あとで知ったのだが、ちょうどテレビニュースで湯島の梅も開花が遅れているという日に珍しく都心散歩に出かけた。神田明神、湯島天神という都心のありふれたコースである。知人数名と聖橋の袂で待ち合わせする。お茶の水界隈は若いころからなじんでいる場所だ。相鉄と東海道線の乗り継ぎが上手くいって、電車はお茶の水駅まで所要ジャスト1時間だ。
少し早くついたせいで駅前のビル地下にある「エクセルシオール・カフェ」でパストラミサンドのモーニングセットと珈琲で寒さをしのぐ。ウインドウの外は吹き抜けになっていて視界の広さが心地よい場所だ。対岸の窓辺には下着ショップらしい春めいた色調が大胆にレイアウトされているが、その手前は朝からの霧雨が覆っている。我が陋屋の片隅に一緒に生息するメダカもときどき水面の上層へ春の様子を窺いに浮上してくる。地中の温もりにたゆたっていた水仙もようやく花芽をもたげてきた。春は兆しているがやはり戸惑っている。
湯島天神の梅林は二週続きの雪の影響でちょうど五分咲きの風情、それでも見物客はかなりの数が訪れている。湯島天神で飲んだ昆布茶、神田明神横の茶屋で飲んだ甘酒が戸外で冷えた体にじんわりと沁みてくる。散歩は不忍池を最後に雨天中止、そこで散会となる。上野、御徒町の路地裏に入って蕎麦組、居酒屋組とそれぞれ散らばるが、自分はJR京浜東北線の各駅停車に乗って大井町へ途中下車することにした。母親の兄が住んでいた南品川からも近い駅路地にあるラーメン「共楽」の味を思い出したからである。
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