われらしんじんのこども

真人幼稚園の子どもたちの日々の様子や、
  楽しいエピソードなどをお伝えしています。

うんていする子どもたち

2007-07-13 15:36:36 | Weblog
 真人幼稚園にはたくさんの遊具があります。たとえば園内には積み木、トランポリン、プレイジム、鉄棒、子どもの入れる小さな家、滑り台、などなど。園庭にはブランコ、ぐるぐる滑り台(とみんなが呼んでいる)大型複合遊具、年長児になると登ることが許される木の家。三輪車。水遊び、泥んこ遊びにたくさんの子どもたちが夢中になって取り組んでいる砂場、泥んこ山。そして夏の定番、子どもたちの大好きなプールと、とにかく子どもたちの心を捉えてはなさない面白い遊具がたくさんあります。もちろん、遊具がなくとも子どもは様々な事物の中に遊びの要素を発見し、また作り出していくことができます。子どもにとってはこの園のあらゆる部分が遊びの可能性に満ちているともいえるのです。これは子どもの持つ力の最も優れた点であるといえるでしょう。あるいは、様々な遊具を別のものに見立てて(その形状を利用したりして)本来の目的とは違う遊びに応用してしまうといったことも、彼らにはお手のものなのですね。

 さて、きょうはそんな様々な遊具のなかにあって比較的地味で、ともすると私たち大人が見落としてしまいがちな遊具、「うんてい」について少しお話します。
 皆様もよくご存知のこのうんていですが、子どもたちにはじつは大変な人気があります。なにぶんブランコやトランポリンのような派手さはまったくないので、園庭の中央にあってもあまり目立たない存在ではありますが、とにかくたくさんの子どもたちが毎日毎日次から次へとやってきては挑戦しているのです。
私などが泥んこ山のあたりでダム作りに夢中になっていると、誰かが後ろから呼ぶ声がします。振り向くと、何人かの子どもがうんていにぶらさがってこちら側からあちら側へ行き来しています。
「ねえ、せんせいちょっと見ててよ」一人の子が言い、ぐいっと腕を伸ばしてスタート。年長児ともなるとさすが、一段飛ばしであっという間に反対側へゴールしてしまいます。その後ろに年中、年少の子どもたちも順番に並んでいます。
「せんせい、私も見てて!」次は年中の女の子が挑戦。ゆっくりですが交互に着実に腕を伸ばし、真ん中あたりまでやってきました。けれど握力が続かないのでしょうか、彼女はそこにじっとぶら下がったままそれ以上前に進むことができません。やがて、力尽きた彼女はさっと両手を離し地面に着地しました。「ふうー。くやしい、もうちょっとなんだけどな」彼女は本当に悔しそうにそう言います。「だいじょうぶ。年中さんなら真ん中までこれれば上出来だよ。それに、毎日少しずつやっていたら、あっという間に全部できるようになるよ」私がそう言うと、女の子はにっこり笑って「そうだね、あたし毎日やるよ!」と言い再び順番待ちの列の最後に並びます。この女の子はそれから毎日少しずつやって、今では端から端まですいすいとわたることができます。
 近頃は、年少の子どもたちも見よう見まねで盛んに挑戦している姿が見受けられます。年少児の多くは最初の棒にぶら下がるとそこでじっとしたまま動かず、さっと手を放して地面に着地するというのを繰り返していますが、本人たちはいたって真剣で、見ているこちらも思わず息を呑むような厳粛な心持ちにさせられます。園内外に様々な遊具がありますが、なにも派手で楽しい遊具ばかりが子どもの心を捉えるわけではありません。黙々と粛々とただひたすら自分と向き合って、うんていに挑戦する子どもたちの姿もまた子どもというものの紛れもない真実の姿なのです。試みに私は以前、いったい日にどれくらいの子どもがうんていに集まってくるだろうと観察してみたことがあります。多い時では実に全園児の半数近くが日に一度はこのうんていに挑戦していることがわかりました。そしてこのうんていの面白いところは年齢や体の大きさや筋力の差などともあまり関係がないようなのです。体格がよいからうんていも得意といったふうには一概にはいかないようなのです。体が小さくとも腕力にたけている子はすいすいとやりこなしていたりします。そこがこのうんていの痛快なところであり、子どもたちにとっては挑戦意欲をかき立てられる大事な要素でもあります。例えば、先ほど紹介した女の子などはどちらかと言えばクラスの中ではわりあいおとなしい、物静かな子どもです。ずば抜けた運動能力の持ち主というわけでもありません。それでも、ひた向きな日々の努力によって、うんていの実力についてはおそらく今やクラスの中でもトップレベルなのです。 
 園には250名の子どもが集っています。そこにはいろんな子どもがいて、ひとりひとりにそれぞれ未知なる可能性があり、たとえばうんていひとつとっても様々な子どもたちの様々な思いと日々の鍛錬があります。たとえうまくいってもいかなくても、無心になってうんていする子どもたちの姿に私は心打たれるのです。
 そんな彼らに、私は心からエールを送りたい。


 さて、きょうは7月生まれの皆さんの誕生会がおこなわれました。お誕生児の皆さんおめでとうございました。また給食も本日最終となり、連休明けの17日(火)からは午前保育が始まります。台風4号も近づいてきて沖縄・九州などでは被害が心配ですね。一学期ものこりわずか、梅雨明けが待ち遠しいこの頃です。
 
 それでは皆様、よい週末をお過ごし下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする