有給休暇を取る金曜日に向け、先週の海外出張の時差ぼけは、月曜火曜で調整が済んだ。
が、木曜日の寒波。 広島でも北部では初雪が降り、南部でも強風で海は大荒れ。
尺取り虫方式の瀬戸内横断も、前回の旅で播州赤穂までたどり着いている。
ゴールまで約30kmとなり、あと1回の旅で目的地である姫路の的形に到着する予定。
そしてこの週末は、潮流がちょうど良いので金曜日に有給休暇を取り、金土でゆっくり旅を楽しむつもりであった。
***
しかしながらこの寒波。 木曜日の夜に天気予報をチェックしたが、金曜日はまだ風が強い予想。
『うーん、これは。。。』
ただ、予想天気図を見ると、土日にかけて風は弱まりそうなので、金曜日に漕げなくてもなんとか行けそうである。
『ようし。 金曜日は播州赤穂で泊まってのんびり散策を楽しむとしようか』
尺取り虫の旅も、遠くになると移動が大変なのである。
金曜日に播州赤穂に泊まっておけば、土曜日の早朝から漕ぎ出す事ができる。 距離は30kmほどなので、風次第ではあるが、上手く行けばその日のうちにゴールできる予定。
という訳で、さっそく赤穂に宿を取り、旅の準備は完了である。
***
2014年11月14日(金) 今日は赤穂への移動だけなので、ゆっくりと出発。
『じゃあ、行ってくるよ。 無理はしないつもりだから、風が強くて漕げないようなら、観光だけして帰ってくるつもり』
そう、俺のシーカヤック旅のモットーは、『先船を漕ぐな』、『待てば海路の日和あり』
『何月何日までにどこそこにゴールする』というふうに決め(これが”先船を漕ぐ”こと)、無理をするのは非常に危険だし、何より楽しくない。
のんびりまったりの気ままな一人旅。 『待てば海路の日和あり』こそが、安全に旅を楽しむコツであると信じている。
防水バッグを収納できるよう、バタフライカヤックスさんにお願いした特注カバーに荷物一式と、愛用のパドル_アークティックウインドを収納し、今回は寒波がやってきているということで、今年初めての『ドライスーツ』をメッシュバッグに入れて背負っての旅装。
***
ホテルに荷物を預け、赤穂の街の散策に出掛ける。
やはり赤穂と言えば、『赤穂義士』のようだ。
12月には、『赤穂義士祭』が行われるとの事。 その時には街も賑わうのだろう。
城跡へも足を伸ばす。
神社へもお参り。
今日はまだまだ風が強い。 海に出なくて良かったなあ。
***
夕方には、食事のために『衣笠』さんへ。
ここは蕎麦の店。
まずは、『牡蠣の陶板焼き』でビールをグビリ。
そして『十割蕎麦』
その後は、豆腐の天ぷらを赤穂の塩でいただきながら、日本酒をグビリ。 『ああ、良い夜だ』
***
2014年11月15日(土) 朝、5時に起床。 部屋でカップ蕎麦を食べ、出発の準備。
日の出が6時半頃なので、その頃には前回舟を揚げた『大塚海岸』には到着したいと思い、5時45分にチェックアウトして駅前に行くと、なんとタクシーがいない。。。
ホテルに戻り、『タクシーを呼んでもらえませんか?』 すると驚きの回答、『タクシー会社は、6時半からなんです』
えー、タクシーって24時間営業じゃないのか!
『一応電話してみましょう』と、ホテルのお姉さんが何社かに電話してくださったが、どこも電話に出ないようだ。 『じゃあ、6時半までここで待ちます』
ようやく6時半になり、タクシーを呼んで『大塚海岸へ』
ちょうど、日の出を眺める事ができた。
海も穏やか。 『これはなかなか良い朝じゃあないか! 待てば海路の日和あり』
クルーソー460_旅するシーカヤックスペシャルを組み立て、出艇準備完了。
尺取り虫旅のゴールである的形まで、約30kmの行程。
天候によっては途中でキャンプできるように装備しているが、順調に行けばたどり着ける距離である。
今日は、7時45分に漕ぎ出した。
***
坂越湾を横切り、
室津の前を漕ぎ、新舞子の海水浴場を超えると工業地帯へ。
この辺りから西風が強くなってくる。 今朝の天気予報では、昼頃に西寄りの風6m/s程度の予報。
小さな浜へ上陸してしばし休憩。 お昼ご飯のパンを齧り、暖かいお茶を飲む。
風はどんどん強くなってくる。
防波堤の近くでは、打ち寄せる波と返し波で、ドッタンばったん、結構な荒れ具合。
ただ基本的には幸いなことに追い波であり、この尺取り虫旅で一番厳しい海況の中を、クルーソー460とアークティックウインドの組み合わせで、快調に漕ぎ進んで行く。
このような波の中では、クルーソーのコントロール性の良さが実感できる。 パドリングだけで調整でき、ラダーの必要性は全く感じない。
***
荒れたエリアから、防波堤の裏側の穏やかなエリアに入り、一息ついた。
ここで、アンパンを取り出し、エネルギーを補給。
ゴールまでもう一漕ぎである。
ガス会社の橋を越え
釣り公園の橋を超えると、
見覚えのある懐かしい場所。
そう、バタフライカヤックスの試乗会で初めてクルーソーを漕いだ想い出の場所。
的形町福泊のキャンプ場のある浜に、午後2時に到着した。 『ゴール!』
これで、呉から姫路市的形までの瀬戸内横断尺取り虫旅は完了!
ゴールといっても、新聞記者が待っている訳でも、浜に宝が埋まっている訳でもなく、あるのは無事にたどり着いた安堵の想いと達成感のみ。
でもそれで良いのである。
自分で目標を決め、誰に褒められるでもなく、一漕ぎ一漕ぎ、ひたすら自分だけの力でゴールに近づいて行く喜び。 これこそが、旅するシーカヤックの本質そして醍醐味。
人生において、自分で目標を決め、創意工夫しつつチャレンジし、目標を達成する事以上に楽しい事があるだろうか。
今回の旅では、訪れた場所での観光も楽しみ、居酒屋も開拓し、様々な人々にお世話になりながら、無事230kmを漕いでゴールにたどり着く事ができた。
『カヌーワールド』さんにも記事を書かせていただく事ができたし、本当に、想い出に残る楽しい旅であったなあ!
***
舟を揚げると、まずは妻に電話。 『さっき、無事に的形に到着したよ』 『良かったねえ。 お疲れさま』
続いて、バタフライカヤックスの高嶋さんに電話。 『今、試乗会のあった浜に到着しました。 片付けてから、タクシーで行きます』
フネを畳み、タクシーでバタフライカヤックスさんへ。
お店では、奥さんにコーヒーと手作りのお菓子を出していただき、3人でしばし四方山話を楽しんだ。
漕ぎ疲れた体に、おいしいお菓子がたまらない。 『いやあ、このお菓子美味しいです』 楽しい歓談のひととき。
ゴールした記念にと、ワインまで頂き、うれしく頂戴する。
『ブログを見ていると、美味しそうにお酒を飲まれているので、記念にお酒が好いかと』 『ありがとうございます。 そう、お酒が大好物なんですよ』
こうして、個人的な旅のゴールを一緒に喜んでくださる方が居られるのは、本当に嬉しいものである! 『ああ、やっぱええ旅やったなあ』
姫路駅まで送っていただき、新幹線で家路へ。
荷物が多い旅では、こだま号が便利。
各駅停車の旅だが、これまで漕いで来た230kmの旅の想い出をつまみに飲むビールは最高である!
***
これで、今回の尺取り虫旅は一区切り。
さて、来年はどんな悪巧みを企画しようか。 楽しみだ!
が、木曜日の寒波。 広島でも北部では初雪が降り、南部でも強風で海は大荒れ。
尺取り虫方式の瀬戸内横断も、前回の旅で播州赤穂までたどり着いている。
ゴールまで約30kmとなり、あと1回の旅で目的地である姫路の的形に到着する予定。
そしてこの週末は、潮流がちょうど良いので金曜日に有給休暇を取り、金土でゆっくり旅を楽しむつもりであった。
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しかしながらこの寒波。 木曜日の夜に天気予報をチェックしたが、金曜日はまだ風が強い予想。
『うーん、これは。。。』
ただ、予想天気図を見ると、土日にかけて風は弱まりそうなので、金曜日に漕げなくてもなんとか行けそうである。
『ようし。 金曜日は播州赤穂で泊まってのんびり散策を楽しむとしようか』
尺取り虫の旅も、遠くになると移動が大変なのである。
金曜日に播州赤穂に泊まっておけば、土曜日の早朝から漕ぎ出す事ができる。 距離は30kmほどなので、風次第ではあるが、上手く行けばその日のうちにゴールできる予定。
という訳で、さっそく赤穂に宿を取り、旅の準備は完了である。
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2014年11月14日(金) 今日は赤穂への移動だけなので、ゆっくりと出発。
『じゃあ、行ってくるよ。 無理はしないつもりだから、風が強くて漕げないようなら、観光だけして帰ってくるつもり』
そう、俺のシーカヤック旅のモットーは、『先船を漕ぐな』、『待てば海路の日和あり』
『何月何日までにどこそこにゴールする』というふうに決め(これが”先船を漕ぐ”こと)、無理をするのは非常に危険だし、何より楽しくない。
のんびりまったりの気ままな一人旅。 『待てば海路の日和あり』こそが、安全に旅を楽しむコツであると信じている。
防水バッグを収納できるよう、バタフライカヤックスさんにお願いした特注カバーに荷物一式と、愛用のパドル_アークティックウインドを収納し、今回は寒波がやってきているということで、今年初めての『ドライスーツ』をメッシュバッグに入れて背負っての旅装。
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ホテルに荷物を預け、赤穂の街の散策に出掛ける。
やはり赤穂と言えば、『赤穂義士』のようだ。
12月には、『赤穂義士祭』が行われるとの事。 その時には街も賑わうのだろう。
城跡へも足を伸ばす。
神社へもお参り。
今日はまだまだ風が強い。 海に出なくて良かったなあ。
***
夕方には、食事のために『衣笠』さんへ。
ここは蕎麦の店。
まずは、『牡蠣の陶板焼き』でビールをグビリ。
そして『十割蕎麦』
その後は、豆腐の天ぷらを赤穂の塩でいただきながら、日本酒をグビリ。 『ああ、良い夜だ』
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2014年11月15日(土) 朝、5時に起床。 部屋でカップ蕎麦を食べ、出発の準備。
日の出が6時半頃なので、その頃には前回舟を揚げた『大塚海岸』には到着したいと思い、5時45分にチェックアウトして駅前に行くと、なんとタクシーがいない。。。
ホテルに戻り、『タクシーを呼んでもらえませんか?』 すると驚きの回答、『タクシー会社は、6時半からなんです』
えー、タクシーって24時間営業じゃないのか!
『一応電話してみましょう』と、ホテルのお姉さんが何社かに電話してくださったが、どこも電話に出ないようだ。 『じゃあ、6時半までここで待ちます』
ようやく6時半になり、タクシーを呼んで『大塚海岸へ』
ちょうど、日の出を眺める事ができた。
海も穏やか。 『これはなかなか良い朝じゃあないか! 待てば海路の日和あり』
クルーソー460_旅するシーカヤックスペシャルを組み立て、出艇準備完了。
尺取り虫旅のゴールである的形まで、約30kmの行程。
天候によっては途中でキャンプできるように装備しているが、順調に行けばたどり着ける距離である。
今日は、7時45分に漕ぎ出した。
***
坂越湾を横切り、
室津の前を漕ぎ、新舞子の海水浴場を超えると工業地帯へ。
この辺りから西風が強くなってくる。 今朝の天気予報では、昼頃に西寄りの風6m/s程度の予報。
小さな浜へ上陸してしばし休憩。 お昼ご飯のパンを齧り、暖かいお茶を飲む。
風はどんどん強くなってくる。
防波堤の近くでは、打ち寄せる波と返し波で、ドッタンばったん、結構な荒れ具合。
ただ基本的には幸いなことに追い波であり、この尺取り虫旅で一番厳しい海況の中を、クルーソー460とアークティックウインドの組み合わせで、快調に漕ぎ進んで行く。
このような波の中では、クルーソーのコントロール性の良さが実感できる。 パドリングだけで調整でき、ラダーの必要性は全く感じない。
***
荒れたエリアから、防波堤の裏側の穏やかなエリアに入り、一息ついた。
ここで、アンパンを取り出し、エネルギーを補給。
ゴールまでもう一漕ぎである。
ガス会社の橋を越え
釣り公園の橋を超えると、
見覚えのある懐かしい場所。
そう、バタフライカヤックスの試乗会で初めてクルーソーを漕いだ想い出の場所。
的形町福泊のキャンプ場のある浜に、午後2時に到着した。 『ゴール!』
これで、呉から姫路市的形までの瀬戸内横断尺取り虫旅は完了!
ゴールといっても、新聞記者が待っている訳でも、浜に宝が埋まっている訳でもなく、あるのは無事にたどり着いた安堵の想いと達成感のみ。
でもそれで良いのである。
自分で目標を決め、誰に褒められるでもなく、一漕ぎ一漕ぎ、ひたすら自分だけの力でゴールに近づいて行く喜び。 これこそが、旅するシーカヤックの本質そして醍醐味。
人生において、自分で目標を決め、創意工夫しつつチャレンジし、目標を達成する事以上に楽しい事があるだろうか。
今回の旅では、訪れた場所での観光も楽しみ、居酒屋も開拓し、様々な人々にお世話になりながら、無事230kmを漕いでゴールにたどり着く事ができた。
『カヌーワールド』さんにも記事を書かせていただく事ができたし、本当に、想い出に残る楽しい旅であったなあ!
***
舟を揚げると、まずは妻に電話。 『さっき、無事に的形に到着したよ』 『良かったねえ。 お疲れさま』
続いて、バタフライカヤックスの高嶋さんに電話。 『今、試乗会のあった浜に到着しました。 片付けてから、タクシーで行きます』
フネを畳み、タクシーでバタフライカヤックスさんへ。
お店では、奥さんにコーヒーと手作りのお菓子を出していただき、3人でしばし四方山話を楽しんだ。
漕ぎ疲れた体に、おいしいお菓子がたまらない。 『いやあ、このお菓子美味しいです』 楽しい歓談のひととき。
ゴールした記念にと、ワインまで頂き、うれしく頂戴する。
『ブログを見ていると、美味しそうにお酒を飲まれているので、記念にお酒が好いかと』 『ありがとうございます。 そう、お酒が大好物なんですよ』
こうして、個人的な旅のゴールを一緒に喜んでくださる方が居られるのは、本当に嬉しいものである! 『ああ、やっぱええ旅やったなあ』
姫路駅まで送っていただき、新幹線で家路へ。
荷物が多い旅では、こだま号が便利。
各駅停車の旅だが、これまで漕いで来た230kmの旅の想い出をつまみに飲むビールは最高である!
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これで、今回の尺取り虫旅は一区切り。
さて、来年はどんな悪巧みを企画しようか。 楽しみだ!