嗣永桃子さんという人は、どこか懐かしさを感じる人であります。郷愁めいた懐かしさとは、ちょっと違うけれど、変わらない風景みたいな優しさ。
そこに写し出されているものは今なのだけれど、その今をデジタルではなく、フィルムで表現しているような。そんな懐かしさ。フィルムカメラやビデオフィルムをリアルタイムで経験した人でないと感じられないような形式ばったものではなく、もっとわかりやすく、誰でも実感でっきる。その懐かしさには普遍性が備わっていると感じるのであります。
そんな事を随分と前から感じていて、でも時間の流れとともに、そんな輪郭はぼやけていってしまうのだろうと思っていました。しかし、それはぼやけるどころか、年齢を重ねるほどにコントラストがはっきりしてきました。もう揺るぎないものである。そう思えたのは、Berryz工房の活動休止前でしょうか。
ここまで、そのコントラストがぼやける事なく年齢を重ねて来られたのだから、ずっと不変であるに違いありません。年の離れたメンバーたちと一緒にアイドルをやっていても違和感はまったくない。それが出来るのは当然なのです。
でも、ある時ふと思った。いくらここまで懐かしきコントラストを描き続けてきた桃子といえども、それが三十歳四十歳になっても持続可能なのだろうか。勿論、その年齢に達した時、同年代の他の女性よりも、その懐かしきコントラストは強めでありましょう。しかし、アイドルは年齢による階級など無しな無差別級。全体の中に存在する己こそが評価の対象であり、桃子の中で自己完結できていれば万事すべてよし。人気も安泰。などという単純な話ではありません。
時計はちゃんと動いている事はみんな気づいていた。ただ、終了のチャイムがいつ鳴るのかだけを、心の底で気にしてきたのだと思います。
年齢で自分に線引きして色んな事を諦めるような人ではないと思えるし、諦めるためのタイムリミットではなく、歩き出すためのスタートラインが引けるタイムリミットが、二十五歳なのでしょう。そういえば、あの方も二十五歳で一旦区切りを付けましたっけ。やはり必然なのでしょう。
発表は突然だったから衝撃ではあったけれど、出した答えは十分すぎるくらい理解と予想できるものでした。
残された芸能生活の日々は、どんどん少なくなっていくけれど、あなたが最後に自分の場所として選んだグループは、あなたと共にキラキラしていますよ。そう伝えたい。これからも、ずっと懐かしきコントラストを湛えた努力の才女であるであろう、あなたの姿を。
※先週のアプカミでのレコーディング風景。髪を下した姿に大人を感じました。
https://www.youtube.com/user/theuflicks
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