Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

ラジオ風

2011-07-02 21:12:11 | JAZZ
今まで部屋の飾りみたいにその色調だけを時々眺めていた
ドイツの古いモノラルスピーカーを近所に住むオーディオ
先輩とちょっぴりいじってようやく音だしに漕ぎ着けた。
ベークライトというセルロイドに似た素材のショコラカラー
が魅力的でチーク材のキャビネットの上に数年置きっぱなし
だったものだ。ダイヤルディスプレイがない昔のラジオ的な
佇まいが風情を醸しだして、夜半に半分居眠りと音楽が共存
できるようにいつかしたいと夢想していた小型スピーカーだ。
中は16センチくらいの布を被せたアルニコユニットにマッチ
ングトランスが付いていてダンパーの形も覗いてみたことが
なかった。これを普通のスピーカー端子に直付けできるよう
にバイパス工作を先輩が半田ゴテで工夫してくれた。

これをフィッシャーの真空管アンプに繋げてルボックスの
古風なCDプレーヤーで小さな編成の弦楽や女性ボーカルが
一層楽しめることになった。いままで門前の小僧習わぬ経を
読むということわざではないが、シーメンス、テレフンケン
、ツアイスなど往時のドイツ製スピーカーにも接するチャン
スもあった。シーメンスのミントグリーン色した段ボールの
ような特殊な紙を強化した小型スピーカーに接してアメリカ
とは味の違うドイツの力量を痛感した。8インチ程度の小型
ユニットが音を遠くまで暈さずに届かせて、けっして痩せぎ
すにもならないことを知ったのは、ビンテージの深みを知った
四谷時代のことである。
このショコラカラーのユニットには、ごついゴシック書体で
ドイツ読みの「NORA-DYNAMIK」という知らない
メーカー名が印字されている。いつものジェーン・ラッセルの
放つハスキーな声を再生してたちまちこのラジオ風ユニット
の鳴りっぷりの良さに魅了される。相方の先輩も同様な反応
である。またまたこのドイツスピーカーと過ごす時間が増え
て困ったことになりそうだ。