われらしんじんのこども

真人幼稚園の子どもたちの日々の様子や、
  楽しいエピソードなどをお伝えしています。

詩『雨の日のだんご虫たちは』

2011-07-04 16:36:36 | Weblog

『雨の日のだんごむしたちは』

           まえだ かん

 

雨の降る季節になるといつも

だんごむしたちのことを考える

植木鉢の下や枯れ葉の下で身を寄せ合い

雨が上がるのをじっと待っている者たちのことを

 

子どもが手に乗せてだんごむしを一匹

大事そうにそうっと見せにきた

差し出された手のひらが静かに開くと

丸まって寝たふりをしている

それからやがてあくびをひとつ背伸びをひとつ

用事を思い出したみたいにおずおずと歩き出す

 

きみこれからどこへ行くんだい? 

そんなにすっかり雨に濡れて

ひとりさすらいの旅に出るのかい? 

ぼくらをこの地球に残して何もかもを後に残して

親指の先が行き止まりでだんごむしはふと立ち止まる

それからまた別の用事を思い出したみたいに引き返す

 

わが家の小さな庭さきも

虫たちにとっては広大な森

手のひらの断崖から見下ろすのは空と大地とを隔てる深淵

猫の額ほどのただの芝生の庭ではない

大人はいつも大きくて立派なものに憧れ圧倒され喜んでいる

でも子どもはごく身近なあたりまえの小さいものが好き

 

朝から降りだした雨はまだやまない

手のひらのだんごむしとぼくら

きょうも宇宙の片隅で

雨がやむのを静かに待っている

 

 

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