「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

平成26年度県予算「空港定期便拡充促進事業費」1億6,710万円

2014-04-01 19:08:00 | H26県予算評価
平成26年度の空港関連予算のうち、先日の「(空港)隣接地域振興事業費補助金」2億6,300万円に続いて、今日は「空港定期便拡充促進事業費」1億6,710万円について見ていく。



この予算は、予算の97%を占める1億6,180万円が、いわゆる使途の詳細を隠すために設立される補助金受け皿自称民間団体である「富士山静岡空港利用促進協議会」への補助金である。
独自の収入や活動はほとんどなく、公費補助金で活動している団体で、民間団体と称しているが、実質的には官営団体とも言いうる実態である。

実際、画像で紹介のとおり、1億6,180万円のうち、5,800万円が「富士山静岡空港利用促進協議会」の活動費・運営費に充てられ、残りの1億380万円がトンネル補助金という実態である。

その役人的利点は、
県が直接に補助すればどこにいくらと県民に公開しなければならないが、トンネル団体を通すことによって、実質的に税金の使途が隠されることになるのである。
また、県の職員が税金で海外交流すれば民間交流と宣伝できないが、この団体がこの補助金を使って海外交流すれば民間交流に化けるのである。

本日から消費税が8%に、3%UPされ、政府はその使途を全額社会保障に使うなどと言っているが、お金に色があるわけではなく、また、復興目的の予算を実質別の使途で使っていたように、とても信じられる状況にない。

まして、低所得者の国民にも負担増を求める中で、画像に紹介のように、静岡空港の利用を選択したというだけで、その利用の一個人に税金を投じ補助するなど、いかなる大義ありや。
そのようなことをいつまで続けるつもりなのか。

この「空港定期便拡充促進事業費」、県民生活のために知恵を絞る努力を放棄し惰性に流され続ける県行政を象徴する事業の一つである。

<予算調書>
「空港定期便拡充促進事業費」

<参考:昨年度の解説>
「平成25年度「空港定期便拡充促進事業費」179,700,000円」

平成26年度県予算「空港競争力強化事業費」3億7,300万円

2014-03-17 21:37:00 | H26県予算評価
公文書開示請求によって入手した資料に基づき平成26年度予算のうちのいくつかについて、昨年同様、解説していく。
初日は航空会社への直接の補助金が97%を占める「空港競争力強化事業費」3億7,300万円について見ていく。

ちなみに、決算の終わった平成24年度の実績で見ると、この補助金だけ見ただけで、各航空会社の補助金受領額は以下のとおりである。
1 アシアナ航空 54,499,000円
2 大韓航空 54,499,000円
3 中国東方航空 31,057,000円
4 中華航空 24,086,000円
5 全日本空輸 79,146,000円
6 フジドリームエアライン 79,587,000円
合計 322,874,000円

その上で、平成26年度の補助金の予算額は373,000,000円と平成24年度実績に比べて16%増となっているのである。

この補助金であるが、予算の査定に当たって必要性を次のように説明して予算化を認められている。

「事業の必要性:他空港との競争の中、・・・・」、「これまでの改善・見直しの状況:航空会社の・・・」、さらに、最下欄の「事業の自己評価」と「今後の方向性や改善方法、課題」を一読してほしい。

その上で、昨年度予算の調書「H25空港競争力強化事業費」の3枚目を見てほしい。

どうであろう。
一言一句、同じコピペ、手抜きそのものである。
現実の県行政の現場はこんなもので予算化が認められ、議会も素通りだ。
結果責任など問われるはずもなく、前例踏襲と保身の固まりの役人が、あえて県民利益のために苦労したり知恵を絞るなどということを選択するはずがないからである。

大韓航空の事実上の撤退時にはマスコミが県の取組にいろいろと注文を付けるような報道を行ったが、このような役人天国というべきぬるま湯の環境にあっては馬耳東風、無力である。

さて、補助金以外の取組もついでに見てみよう。
補助金に次いで多いのが職員の旅費である。
韓国、中国、台湾それぞれに3~4か月に1回、3~4人で行くなどして、さきの事業の必要性や自己評価などに頻繁に出てくる「働きかけ」なるものをする予算である。そのほかには訪問時の土産代や懇談のための飲食代など、毎年変わらぬお気楽な消費である。

まさに、4月から消費税増税などで国民生活に負担増という厳しい現実も他人事の政治家と役人のコラボレーションを象徴する予算である。空港ばかりか県行政のお先も真っ暗なわけである。

<予算調書>
「H26空港競争力強化事業費」

平成26年度静岡県当初予算案について

2014-02-16 11:29:00 | H26県予算評価
静岡県は2月14日、平成26年度予算案の概要等をようやく公表した。
例年どおり空港関係を中心に予算調書の公文書開示請求を行い集計の計画であるが、現時点では詳細な内容(議案書)は公表されていないので、公表された重点事業分のみ先行して行うこととした。(請求内容は文末に掲載)

さて、平成26年度の静岡県当初予算案であるが、予算総額は対前年比3.6%(411億円)増と近年では大きく膨らみ1兆1,802億円という規模となっている。額は増えても内容的には県勢の成長を期待させるような特筆すべきものはなく、事業・対象の名称の違いだけで他県に比べて独創的なものは見当たらない。内容的には、本県らしい前年踏襲型の予算である。
まず、予算規模の推移を見てみよう。
<当初予算額の年度推移>

見てのとおり、ある意味積極的投資に舵を切った来年度予算の増は、景況感の良さや消費税の増税による税収アップを見込んでのことであるが、一方で平成26年度末の県債残高は引き続き増加の見込みである。
<年度末県債残高の推移>

県は先行きについて安心感を与えようと、「税制の中期見通しと健全化への取組」を併せて発表し、その中で、平成25年度末に2兆6,852億円(見込み)の県債残高が5年後の平成30年度末には2兆5,988億円にまで減るとの推計を示したが、これまでの失敗の反省のない、まさに前例踏襲型のお役所的推計である。
これは、5年前の平成21年に発表された「税制の中期見通しと健全化への取組」の結果を見れば一目瞭然である。
<県債残高の実績と当時の予測(推計)>(今回予測との比較のため一般財源総額一定パターンの2経済シナリオに基づく予測をグラフ化)

当時は経済や財政の状況予測に合わせ計6パターンもの推計を行っているが、現実には、経済が底ばいの条件であっても、その下での推計をも上回る県債残高の増加を招いているのである。
静岡空港の需要予測に象徴されるように、役所は過去について批判的検証はできない、してはならない組織構造となっている。ゆえに経済環境や自然環境などの外部条件に責任を転嫁した形だけの理由付けで失敗の責任を転嫁するのが常である。これなら誰も責任を問われないからだ。
今回の「平成25年度末に2兆6,852億円(見込み)の県債残高が5年後の平成30年度末には2兆5,988億円にまで減るとの推計」は、特に役所のおざなりな仕事ぶりが窺えるものとなっている。
下のグラフは平成25年を起点(0)として、県が県債残高、県税収(単年度)、地方消費税清算金(単年度、グラフ中には地方消費税収と表記)がどのように推移(増減)すると推計したかを見たものである。
<H25実績(見込み)からの増減額の推移>

県は5年後の平成30年度末までに県債残高が864億円減るとしているが、一方で、県税収入は平成26年度に280億円、平成27年度に819億円、平成28年度には1,134億円、平成29年度には1,329億円、平成30年度には1,536億円今よりも増えると見ているのである(累計で見れば5年間で5,098億円の増収)。地方に配分される地方消費税の収入の見込みも同様に、平成26年度に213億円、平成27年度に700億円、平成28年度には802億円、平成29年度には859億円、平成30年度には920億円今よりも増えると見ているのである(累計で見れば5年間で3,494億円の増収)、を加えればこれが健全化(行政改革)によってではなく、税収の大きな伸び期待によって支えられたフィクションであることが分かるのである。

つまり、県はこのような楽観的というよりも無責任な見込みを根拠として、開港初年度の実績を大きく下回っている空港状況を無視し空港ビルの拡張工事などに大盤振る舞いを始めたということである。
企業収益の向上は為替の効果によるところが大きく、人口減少・高齢化が進むと見込まれる環境の中で今後県内経済の成長が右肩上がりと見るのはあまりに楽観的・無責任すぎる。そのつけは将来世代だけでなく、現役世代にも及ぶことは容易に想像できるだけに、空港建設が静岡県衰退への転換点であったとすれば、この展望亡き増額予算は静岡県衰退への推進点であったと後世に評価されるであろう。



【文末資料】

先行請求の公文書開示請求内容(主要事業分のみ)、(追記:2月17日付け請求完了)

「平成26年度県予算案中の以下の事業予算に係る予算調書類(平成26年度当所予算編成要領の「様式編」及び「その他様式編」に規定の文書(附表含む)並びにそのほかに予算査定に用いた文書のすべて)

<空港関係>4,619,075千円
大規模災害時における航空燃料確保事業費(危機政策課)7,400
国際防災協力関連事業費 (危機政策課)3,000
地域外交展開事業費 (地域外交課)76,600
海外駐在員事務所運営費 (地域外交課)199,400
空港管理・周辺地域振興関連事業費(空港地域連携課・空港経営課)3,447,000
空港利用促進関連事業費 (空港利用政策課)552,200
観光誘客関連事業費(観光振興課)266,400
県内企業海外展開支援関連事業費(企業立地推進課)67,075

<文化関係>3,748,100千円
「富士山」後世への継承推進事業費(富士山世界遺産課)160,000
富士山世界遺産センター(仮称) 整備事業費(富士山世界遺産課)181,000
韮山反射炉世界文化遺産登録推進事業費(富士山世界遺産課)9,200
ふじのくに件p回廊創出事業費 (文化政策課)84,200
ふじのくに件p祭等開催事業費 (文化政策課)120,400
美術館運営事業費(文化政策課)424,000
グランシップ管理運営関連事業費(文化政策課)889,000
グランシップ安全対策事業費(文化政策課)866,000
グランシップ大規模修繕事業費(文化政策課)617,400
件p文化普及事業費(文化政策課)89,000
舞台件p振興関連事業費 (文化政策課)307,900

<その他>488,400千円
天竜浜名湖鉄道支援関連事業費 (交通政策課)110,700
都市高速鉄道高架関連事業費 (街路整備課)377,700」