フリージア工房 国道723号店

ハロプロメンバーを応援してアイドル音楽を愛するエッセイブログ

前田敦子という時代

2012-08-27 23:33:00 | アイドル etc

 AKB48の前田敦子さんが本日AKBを卒業しました。おめでとうございます。
 前田さんと言えばAKBでは人気ナンバーワンの存在として何年も活躍してきました。AKBはこれだけの人気を得て、そして主力メンバーは高い知名度を得た。前田さんはその知名度に於いてもAKBトップでありましょう。
 テレビに出ているAKBは華やかで、イマドキの空気感を身にまといながら輝いているし、輝く演出を受けている。しかし、そんなAKBの顔とも言える前田さんは華やかなAKBでは地味に見える。スタジオのライトを受けて輝く人気メンバー達の中でひっそりと佇んでいる。その姿は「国民的アイドルグループ」と言われる集団の中心としてはあまりにも地味。
 でも、それこそが前田さんの魅力であり、面白いところなのでしょう。人気アイドルグループのエースは華のある存在であるという定石を覆し、おとなしそうな子がエースであるからこそ、過剰なくらいのメディア露出を続けるAKBの陽性な華やかさを中和させる効果もあったのかもしれません。

 AKBというアイドルグループは旧来のアイドルフォーマットで売り出され、旧来の芸能システムで儲けを出せる最後のアイドルグループなのではないかと思っています。これからの未来型アイドルグループへのバトンを渡す役目を果たす適任者はどんな人がいいのか?それは現代の女の子の代表みたいなイマドキ娘ではなく、どこか陰性なキャラクターを持つ女の子が、昭和の風景を感じさせながらしとやかにバトンを渡す方が時代更新の儀式に相応しいような気がします。

 そう、CDを買ったり、紙媒体の写真集を買ったりして応援するという旧来のアイドルから次の時代に移り変わる前に、派手なくらいにモノを売りまくったAKBはおそらく時代の流れとともに一つの時代を終える事でしょう。
 次に待ち受けている者は誰かはわかりませんが、前田さんの卒業とともに旧媒体の消費を重ねてステイタスにするアイドルスタイルは終わる。

 週末に秋葉原駅に行ったら、構内のあちこちに前田敦子さんの写真パネルが飾られてありました。様々な紙媒体を飾ってきた前田さんのベストショットを集め、その写真パネルには掲載媒体名も書かれてありました。
 時代を飾ったスター女優などを「時代と寝た女」と表現する言葉がありますが、前田敦子さんは、さしずめ「時代の媒体を静かに彩ったアイドル」という事なのだろうと思いながら、私は前田敦子さんの写真パネルを見つめるのでした。

コメント (1)
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