県は2月10日に平成27年度当初予算案の概要を公表した。
三重県などの情報公開先進県においては予算編成過程の情報だけでなく知事査定の映像まで公開されており、具体的に予算がどのように執行されるのかもわかるようになっているのに比べると、静岡県の予算の密室査定は戦後民主主義において欠落した参加型民主主義を欠き衰退しつつある欠陥自治体の姿を象徴するものである。
今日は、平成27年度当初予算案についてコメントするとともに、同日発表された平成26年度2月補正予算案についてもコメントしたい。
<平成27年度静岡県当初予算案について>
まずはじめに、県債残高の推移を見てみよう。
未だに増え続けていることがよくわかる。
しかも、昨年の当初予算時に見込んだ平成27年度末の県債残高見込みを今回の見込みでは130億円上回る2兆7,467億円となっているのである。ずさんというより、その場しのぎの粉飾がまかり通っている現実が見てとれよう。
知事が今回の予算を「攻めの予算」と表現したように、予算規模は以下のとおり大きく伸びているのが特徴であるが、事業に新味はない。小手先の手法いじりはあっても、県民が新たな未来を感じられる事業は皆無である。
このため、本日の新聞各紙で紙面を割いて解説されているが、特徴がないだけに各紙見出し小見出しがバラバラである。
その中で、今回の予算の外観を見る上で、一番わかりやすいのが毎回恒例の読売新聞の「サラリーマン家庭に換算」しての解説だ。県の予算案の歳入歳出を1か月の収入支出がそれぞれ月50万円の「ヘイタさん一家」にたとえての解説である。
これによると、月給(県税)は前年より2万円増えて19万円となったが、親からの仕送り(地方交付税など)などが減り、医療介護にかかる支出などが増えたため、趣味に使うお金(自由に使えるお金)を増やせず「なかなか楽にはならないなあ」とぼやく姿が描かれている。新たな預金引き出しと借金を毎月9.7万円しながら、毎月7.4万円返すという苦境もよく分かる。
また、知事部局内に総合教育局を設置し予算をつけるなど教育に介入したくて仕方ない知事は「よい人材が作り上げられていくメカニズムを作っていく」などと述べたそうであるが、これに対して毎日新聞の「教育制度は株式会社化」というコラムが鋭い指摘をしていた。学テ騒動に関連した教育行政の一連の動きを見て、「上意下逹になじみ、ノルマをこなし、短期で効率よく利益を上げる人間を育てるだけが全てではない」というのはそのとおりであり、今の県行政にも通じる問題提起である。
<平成26年2月補正予算について>
新年度予算の陰に隠れてあまり取り上げられていないが、今回の補正予算は「ばらまき」ぶりが顕著なものとなっている。
もとより、この予算の原資は国の交付金であり、アベノミクスの景気刺激策・消費拡大策の一環、地域振興券に変わるバラマキ事業であるが、かつての地域振興券とは異なり、具体的用法は地域ごとに創意工夫が可能なものとなっているのが特徴である。
この国の総額2500億円に及ぶ地域消費喚起・生活支援型の地域住民生活等緊急支援交付金については、静岡県への割り当て額は25億11百万円であるが、これをどのように使うのかが地方自治体の能力の見せ所となるのである。
静岡県はというと、この予算25億11百万円全額を、地域消費喚起型事業費として、以下の用途に使うという。
・通販サイト等で、ふじのくに名産品を割引販売
・ウェブキャンペーンやツアーを利用した県内宿泊者に対する料金割引
・県内宿泊と体験メニューのセットプラン利用者に対する料金割引
静岡空港利用の訪日客向けがメインターゲットであることが見え見えである。
まさに、コラムの指摘どおり。空港の利用者数を増やすというノルマのため、短期で効率よく増やせる補助金バラマキをして成果を上げるが、地域消費を喚起しこれを持続させるという事業の本質を見失った一過性の観光宿泊費用割引に偏った使い方で終わるのが見て取れるのである。
これでは、他県との地域間競争に勝てないだろう。
<公文書開示請求>
最後に、不十分な予算情報公開のため事業の詳細が県民にはブラックボックス化している現状が変わらないため、毎年のこととなってしまっているが、以下の事業について、本日、公文書開示請求を行ったので以下公表する。
・・公文書開示請求内容・・
平成26年度2月補正予算案及び平成27年度県当初予算案中の以下の事業予算に係る予算調書類(予算編成要領の「様式編」及び「その他様式編」に規定の文書(附表含む)並びにそのほかに予算査定に用いた文書のすべて)
<平成26年度2月補正予算案>
地域消費喚起型事業費(マーケティング推進課ほか)2,511,000千円
観光誘客関連事業費(観光政策課・観光振興課)15,400千円
ふじのくにブランド販路開拓支援事業費(マーケティング推進課)4,000千円
ミラノ国際博覧会参加事業費(経済産業部政策監)40,000千円
県内企業海外展開支援関連事業費(企業立地推進課)5,000千円
地方創生推進事業費(企画課)300,000千円
<平成27年度当初予算案>
空港運営・周辺地域振興関連事業費(空港政策課・空港運営課)1,528,800千円
空港利用促進関連事業費 (空港政策課・空港利用促進課)805,200千円
魅力ある観光地づくり推進事業費(観光政策課・観光振興課)47,300千円
観光誘客関連事業費(観光政策課・観光振興課)252,000千円
ふじのくにブランド販路開拓支援事業費(マーケティング推進課)40,000千円
県内企業海外展開支援関連事業費(企業立地推進課)67,900千円
富士山静岡空港新幹線新駅関連調査事業費(交通基盤部政策監)20,000千円
大規模な広域防災拠点整備事業費(危機政策課)210,000千円
海外外交展開事業費(地域外交課)81,600千円
海外駐在員事務所運営費 (地域外交課)229,900千円
青少年の国際交流推進事業費(教育政策課)14,400千円
市町振興助成事業貸付金<特別会計>(自治財政課)貸付枠5億円 沼津駅周辺総合整備事業費(街路整備課)374,500千円
広報関連事業費(広報課)355,100千円
「富士山」後世への継承推進事業費(富士山世界遺産課)234,200千円
富士山環境保全推進事業費(自然保護課)23,000千円
美術館運営事業費(文化政策課)465,984千円 グランシップ管理運営事業費(文化政策課)927,000千円
プラサヴェルデ管理運営事業費(交流推進課)104,389千円
舞台件p振興関連事業費 (文化政策課)307,680千円
三重県などの情報公開先進県においては予算編成過程の情報だけでなく知事査定の映像まで公開されており、具体的に予算がどのように執行されるのかもわかるようになっているのに比べると、静岡県の予算の密室査定は戦後民主主義において欠落した参加型民主主義を欠き衰退しつつある欠陥自治体の姿を象徴するものである。
今日は、平成27年度当初予算案についてコメントするとともに、同日発表された平成26年度2月補正予算案についてもコメントしたい。
<平成27年度静岡県当初予算案について>
まずはじめに、県債残高の推移を見てみよう。
未だに増え続けていることがよくわかる。
しかも、昨年の当初予算時に見込んだ平成27年度末の県債残高見込みを今回の見込みでは130億円上回る2兆7,467億円となっているのである。ずさんというより、その場しのぎの粉飾がまかり通っている現実が見てとれよう。
知事が今回の予算を「攻めの予算」と表現したように、予算規模は以下のとおり大きく伸びているのが特徴であるが、事業に新味はない。小手先の手法いじりはあっても、県民が新たな未来を感じられる事業は皆無である。
このため、本日の新聞各紙で紙面を割いて解説されているが、特徴がないだけに各紙見出し小見出しがバラバラである。
その中で、今回の予算の外観を見る上で、一番わかりやすいのが毎回恒例の読売新聞の「サラリーマン家庭に換算」しての解説だ。県の予算案の歳入歳出を1か月の収入支出がそれぞれ月50万円の「ヘイタさん一家」にたとえての解説である。
これによると、月給(県税)は前年より2万円増えて19万円となったが、親からの仕送り(地方交付税など)などが減り、医療介護にかかる支出などが増えたため、趣味に使うお金(自由に使えるお金)を増やせず「なかなか楽にはならないなあ」とぼやく姿が描かれている。新たな預金引き出しと借金を毎月9.7万円しながら、毎月7.4万円返すという苦境もよく分かる。
また、知事部局内に総合教育局を設置し予算をつけるなど教育に介入したくて仕方ない知事は「よい人材が作り上げられていくメカニズムを作っていく」などと述べたそうであるが、これに対して毎日新聞の「教育制度は株式会社化」というコラムが鋭い指摘をしていた。学テ騒動に関連した教育行政の一連の動きを見て、「上意下逹になじみ、ノルマをこなし、短期で効率よく利益を上げる人間を育てるだけが全てではない」というのはそのとおりであり、今の県行政にも通じる問題提起である。
<平成26年2月補正予算について>
新年度予算の陰に隠れてあまり取り上げられていないが、今回の補正予算は「ばらまき」ぶりが顕著なものとなっている。
もとより、この予算の原資は国の交付金であり、アベノミクスの景気刺激策・消費拡大策の一環、地域振興券に変わるバラマキ事業であるが、かつての地域振興券とは異なり、具体的用法は地域ごとに創意工夫が可能なものとなっているのが特徴である。
この国の総額2500億円に及ぶ地域消費喚起・生活支援型の地域住民生活等緊急支援交付金については、静岡県への割り当て額は25億11百万円であるが、これをどのように使うのかが地方自治体の能力の見せ所となるのである。
静岡県はというと、この予算25億11百万円全額を、地域消費喚起型事業費として、以下の用途に使うという。
・通販サイト等で、ふじのくに名産品を割引販売
・ウェブキャンペーンやツアーを利用した県内宿泊者に対する料金割引
・県内宿泊と体験メニューのセットプラン利用者に対する料金割引
静岡空港利用の訪日客向けがメインターゲットであることが見え見えである。
まさに、コラムの指摘どおり。空港の利用者数を増やすというノルマのため、短期で効率よく増やせる補助金バラマキをして成果を上げるが、地域消費を喚起しこれを持続させるという事業の本質を見失った一過性の観光宿泊費用割引に偏った使い方で終わるのが見て取れるのである。
これでは、他県との地域間競争に勝てないだろう。
<公文書開示請求>
最後に、不十分な予算情報公開のため事業の詳細が県民にはブラックボックス化している現状が変わらないため、毎年のこととなってしまっているが、以下の事業について、本日、公文書開示請求を行ったので以下公表する。
・・公文書開示請求内容・・
平成26年度2月補正予算案及び平成27年度県当初予算案中の以下の事業予算に係る予算調書類(予算編成要領の「様式編」及び「その他様式編」に規定の文書(附表含む)並びにそのほかに予算査定に用いた文書のすべて)
<平成26年度2月補正予算案>
地域消費喚起型事業費(マーケティング推進課ほか)2,511,000千円
観光誘客関連事業費(観光政策課・観光振興課)15,400千円
ふじのくにブランド販路開拓支援事業費(マーケティング推進課)4,000千円
ミラノ国際博覧会参加事業費(経済産業部政策監)40,000千円
県内企業海外展開支援関連事業費(企業立地推進課)5,000千円
地方創生推進事業費(企画課)300,000千円
<平成27年度当初予算案>
空港運営・周辺地域振興関連事業費(空港政策課・空港運営課)1,528,800千円
空港利用促進関連事業費 (空港政策課・空港利用促進課)805,200千円
魅力ある観光地づくり推進事業費(観光政策課・観光振興課)47,300千円
観光誘客関連事業費(観光政策課・観光振興課)252,000千円
ふじのくにブランド販路開拓支援事業費(マーケティング推進課)40,000千円
県内企業海外展開支援関連事業費(企業立地推進課)67,900千円
富士山静岡空港新幹線新駅関連調査事業費(交通基盤部政策監)20,000千円
大規模な広域防災拠点整備事業費(危機政策課)210,000千円
海外外交展開事業費(地域外交課)81,600千円
海外駐在員事務所運営費 (地域外交課)229,900千円
青少年の国際交流推進事業費(教育政策課)14,400千円
市町振興助成事業貸付金<特別会計>(自治財政課)貸付枠5億円 沼津駅周辺総合整備事業費(街路整備課)374,500千円
広報関連事業費(広報課)355,100千円
「富士山」後世への継承推進事業費(富士山世界遺産課)234,200千円
富士山環境保全推進事業費(自然保護課)23,000千円
美術館運営事業費(文化政策課)465,984千円 グランシップ管理運営事業費(文化政策課)927,000千円
プラサヴェルデ管理運営事業費(交流推進課)104,389千円
舞台件p振興関連事業費 (文化政策課)307,680千円