あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 周防大島&上関キャンプツーリング(2)_ダブルヘッダーツーリング

2010年05月04日 | 旅するシーカヤック
2010年5月3日(月) 周防大島の浜に張ったテントの中で目覚める。

暑くも寒くもない、キャンプに最適な気候の快適な夜だったので、薄いダウンのシュラフに包まって、朝までグッスリと眠ることができた。
***
朝食は、私の定番である『うどん』 朝の海を眺めながら、玉子を落とした温かい月見うどんをすすっていると、目が覚めてくる。 他の人たちも起きてテントから出てきはじめた。 『おはようございます』 『おはよう』 朝の挨拶を交わす。

食事が終わるとコーヒーを飲み、荷物を片付ける。 朝漕いだら、次の場所に移動する予定である。
8時20分。 出艇の準備が完了。

昨日はこの浜から西に漕いだので、今日は東へ。
沖にある島の西端を目指し、穏やかな朝の瀬戸内海を漕ぎ進む。 島を超えたらバウを東に向け、沖家室島へ。
沖家室島までの瀬戸は潮が重く、なかなか進まない。 一漕ぎ一漕ぎ、しっかり水の重みを受け止めながら、焦る事なくジワリジワリと漕ぎ進む。
 
沖家室島にタッチして、Uターン。 再び重い潮の中を漕ぎ戻る。
***
ふと、パドリングを止めてみると、そこは静寂の空間。 うっすらとした朝靄に覆われた、べた凪の瀬戸内海。 パドリングの音が消えると、よりいっそう聴覚が研ぎすまされる。

『タン タン タン タン タン タン』 遠くから聞こえてくるのは、沖を行く貨物船のディーゼルエンジンの音。

『コケコッコー』 後ろの集落からは、朝を告げる鶏の声。

『ホーホケキョ ケキョケキョ』 山からは鳥のさえずり。

朝靄の海。 波一つない海面に、小さな小舟に乗って独り漂っていると、なんだかとても不思議な気分。 長さ5m、幅60cmほどの、まるで笹舟の様な小舟で、こんな広い海の上に、ぽっかりと浮かんでいるのだ。 これって現実なのか?
広く大きな海の上で、自分が乗っているシーカヤックの薄いFRP一枚隔てた下は海なのだということを、再認識する。

独りきりの心地良い空間で、なんとも言えない不思議で貴重な一時を過ごすことができた。 これぞ、ソロツーリングならではの時間である。
『うん。 今朝はここに漕ぎにきて正解だったなあ』
***
再び漕ぎ出し、浜に戻ると、ちょうどH君主催のツーリングが始まるところであった。
『今日はどこですか?』とH君。 『うーん、今から考えるよ』と私。 『それじゃあまた』 『そちらこそ楽しんで』
 
シーカヤックをカートップし、着替えると、お昼ご飯を食べに『芋喰い島』へ。 おいしいワンコインランチを食べながら、『さて、どこ行こう?』

しばし逡巡し、『そうだな。 久し振りに、刎島へ行ってみるか』
***
周防大島を出て、平生へと向かう。 いつもの浜に到着し、すぐにシーカヤックを降ろして出艇準備。
日帰りなので、装備は安全装備とお茶だけだ。
 
目指すは、目の前にある刎島。 この無人島は、お気に入りの島の一つ。
 
太陽はギラギラと照りつけるが、海に出ると涼しい海風もあり、なかなか快適なパドリング。 干潮時に現れる砂州と青い海とのコントラストが織りなす優しい景色を楽しみ、すぐ裏側に回ると、今度はロックガーデンの荒々しい風景が堪能できるというのが、この刎島の面白いところである。
***
1時間ちょっとのお散歩ツーリングを楽しみ、浜に戻ってきた。
今日は、朝は周防大島の南岸、午後からは上関の刎島と、久し振りのダブルヘッダーツーリングを堪能した。 『いやあ、これで連休らしいキャンプツーリングになったなあ、大満足!』

シーカヤックを引き揚げ、道具を片付けると、近くの温泉へ。
この温泉がオーシャンビューのお風呂で、眺めは最高。 傾いていく太陽と、日に照らされてギラギラと輝く海、そして浮かぶ島々を眺めながらの癒しの入浴。

駐車場からも、お風呂からとほぼ同じ景色が堪能できるので、風呂上がりにパチリ。 『あー、さっぱりした』
 
***
今日は、埠頭で車中泊の予定。 たっぷりと時間があるので、夕方には近くの山にある展望台へ。
初めて訪れたのだが、なかなか良い景色である。
 
少し靄がかかっているのが残念だが、瀬戸内らしい景色が堪能できる良いスポット。

今回のキャンプツーリングは、最高の天気の中、周防大島の南岸と、上関の刎島を楽しむことができて、なかなか充実したツーリングとなった。 やっぱ、シーカヤックはキャンプツーリング/旅するシーカヤックに尽きるなあ。

今日のダブルヘッダーを2漕ぎとすると、昨日と合わせてこれで今年は20漕ぎ目。 なかなか良いペースである。
さて、次はどこ行こう?

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瀬戸内シーカヤック日記: 周防大島&上関キャンプツーリング(1)

2010年05月04日 | 旅するシーカヤック
2010年5月2日(日) 連休前半は風が強い日が続いていたが、ようやく天気が落ち着きそうだ。 さあて、どこに行こうか?
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朝、4時半に起床。 朝食を摂り、5時になったらPCを立ち上げて、最新の天気予報をチェックする。 キャンプツーリングに出発する朝のルーチンワーク。
今回は、昨夜の時点で目的地を4ヶ所に絞り込んでいた。 朝の天気予報で、どこを漕ぐかの最終決定をするのである。 『先船を漕ぐな!』

ようし、決まった。
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朝、5時半。 『じゃあ、行ってくるけん』 『どこに行くことになったん?』 『周防大島』 『分かった。 気をつけて』
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9時。 出艇準備完了。 今日は、周防大島の南岸を漕ぐ予定。

風もなく穏やかな海。 誰もいない静かな浜から漕ぎ出した。
 
岬を超えると、そこから先は人の手の入っていない自然海岸が続いている。 宮本常一氏は確か、『人の手の入った景色は良いものだ。 それはどんなものであれ、生活を良くしようとして手を入れているからである』という様な文章を残されているが、高度成長期を経て”過度に”人の手が入った今でも、先生は同じ事を言われるのだろうか、などと考えながら自然海岸沿いに漕ぎ進む。

最近漕いだ倉橋島の南岸や島根半島に比べると透明度は低いが、それでも充分きれいな海であり、初夏を思わせる陽気の中の快適なツーリング。

1時間ほど漕ぎ進むと自然海岸は途切れ、集落が見えてきた。 浜では親子が何かを探している様子。
近付き、『こんにちは。 何か獲れるんですか?』と聞いてみると、お母さんが、『潮が引いて岩が出たら、子供に小さいカニでも探させようと思って』との事。 のんびりまったり海辺で遊ぶ連休の一日。 子供もよろこぶ事だろう。

波止から出て、その少し先まで漕いでみたが、ここから先は護岸が続いている。 やはり、現代のシーカヤッカーにとっては、人の手の入っていない海岸の方が好もしいようだ。 さて、引き返すとしようか。
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帰りは、湾をグルリと回って帰る事に。 途中の雰囲気の良い浜にカヤックを引き上げ、しばし休憩。
 
こんなきれいな浜を独り占め。 気分は爽快である。
***
再び漕ぎ出し、漕ぎ進むと海蝕洞が。

すぐ横には浜があり、時間も11時半過ぎ。 ここでお昼ご飯にしよう。
 
快適な浜に座り込み、持参したパンを食べ、お茶を飲む。 のんびり、まったり。 
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出発した浜に戻ると、ちょうど12時。 今日は、3時間のツーリングであった。

太陽はギラギラと照りつけ、長袖シャツを着ていると汗が噴き出してくる。 これは完全に誤算。 ここ数週間の気候で、寒さ対策はしてきたが、半袖Tシャツは1枚しか持ってきていない。

汗をかきかき、テントを張り、荷物を運ぶ。

夜までまだたっぷり時間がある。 テントの前にシートを敷いて、ゴロリと横になり、ラジオを聞いたり、本を読んだり、iPod-nanoで音楽や落語を聞いたりして過ごす。

しかし暑い。 あまりの暑さにたまらず散歩に出かける事にした。
1時間ほど、近くを散策した後は、近くの温泉へ。 汗を流し、筋肉をほぐす。 『あー、気持ちいい』
***
夕方、その浜に、昔なんどか海でお会いした事のある山口のカヤッカーの方が二人来られた。 今日はここでキャンプされるとの事。
挨拶を交わし、しばし四方山話。 一人の方は、私のブログを見ていただいているとの事。 様々な場所で出会うシーカヤッカーの方に、『ブログ読んでますよ』と声を掛けていただく事が増えており、これは本当にうれしい事である。

また、その方達によると、近くで商業ツーリングをしているH君も、今晩この浜に来るらしい。

三浦半島や伊豆などとは違い、エリアが広くてカヤッカー人口が少ない瀬戸内では、他のカヤッカーと出会う事は余りないのだが、珍しく今回は知り合いが集まりそうだ。

夜、H君や懐かしいK竹さん達と、しばし焚き火を囲ませていただき、東西のシーカヤック文化の違いやガイド業のあり方などについて語り合ったあとは、いつものようにバカ話をしながらおいしいお酒をいただいた。 皆さん、ありがとうございました。
***
少し暑かったが、絶好のコンディションの中、漕いで遊んで、話して飲んで。 のんびりまったりとした休日の一日を堪能した。
さあて、明日はどうしようか?

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