「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

静岡空港、基幹的広域防災拠点指定逃し、オリンピック空港新駅の野望潰える

2014-03-29 08:22:00 | 静岡空港
3月28日、国の中央防災会議が開かれ南海トラフ地震防災対策推進基本計画が策定された。
就任当初は地方が国におねだりするような陳情に軽蔑的だった川勝平太が珍しく2度も防災担当相に陳情した「南海トラフ巨大地震対策推進基本計画に静岡空港を基幹的広域防災拠点として盛り込む」という願いは聞き入れられず、名古屋空港や名古屋港と同じ大規模な広域的防災拠点としてそれ以下の広域的防災拠点などとともに将来策定される具体計画に盛り込まれる対象となるにとどまった。

これにより、国家的防災拠点機能を大義名分として、国の予算で国の全面的支援を受けながら静岡空港新駅をオリンピックまでに整備してもらおうとの静岡県の野望は潰えた。

なぜかであるが、
それには、この「基幹的広域防災拠点」、「大規模な広域的防災拠点」、「広域的防災拠点」の違いと具体計画について知っておく必要がある。

まず最初に拠点の位置づけであるが、既に基幹的広域防災拠点が整備されている首都直下地震緊急対策推進基本計画に次のような記述がある。
「効果的な広域オペレーションを 実施するため、首都圏の広域防災のヘッドクォーターの機能等を有する東京湾臨海部基幹的広域防災拠点(有明の丘地区)及び被災時における物流コントロール機能の一部を有する東京湾臨海部基幹的広域防災拠点(東扇島地区)を中心に、各拠点の役割分担を明確にする」

これによると、「基幹的広域防災拠点」とは、国、都道府県が整備する様々な拠点(大規模な広域的防災拠点、広域的防災拠点等)の各機能の最上位に位置する司令部・本部ということになる。
南海トラフ地震防災対策推進基本計画上は指定がないが、南海トラフ地震防災対策推進地域の司令部として立地的に静岡空港がそれにふさわしいと見ることにはかなり無理があることが分かろう。
今回の中央防災会議の資料中の6ページにそのイメージ図が掲載されているとおり、静岡空港は県境を超えず、県内をカバーする程度の大規模な広域的防災拠点でしかないことがわかる。

次に各拠点の整備主体であるが、南海トラフ地震防災対策推進基本計画中には、以下の記述がある。
「国、地方公共団体、ライフライン事業者及びその他の機関は、所管する施設 の整備に当たって、個々の施設のみでなく、災害時に発生する事象、施設の 機能、相互の施設の関連性等を認識した上で、整備を進める」(p8)
「国は、大規模災害時の広域的な緊急物資や復旧資機材の輸送に当たり中心的 役割を果たす基幹的広域防災拠点について、適切な運用体制を確立する」(p22)
「国は、南海トラフ巨大地震を想定し、これに対処するための災害 応急対策活動に当たる部隊の活動規模、緊急輸送ルート、防災拠点等を具体 的に定める計画(以下「具体計画」という。)をあらかじめ作成し、これに基 づき、国と地方公共団体等が一体的に的確な災害応急対策を実施するものと する。この具体計画は、実際の災害が事前の被害想定と異なる場合にも応用 可能な柔軟性を持った計画とするものとする」(p32)

要するに、基幹的広域防災拠点については国が主体的に関与し整備を進めるが、それ以外の具体計画上の防災拠点等にあっては現にその施設を所管する国・県・市それぞれがその機能にふさわしい施設としての整備を進めることとなるのである。
しかも、この具体計画にあっては、いつ策定されるか見込みさえ見えていない状況にある。

ゆえに、防災戦略上の地勢的に見て、また資金的、政治的、時間的に見ても、冒頭で述べたとおり、
「国家的防災拠点機能を大義名分として、国の予算で国の全面的支援を受けながら静岡空港新駅をオリンピックまでに整備してもらおうとの静岡県の野望は潰えた」
と言いうるのである。

富士山利用者負担制度の制度設計等に係る調査業務委託

2014-03-24 20:17:00 | 近況活動報告
先日の「富士山静岡空港利用状況及び外国人観光客から見た静岡県観光魅力調査事業委託」に次いで、今日は「富士山利用者負担制度の制度設計等に係る調査業務委託」を以下紹介します。

この事業は富士山の入山料などの議論を行った富士山利用者負担専門委員会における利用者負担制度設計に関する業務で、山梨県とともに株式会社JTB中部静岡支店に299万2,500円(うち、42%が人件費)で委託したものである。
しかし、多くの県民は事務局案とは国の諮問会議の事務局案を官僚が作って根回しをしながら意図どおり進めるのと同じように、県の職員がその能力を発揮して作成し、その内容を根回していると思っているかもしれないが、最近の地方行政では事情が違うようだ。
この委託、業務委託仕様書中の「委託業務の概要」には、
「次の事業を実施する」として、
「富士山利用者負担専門家委員会での議論を踏まえ、課題を整理し、事務局案を作成する。」と明記されており、事務局の案を民間業者が県職員に変わって作成しているのである。
体よく言えばアウトソーシングであるが、最近話題になったゴーストライターと変わらない。

今や県職員の仕事は知恵を出すよりも知恵を出してもらうための外注契約という事務処理能力で十分なようである。
実際、この構図が行政能力の減退を招いている事実が顧みられることはないのだ。

一方で、県職員のその事務処理自体にも法律無視の傲慢さと怠惰が見て取れるのが以下の書類である。

これは、契約をしてよいかを支出負担行為伺という文書で起案したのが平成25年11月14日、決裁されたのが翌11月15日であるにもかかわらず、契約の日付を地方自治法に違反して10月28日に遡って行ったことに対する言い訳の文書である。これら法令の違反をチェックすべき出納局もこれを是として違反を容認している。

これまた、さきの監査請求時に職員が違法を行った言い訳として「業務多忙」「やむを得なかった」「緊急避難的」などと同類の自己正当化であり、県の公務上やむを得ないと自分たちが判断すれば法律違反も許されるという不遜な意識が部課を超えて蔓延している証左である。(一方で、民間がこのような言い訳で役所への書類提出が遅れても役所はそれを是としないだろう。)

お固い役所だから法律は守られるはずというのは、実に誤った認識なのである。特に身内の違反に対しては。

隠蔽防止のための記録と県への勧告

2014-03-23 19:44:00 | ノンジャンル
このブログの以前の活動記録となっているホームページにおいて「県財務事務所裏金問題(→静岡県庁プール金問題)経過」中の2006年3月10日の記事及びコメントにあるとおり、公益性の視点からは、かような事件は支障のない限りすみやかに事実を伝え、いやしくも隠蔽または不適切な処理と受け取られないよう努めるべきと考えます。

そこで、
時間的に見て既に監察部署には報告が到達しているはずの先日某出先機関書庫から発見された新渡戸稲造柄の現金ほかの一件について、速やかにその具体的事実及び処理経過・方針等を公表され、適切に処理されるようここに公に勧告しておきます。

平成26年度県予算「(空港)隣接地域振興事業費補助金」2億6,300万円

2014-03-21 22:28:00 | 近況活動報告
先日の「空港競争力強化事業費」3億7,300万円に続いて、今日は「(空港)隣接地域振興事業費補助金」2億6,300万円について見ていく。


この事業は空港建設に当たって地元要望が空港の必要性の根拠として主張された事実から分かるとおり、地元へのお礼である。
ただし、それを無限に続けるわけにも行かないため5年と限っての約束となっている。
予算上の目的(施策の方向)は、建前上は「競争力の高い魅力ある富士山静岡空港の実現」であるが、現実の使途は道路整備以外にも河川改修や農業用かん水設置工事、消防署施設の耐震化、小学校の水槽改修にまで制限なしに等しい県税の2市1町への優遇のばらまきである。
端的に言うなら、原発の立地自治体への優遇と同じ札束で地元を黙らせる構造である。
しかし県は、見てのとおり「事業の自己評価」において「空港の利用促進に資する」などと高評価をしているのである。
一般の感覚と異なる価値観が見て取れよう。

しかし、この優遇も平成26年で終わるとあって、「事業の必要性」や「今後の方向性や改善方法、課題」にも記述のあるとおり、2市1町から事業期間延長の要望が出て検討するとしている。

おそらく、原発の増設によって補助を継続してきた構図同様、何らかの県からの要求を地元が受け入れるなら金を出すということになるだろう。
そして、一番狙われやすいのが航空会社からの要望の強い運用時間の延長、その次が空港敷地の拡大であろう。
地元住民の生活上の犠牲の上に、公共事業で甘い汁をすするもの同士が報われるのである。

残念ながら、住民一般に品格を求めるのは困難な時代であることは、今の原発立地自治体の住民の大勢を見ても容易に想像できよう。それぞれの地域住民が国全体を顧みず、他の地域を思いやらず、ただ自己の満足のためにその居住するところでの利益のみを追い求めるのである。
ゆえに、来年度以降もこの事業は継続するのであろう。
すべては、政治家と役人が思い描いたように空港が生み出す利権の波及構造のなせる技である。


<予算調書>
「H26(空港)隣接地域振興事業費」

富士山静岡空港利用状況及び外国人観光客から見た静岡県観光魅力調査事業

2014-03-20 23:55:00 | 近況活動報告
今日は2月13日に請求した公文書の一部が開示され見聞してきましたので報告をかねてその一部を掲載します。

文化観光部観光振興課の平成24~25年度緊急雇用創出事業(債務負担)による「富士山静岡空港利用状況及び外国人観光客から見た静岡県観光魅力調査事業委託」を紹介する。
要するに人を雇用して空港関係のアンケート調査を行うという委託事業である。

まずは、県による違法な事務手続きであるが、
この委託契約の前提となる支出負担行為伺の起案日は平成25年3月7日であり、契約日は同年3月15日であるところ、受託した株式会社シグマ観光サービス(調査分析に精通した業者ではない)は、起案日より前の3月6日に委託事業に係る求人票をハローワークに提出し、3月7日と3月8日には受託事業を表記した求人の新聞広告をも掲出している。明らかに契約前着手が認められ、地方自治法第234条第5項規定の確定した支出負担行為(契約)なく地方自治法第232条の3に違反している。
このことは、さきの監査請求時と同じ違法である。
つまり、監査委員が、事実上、「静岡県においては地方自治法違法であっても問題なし」とお墨付きを与えた違法行為であり、静岡県庁文化として根付いていることが窺える事実である。。
次に、この委託事業の成果であるが、委託契約額2,348万415円のうち1,541万6,446円をかけて緊急雇用という部分で8名を雇用していることに加え、アンケート調査の結果も以下3部作が取りまとめられている。
1 外国人観光客から見た静岡県観光魅力調査報告書 100冊(前半部後半部
2 富士山静岡空港利用状況調査・本編 20冊
3 富士山静岡空港利用状況調査・経年比較 20冊
問題は、これら結果をどのように活用するのかが不明なことである。
それらしき記述としては実績報告書に以下の一文がある。
「市町村及び観光協会に資料を送付し今後の観光行政の資料としていただく。」

雇用自体が事業の主目的だというのは分かるが、実際の活用目的のはっきりしない調査は無駄に地面に穴を掘って埋め戻すのと大して変わらないのではないか。雇用して終わり、報告書を完成したから終わりというのは税金の使途としては疑問がある。
せめて、県民に広く提供して有意の人に活用の機会を与えるくらいのことはすべきであろう。