」「少なくとも4人家族の標準世帯(年収500~700万)の所得税は非課税にして、年収1000万円超の層は累進的に課税を重くし、年収2000万円以上の高額所得層の所得税率を50%に引き上げる必要がある(現行の最高税率は40%)」
その後、安倍政権は私の主張の一部をパクった。相続税を高くして高齢者富裕層の資産を若年層に移転させるために相続税法を改定したが、肝心の贈与税の抜本的改定を行わず「孫への教育目的の贈与についてだけ非課税枠を設ける」という中途半端な改革を行った。また所得税法も一部改定し、高額給与所得者の給与所得控除だけいじって事実上の課税強化を行った。が、思想なき税制改革のため、効果はあまり期待できない。
安倍総理は選挙の争点として、消費税増税分の一部を若年層向けの援助(おもに教育費の国による負担増)に振り向けるという主張をしている。消費税増税が可能な経済状況であれば、安倍案に反対する人はまずいないだろう。だが、過去最長の経済成長をつづけた「いざなみ景気」(02年2月~09年3月の73か月間)をいま更新しつつあると安倍総理はアベノミクスの成果を誇るが、いざなみ景気もいまの「好景気」も高度経済成長期の「神武景気」や「いざなぎ景気」のときのような「好景気」の実感をほとんどの国民は持っていない。成長率が神武景気やいざなぎ景気に比べて低すぎるというだけでなく、「経済成長しているにもかかわらず消費は鈍化したまま」だからだ。経済成長の恩恵が富裕層に集中し、消費活動を下支えする一般庶民(中低所得層)の実質収入が増えないため、多くの国民は「好景気」を実感できない。
安倍総理は一生懸命、アベノミクスの成果をGDPや大高卒就職率、求人倍率などの数字を持ち出して誇るが、株高や不動産バブルと関係がない庶民にとっては、「どこの世界の話だ」ということになる。
そもそもアベノミクスが「デフレからの脱却」を目的にしたこと自体に、私は疑問を抱いている。デフレは庶民の消費活動にとっては、決してマイナスではないからだ。供給が需要を上回ることによって物価が下落する状況が「デフレ」だが、収入が減らない限りデフレはむしろ消費を刺激する。敢えて金融緩和によるインフレ政策をとらなくても、消費が拡大すれば需要が供給に追いつき、自然に物価は安定に向かう。
アベノミクスに対する評価・分析は争点検証の最後に行うので、このあたりでやめるが、私は消費税増税は「リーマン・ショック級の経済打撃」が生じない限り、断固行うべきだと考えている。ただ、増税時期までの2年間、果たして金融機関が持つだろうか、という疑問を実は私は持っている。もし、その間に不動産バブルが崩壊し、カードローン破綻者が続出するような事態になれば、それこそ「リーマン・ショック級」の大打撃が日本を襲う可能性があるからだ。
実は私はその可能性について、すでにブログ投稿すべく原稿を仕上げている。投稿しようと思っていた矢先に解散劇が始まり、いま「お蔵入り」させているが、選挙が終わり次第、時機を見て投稿する。
消費税増税に当たっては、もし増税が可能であれば、すでに書いたように「聖域なき」一律増税にすべきだ。消費税が逆進性の税制であることは私も否定しないが、公明党が主張するように食料品に限って「軽減税率」を適用するのは、国民の理解が得られない。たとえば富裕層にしか手が出せない高級和牛のひれ肉と、低所得層が買うオージービーフが同じ軽減税率になることに、国民の理解が得られるだろうか。低所得層に対する救済策は別途考えるべきで、例えば給付金制度を復活させるとか、ちょっと大変だが食料品購入や外食(コンビニの弁当も含む)のレシートで消費税を還付する制度を設けるなどの方法で対処すべきである。
確かに高率の付加価値税制度を導入しているヨーロッパ諸国の大半は食料品の非課税もしくは軽減税率方式を採用しているが、そもそもヨーロッパの間接税導入の歴史は古く、コンピュータなどない時代に導入されたこともあって、低所得者対策として採用されたという経緯がある。いまではヨーロッパでも低所得者対策の在り方の見直しが議論されており、課税の実質的負担の公平性を担保するという面から考えても、かえって「消費格差」を拡大しかねない軽減税率方式は導入すべきではない。
安倍総理は希望の党に対して「選挙目当ての野合」と批判しているが、自民党自体が選挙目当ての公明党案丸呑みをしているではないか。そういうのを「目くそ、鼻くそを笑う」という。
消費税増税分を若年層(幼児を含む)に対する福祉に振り向けるという政策については、次回のブログで検証する。ただ、安倍総理が命名した「国難突破解散」の国難の一つとして挙げた「少子化問題」は、保育所の増設や保育士の待遇改善で解決できるような問題ではないことだけ言っておく。
また最近は「少子高齢化」と言い換えているが、高齢者対策については何も言っていない。まさか、高齢者の生存定年制を設けるなどと考えているわけではないと思うが…。