あれから一年

　あれから一年がたちました。
　毎日はひとつひとつがゆっくり流れていくように感じられても、一年という時間は過ぎ去ってみるとあっという間の出来事に思われます。
　先日の研究大会で久しぶりに小千谷を訪れ、妙見の崩落現場を改めて見たとき、一年という時間はほとんど何ひとつ解決しなかったのだとつくづく実感させられました。
　建物や車や道路は時間をかけて直せばやがては元通りになります。しかし人の心はそんなに簡単には元に戻りません。形あるものは作ったり壊したりを繰り返すことができます。しかし形のないものは作ったり壊したりできないのです。
　私たち人間はとかく形あるものにとらわれてしまいがちですが、本当に大切なものは形のないものの中にこそあるのです。

　小千谷の幼稚園をそれぞれ訪ねると、先生方をはじめ子どもたちがとても生き生きと元気そうに活動されていて、素晴らしいエネルギーを感じました。私は子どもたちを励ますつもりで伺ったのだけれども、結果的には私のほうこそたくさん励まされ勇気をいただいたような気がしています。この子どもたちならきっと大丈夫だと確信を持つことができました。ありがとうございました。
　私たちもこの新潟市で私たちにできることをやり続けながら、及ばずながらも何か力になれることはないか考えてまいりたいと思います。

　これから先もいろいろなことがあり、本当の再生にいたるまでにはまだ時間はかかるでしょうけれど、小千谷を含む中越全域がいつの日か必ずや復興を成し遂げられますことを心から祈っています。