「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

下田市内に第二の道の駅が必要か

2022-10-21 11:05:26 | 下田市政

下田市箕作区内に第二の道の駅を防災を口実に建設しようとする計画について、
以下の3つの理由から、地権者の一人として計画に同意することは困難である旨表明します。

1 全国的に問題となっている道の駅の騒音問題
道の駅は1993年(平成5年)に登録が始まって以来、約30年を経て現在では全国
で1,100か所を超える登録数にまでなっている。
登録数の増加で認知度や注目度が高まったこともあり、直売所の設置などで地域産業
の振興に寄与する一方で、道の駅の指定要件とその立地をめぐり新たな社会問題も生じ
てきており、現在では歓迎する声ばかりではなくなった施設である。
とりわけ問題となっているのは、夜間の騒音問題である。
道の駅は、その指定要件(整備要件・補助要件)として、24時間無料で利用可能な駐
車場とトイレを整備することが義務とされており、このため整備後に深夜の騒音苦情を
受けて夜間閉鎖をしようにもそれができないといった不都合があり、結果、伊豆ゲートウ
ェイ函南のように、苦情を受けて夜間利用に際してのお願いという立て看板「周辺には住
宅もございます。夜間利用時は周辺の皆様にご配慮いただきエンジンの空ぶかしによる
騒音や大きな声で会話する等、近隣の皆様にご迷惑になるような利用は厳につつし
み・・・・お願い申し上げます。」といった善意にすがるお願いを掲げるか、埼玉県「あ
しがくぼ」のようにバイクの空ぶかしや集会利用による夜間の騒音対策として一部の駐
車場エリアの電灯を消したりして実質一部エリアの利用制限をして被害を少なくするか、
湖西市のように空ぶかしがうるさいとの通報で警察による一斉取り締まりをしてもらう
かなど、できることは限られており、いったん道の駅ができてしまった後の周辺住民の後
悔と苦悩は察するにあまりある状況である。
現地は深夜500m先の鹿の鳴き声も聞き取れるほど静寂な地域であり、周囲を山に囲
まれた同地にあっては気温の低くなる深夜の横に広がる騒音に山の反響音も加わること
となり生活環境は一変しかねない。
ゆえに、どうしても必要という場合であっても、少なくとも、集落から500m以上は
離れた場所、高速道路のサービスエリアのように人家から離れた高地に設置すべきであ
る。

2 箕作地区における道の駅の必要性・経済性について
下田市は平成30年12月3日の第3回下田市建設発生土活用検討会において、敷地
面積1.5ヘクタールの須原候補地に道の駅を要望する意見に対して次のように説明し、
設置に疑問を呈している。
「・道の駅についても大きな立派な施設の整備は難しい。函南ゲートウェイは町が14
億円負担したと聞いている。周辺の道の駅との距離(下田のまちなかへは6,7分程度、
昭和の森道の駅からは20分程度)から考えても須原候補地への道の駅の必要性、利用性
は低いと思われる。」
これに対し、現市長は、令和4年10月7日の市長と語る会において、伊豆半島におい
ては道の駅は距離に関係なく設置が可能であると述べたが、法的には可能であっても必
要性・利用性の低い施設を造るべきではない。
下田市には既に「開国下田みなと」という道の駅があり、年間総経費に対する市民負担
は一人当り2,000円を新型コロナ前から超え、成功しているとは言えない実態である。
また、地域資源を活用し都市と農村の体験交流により地域の活性化を図ることを目的
とした「あずさ山の家」についても理念は立派であるが具体性に欠け指定管理者がさじを
投げる状況にあっては下田市の施設整備と維持管理には大いに疑問が生じるところであ
る。

3 最初に建設ありきという手順無視の問題について
下田市は道の駅について「防災対応のための道の駅」であるとか「防災設備を備えた道
の駅」とうたって整備を進めようとしているが、これは沼津市の鉄道高架化に伴う貨物駅
移転に際し知事が当初は必要性無しとしていたのを防災で有効活用できるとして一転し
て強制収用したり、浜松の海岸近くへの野球場建設について反対意見が大きくなるや、津
波の避難に使え防災機能を持ち得るとし建設推進する姿勢と全く同じである。
防災をいうなら、今何が足りていないのか、避難所機能なのか、物資分配機能なのか、
ボランティア活動拠点なのか、自衛隊活動拠点なのか、まずは必要を吟味してから語るべ
きである。(参考:防災を名目(大義名分)として利用する川勝県政
その上で、基幹集落センターや、稲梓中学校跡地や、あずさ山の家や、近く整備を目指
すだるま大師対岸の公園整備地など、既存の資源の活用と機能分散の可能性について市
において精査した上で、必要な防災機能の規模と立地の条件を整理し、道の駅との一体性
が必要なら道の駅基本構想をしっかり作った上でパブリックコメントにかけるなどして
市民の意見を聞いてから進めるべきである。
単にあれば役に立つだろうという程度で整備を進めるのは浪費家の発想そのものであ
る。まずは必要を冷静に諮ることから整備を進めるか否かを考えるべきである。
その上で、基本構想においては行政需要における必要性の優先の判断根拠や、利用者予
測などを踏まえた財政負担予測なども市民に明らかにし、公論に付すべきである。
(※愛知県日進市では既に策定された基本計画や基本設計もとに物資の輸送拠点やヘ
リポート機能に加え「道の駅はコロナ対策ともなる避難機能がある」などとして防災機能
を強調し強制収用に向けた事業認定申請を行って公聴会が開催されています。賛否は地
域を二分する状態とのこと。反対理由には「24時間駐車による騒音・排気ガスの問題」
をはじめ市がこの施設で子育て支援、農業振興、観光振興等に取り組むなどとしているも
のの具体性がないなど。)

R5.10.3追記  特設サイト「下田市道の駅問題」http://www.omb-shizu.sakura.ne.jp/profile1065.html