Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

新着CDのティータイム

2013-04-17 09:00:24 | JAZZ
尊敬するジャズトランペッターの金井豊氏からメールが届いていた。しかしメールを二日間、開けずに横着をしていたために惜しい機会を失ってしまった。14日の夜に届いていたらしい。メールを開けたのが16日の午前という不手際である。横浜・関内駅近くのFAROUTで15日の月曜にライブがあること。そのライブは別名義のバンドのゲストとして同じトランペットの伊勢秀一郎氏が出演するから、金井さんと伊勢さんが珍しく一緒に吹く場がもてるかもしれないという嬉しい内容の知らせだった。14日が仕事の拘束があって明けた翌15日は暇だった。まことに残念だ。

この日は仮眠が満ち足りているから、午前中は部屋の南端にて増えた観葉植物の手入れをしながら人生のリセットを実感する。団地脇の道端で群生し始めた渡来植物らしいオレンジ色のポピーも数輪もいできた。この類にフィットする花瓶は決めてある。明治公園のフリマで昔買った灰釉のひょろっとした一輪挿しの出番である。焼きの関係で水漏れが少しあるが、とても使いやすい。不思議なことにこの花瓶に挿した花はどれもこれも、あの一生涯花ばかり描いたイタリアのモダン画家モランディーの絵のようになることだ。道端の平凡なポピーも予感どおりモランディー風孤客感を帯びてきて満足する。

数日前にドクター桜井さんが代理買いしてくれたスコット・ハミルトンの新譜を開封する。ピアノのヤン・ランングレンなどが参加したスエーデンのバラード集である。スタン・ゲッツ、ポール・チェンバース、サッシャ・ディステルの演奏等で好きになって久しいスエーデン民謡の「ディア・オールド・ストックホルム」が入っている。これは無視できないと思って頼んでいたものである。コペンハーゲンのスタジオで昨年の末に録音したできたてのホヤホヤCDである。

このデンマーク、スタントレーベルのCDだが、アナログテープ収録してからデジタルへの編集をしたものらしい。どうりで音の押し出しは優れているのにナチュラルで柔らかい。バイタボックスの同軸ユニットの再生音像がしっかりするのは、アンプのボリウムにして時計の針に喩えるならば8時半くらいの位置が絶好である。この絶好を心底から堪能できた曲が1940年に作られたスエーデンのポピュラー曲「マイ・ソルジャー」だ。これは正直、最初の「ストックホルム」にも勝るとも劣らないバラード演奏の白眉の感ありである。スコット・ハミルトンの近年の演奏ではこの曲におけるテナープレイは最高と確信する。

そういえば晩年のアル・コーンなどもスカンジナビアへの楽旅にて、テナー音の再結晶現象みたいに素晴らしいバラードを吹いていたことを思い出す。ヤン・ラングレンのピアノは横浜のMM21にあるモーションブルーにて以前聞いたことがある。スコット・ハミルトンとのソロ交換も、バッキングも素晴らしい相性を感じる。やはり「マイソルジャー」のピアノは冴え渡っていて、昔聴いたことのあるメトロノーム盤で弾いていたスエーデンのベンクト・ハルベルクの愛すべきプレイ「遠い部屋」等の曲が持つ同じリリシズムの土壌を感じてならない。

このハミルトンの新譜にはスタントレコードのおまけCDが付録している。中にはヘンリック・グンデみたいなピアニストがフランスのアラン・ジャン・マリーっぽいリズム感を湛えて弾く「ライムライト」のテーマなどにはかっこいいモダニズムが溢れていて、これはよい買い物をしたと溜飲を下げている。伊勢さんには5年間、ロングトーンばかり教わった。しかしその難行の貯金のせいで練習を再開すると回復感が早いことを実感する。こんどは、「ライムライト」のテーマにでも挑戦してみたい気持ちになっている。金井、伊勢という滅多にない組み合わせの機会は逃したけど、ジャズ的には有意義なオフ日になったようである。

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