東日本大震災を受け、県民の防災意識が高まる中、別世界のような静岡県庁を象徴する訓練が来月11日に行われる。
想定外が現実となり防災における巨大津波への対策が求められる中、県がこれまで東海地震で想定していたマグニチュード8のままでいいという県民は極めて少数であろう。
先週、静岡市内で開催された日本地震学会の秋季大会でも、マグニチュード9クラスを想定する必要が研究発表されたが、いまだ県は来年度の国想定見直しを受けてから想定マグニチュードを見直し、津波対策アクションプログラムの見直しはさらにその1年後の平成25年度に行うなどと悠長に構える。
同じく大震災に備える三重県では、国の想定見直しを待つことなく、マグニチュード9クラスを想定した津波シュミレーションを行った名古屋大学の川崎准教授に津波浸水予測調査を依頼しその結果を10月3日には県民に公表し対策を進めている。
あまりに対照的な姿勢だ。
静岡県で9月1日に行われた防災訓練は大雨の影響で屋外での訓練の多くが中止されるなど中途半端なもであったが、なによりも、津波警報を想定した訓練と言いながらマグニチュード9クラスなら浸水する地域を発災直後に通過して一回が浸水する庁舎にを参集せよというシナリオと、浸水の予想される1階にある資機材を津波で通行不可能な道を通って車で高台にある物資拠点に運ぶというシナリオなど危機管理に対する想像力の欠如は深刻である。
来月11日には下田を会場に物資搬送の特化型訓練と称し支援物資の集配訓練を行うが、これもまた通常の訓練の形とは異なる場所・方法で行われる。
理由はマスコミに見栄えのいいようにとのことで通常の訓練では使わないレンタルしたフォークリフトを使った訓練にして見栄え良く、また、防災計画上は県立下田高校が現在の物資拠点であるが、海保など参加関係機関との調整による日程が優先で、総合庁舎で行うという。
しかも計画では拠点要因ではない職員まで見栄え良くとのことでさくら動員するらしい。
お茶をはじめとする農産物の放射能問題への対応で良く分かったと思うが、彼ら役人には県民の生命財産を最優先で守るという意識が無い。彼らがまず守ろうとしているのは自分自身であり、そのために見栄え良くやったふりをすることでしかない。
昨日今日と行われた県の第3回目となる事業仕分け。
これまでの2回で明らかとなった県民の期待への裏切りにより、すでに県民の関心も信頼も薄れてしまったが、これ幸いとばかり当初に比べ県にとってはソフトな影響の少ない「参考」という位置付けを明確にしたものとなった。
「抜本見直し」と言っても名前を変えれば実質は復活、「一部見直し」に至っては文字どおりほんの一部を変えて続行が目に浮かぶ。
来年の富士山の日がその証左となるであろう。
まさに、見栄え良くやったふり、である。
予想どおり搭乗率保証の和解が議会でも承認された。
無責任の体質が継続されたといってもよい。
天災に人災、不幸な時代となってしまった。
日本がギリシャのようになる前に役人の手から政治を国民の手に。
まだあきらめてはいけない。