Buono!の新曲「夏ダカラ!」があまり売れなかったそうで、まあアルバム先行シングルだし、仕方がないよなあと思いつつも心配するのでした。
いや、正確に言うと心配はしていない。こんな事を言うのは逃げているみたいだが、Buono!は売上にあまり縛られず活動してほしい。三人には帰る場所があるのだから、Buono!では帰る場所の方ではやれない、やらない音楽を追い求めればいい。スタッフの人達もそう思っているのだろう、明らかにベリキューとは違う方向性で今までもやってきたのです。
そんな感じでこの新曲なのですが、Berryz工房にしても、℃-uteにしても、最近のシングルは「爽やか」という方向からは離れたものになっているから(桃色スパークリングは別)、Buono!が今回爽やかポップスを歌ってきた事はハロプロ界に於ける補完作用が働いて、私などは「これでいいんだよ!」と手放しで褒めてしまうのだけれど、彼女達がやってきた方向性を今まで支持してきた人からすれば「そうじゃないんだよ!」と思うのだろう。その気持ちはわかる。
「ガールズロック」というキーワードで活動してきたBuono!だけれど、持ち歌が全部ビートが利いた歌ばかりでもない。そんな事はアルバムもしっかり聴いているBuono!ヲタなら今更言うまでもない事だろう。いわゆる「聴かせる」曲にも良曲の多い彼女達だ。でも、それをシングルで切ってくるのは違うんじゃない?という考え方もあるだろう。
しかしだ、Buono!がサウンドだけでなく歌詞なども含めた、ユニットが醸し出す世界観を大事にしてきた事は、何もビートが激しいイコールRockという単純な図式で描けるものでもないのです。シングル「MY BOY」はアリだけれど、「Take it Easy!」は違うという意見が以前もありました。私はその時も「Buono!の世界観が失われていなければ曲調は速くなくてもいいのだ」みたいな事を書きました。あの曲も「前向きな歌詞。どこか優しい気持ちになる曲の雰囲気」はBuono!そのものでした。
そして、今回のシングル。MVを見てもわかる通り、これはBuono!以外の何者でもない。おそらく、この曲をBerryz工房が歌っても、℃-uteが歌っても、ちょっと違う。合わなくはないけれど、やっぱりこの曲はBuono!が合う。Buono!のイメージで作られた曲です。三人が帰る場所の時よりもリラックスした表情で歌う。その顔を見ているだけで何かチカラみたいなものを受け取ったような気がしませんか?
そう、つまりがこれがBuono!の本質です。ガールズロックなどというのは魅力の側面に過ぎない。或いは売り出しのためのわかりやすいキャッチコピーみたいなもの。Buono!は「正統派アイドルユニット」なのです。見ていると明るい気持ちになれる存在。
モーニング娘。は言うまでもなく、かつては青春アイドルポップスの真ん中を歩いていたBerryz工房も今や路線が変わり正統派アイドルという感じでもない。℃-uteはダンスユニットというイメージもあり、Berryz工房よりも先に正統派アイドル路線から外れている。
そんな中、前向きな歌詞、爽やかなカラー、それを一貫して続けているBuono!こそ、ハロプロで一番アイドルユニットらしいユニットだったのではないか?そう気付きました。だから一時期はベリキューよりも売れていたのでしょう。我々はアイドル音楽を愛する人々なのですから、よく出来た正統派アイドルサウンドを支持するのは当然の流れです。
しかし、時代は流れて今はハロプロ以外にも正統派アイドルサウンドを目指すグループがいくつも出てきた。結果、Buono!が持っていた求心力みたいなものの絶対性が薄れてきた。それが、この一年ちょっとの間のセールスダウンの理由なのではないでしょうか。
でも、先に書いたようにBuono!は売上を気にして路線をあれこれいじって欲しくないので、この道を歩き続けて欲しいです。むしろ、以前のように「とにかくノリが大事だぜ!突っ走るぜ!誰も止めらんない」みたいな青さ全開よりも、色んなサウンドを自分達のカラーで歌える今のBuono!はステキやんと言いたい。無理矢理に理屈を付けている訳でもなく、本心からそう思います。
だから、アルバムも楽しみなのです。
Buono! 『夏ダカラ!』 (MV)