
私の古里奥会津只見では、スギヒラタケをスギモダシと呼んでいました。
「さんたろ、裏の杉林に行ってスギモダシを採ってきて・・」幼い私に母は言いました。スギモダシは子供でも手軽にとれて味噌汁に入れるとおいしいキノコでした。
10年ほど前までは爺いの私とばばちゃんの家内は秋になるといつもスギモダシを里山から採ってきて味噌汁に入れて秋の味覚を楽しんでおりました。それは古里只見を懐かしむ味わいでもありました。
それがどうしたことでしょうか、2004年のころ日本海側の9県でこのキノコを食べて急性脳症の中毒を59人もの人がおこし19人もの人が亡くなったと報じられスギモダシは恐ろしい毒キノコとなったのです。おいしいと思っていた秋の味覚が突然に猛毒のキノコに変わったのです。なぜなんでしょうか?・・原因理由は分からないんだそうです。
怖いですね、爺いの私も、ばばちゃんの家内も、もう10年もこのキノコを食べていません。あんなに手軽にとれて、あんなにおいしかった秋の味覚のキノコだったのにです。
取り上げ峠の登山道の杉林の中にたくさん生えているスギモダシを見ながら、古里只見では遠い遠い昔から親しんできたキノコなのになぜなんだろう、食べる気はもうしないけど世の中変わっていくんだなとしみじみ思いながら山の道を登りました。里山のキノコは放射能汚染の心配があるから採らないようにしましょう。そんな声を聞いたようなことも思い浮かびました。
ナメコもブナシメジもマイタケもシイタケも今は全部栽培物をスーパーから安い値段で購入し食べています。でもこの前古里の友人から山の自然ナメコを頂いて食べながらスーパー産のナメコは味が薄いなとばばちゃんと話し合いました。山の自然ナメコは大きさも不揃いなんですけど味に深みがあるんですよ。ほんとうにおいしくて、それに人の心があるように思えるんですけど・・どうなんでしょうかね・・