数日間、時雨もようの天気が続いて欲求不満気味だったが、ここ二日は秋らしい好天気になった。遊び友達のA君とは10代以来の横浜っぽい交遊が続いている。彼は父親の倒産のあおりを食らってかなり早くから家業を助けていた。免許も早くから取っていて彼の運転する商業バン車のトヨタタウンエースにもよく乗せてもらって方々へ出かけたものだ。昨日はちょうど彼の住む横浜南部の海沿いのニュータウンでトランペットの金井豊さんが出演する恒例の地域イベントに一緒に行こうと誘われていた。
会場へ行く前の隙間時間が絶好のハゼ釣りタイムとなった。金沢八景の平潟湾はクルマの往来が煩いから河岸を変えようと追浜に近い深浦湾を選んで同行する。近くにいた漁師さんの話では未だ海の温度は21℃らしい。これならハゼも深い場所には落ちていないという意見で一致する。小型の漁船が靄ってある遊歩道沿いの桟橋がしばしの釣り場になる。昨今の環境はハゼ釣り一つでも入れ食いなんて事は稀になってしまった。ところがである。昔みたいな澄んだ体色のハゼが餌を落とすとプルプルっと当ってくる。二時間で30匹の良い型のハゼを釣って溜飲を下げることになった。お目当ての唐揚げの南蛮漬けを数日後には食べていつも本の中で羨ましい思いをさせられている天国在住の江戸前流儀の池波正太郎さんあたりに一泡吹かせてやろうとほくそえむ一時になった。
このところ、ずっと貧果だった釣りだが、案内したA君の目利きを讃えライブ会場を目指す。60歳以上の居住者がすごい勢いで増えているニュータウンの町おこしみたいな企画で今回が5回目だ。毎回聞きに行くのもモノ好きだが訳がある。PAを殆ど使用しない場所で演奏が進む過程でこのトランペットという金管楽器の生き物ぶりが手にとるように見えるからだ。プロっぽいライブハウスではそうはいかない。ミキサーをいじる担当者が再生音にお化粧をかけるから、終いまでその人の耳が選んだ音に支配されてしぶしぶ苦行の数時間を過ごす羽目に陥ることがしばしばある。金井さんは屈指のスタジオミュージシャン、話術とラッパ演奏の加減がとても上手いから聴衆を飽きさせない。昨日も映画やラジオ放送の黄金時代にヒットした時の流れがあっても風化されない曲をたくさんサービスしていた。
イントロ付近で吹いた秋の代表曲「枯葉」では今日の音はどこか難渋していて痩せているなと思った。ところが「知床旅情」とあの有名な唱歌「早春賦」の音階進行の類似性をジジババ連に向かって話してまた吹く、そんなことを重ねているのが丁度関取の四股踏みみたいで、コンチネンタルタンゴの名曲「奥様お手をどうぞ」「追憶のテーマ」橋田ノリヒコのフォークソング曲「風」など中盤にさしかかれば、トランペットの音は艶も乗る。粒立ちも豊か、伸びきる高音の清澄感、いつもの金井さんらしい復調した音調に揃いぶみを齎すのだ。アンコール曲にA君の女友達がリクエストした「ゴッドファーザーのテーマ」などは絶好調で金管楽器が特別に有機的な生き物だということをあらためて知らされることになった。
会場へ行く前の隙間時間が絶好のハゼ釣りタイムとなった。金沢八景の平潟湾はクルマの往来が煩いから河岸を変えようと追浜に近い深浦湾を選んで同行する。近くにいた漁師さんの話では未だ海の温度は21℃らしい。これならハゼも深い場所には落ちていないという意見で一致する。小型の漁船が靄ってある遊歩道沿いの桟橋がしばしの釣り場になる。昨今の環境はハゼ釣り一つでも入れ食いなんて事は稀になってしまった。ところがである。昔みたいな澄んだ体色のハゼが餌を落とすとプルプルっと当ってくる。二時間で30匹の良い型のハゼを釣って溜飲を下げることになった。お目当ての唐揚げの南蛮漬けを数日後には食べていつも本の中で羨ましい思いをさせられている天国在住の江戸前流儀の池波正太郎さんあたりに一泡吹かせてやろうとほくそえむ一時になった。
このところ、ずっと貧果だった釣りだが、案内したA君の目利きを讃えライブ会場を目指す。60歳以上の居住者がすごい勢いで増えているニュータウンの町おこしみたいな企画で今回が5回目だ。毎回聞きに行くのもモノ好きだが訳がある。PAを殆ど使用しない場所で演奏が進む過程でこのトランペットという金管楽器の生き物ぶりが手にとるように見えるからだ。プロっぽいライブハウスではそうはいかない。ミキサーをいじる担当者が再生音にお化粧をかけるから、終いまでその人の耳が選んだ音に支配されてしぶしぶ苦行の数時間を過ごす羽目に陥ることがしばしばある。金井さんは屈指のスタジオミュージシャン、話術とラッパ演奏の加減がとても上手いから聴衆を飽きさせない。昨日も映画やラジオ放送の黄金時代にヒットした時の流れがあっても風化されない曲をたくさんサービスしていた。
イントロ付近で吹いた秋の代表曲「枯葉」では今日の音はどこか難渋していて痩せているなと思った。ところが「知床旅情」とあの有名な唱歌「早春賦」の音階進行の類似性をジジババ連に向かって話してまた吹く、そんなことを重ねているのが丁度関取の四股踏みみたいで、コンチネンタルタンゴの名曲「奥様お手をどうぞ」「追憶のテーマ」橋田ノリヒコのフォークソング曲「風」など中盤にさしかかれば、トランペットの音は艶も乗る。粒立ちも豊か、伸びきる高音の清澄感、いつもの金井さんらしい復調した音調に揃いぶみを齎すのだ。アンコール曲にA君の女友達がリクエストした「ゴッドファーザーのテーマ」などは絶好調で金管楽器が特別に有機的な生き物だということをあらためて知らされることになった。