今、中学校の理科では「鉱物の種類」について学習をするようですが、わが家には二人の姉のどちらかが、戦前に学んだ頃 用いたであろう「鉱物の標本」があって、小学校の頃「石」に深く興味を持って育ちました。
石(鉱物)の種類は、火山と切っても切れない関係があって、無色の石英、長石と、有色の黒雲母、輝石、カンラン石、磁鉄鉱などがあって、標本には水晶やメノウ、磁鉄鉱、黄銅鉱、緑泥岩、花こう岩、硬砂岩、チャートなど、いろいろな石が入っていました。
箱の中に細かな四角に仕切られた標本の石は、道路に転がっている石と違って、美しい色や光沢を持つ石があって、石にもいろいろあり、きっと生まれる過程でロマンが詰まっているのではないかと思っていました。
やがて、道路建設会社へ入って、資材として「石」を本格的に扱うようになって、この標本が役に立つとは思いもよらぬことでした。当時は河川から採取する砂や砂利は枯渇し、砕石や第三紀層から掘り出す山砂や山砂利を利用しなければならない状況だったのです。
川から山への転換は抵抗がありました。しかし、「石の上にも3年」と言います。実績を重ね、世間が認め始めると次から次へと開発が進み、資材の枯渇という窮地を堕することができました。
あれから、何十年か過ぎました。今は懐かしい思い出となって、私の胸の中に「石の標本」が残っています。