「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

虚偽報告で国に返還した補助金の加算金税負担は職員に責任なし?

2013-09-25 19:40:00 | ノンジャンル
さすが静岡県、やっぱり静岡県、と思わせる事件の幕引きが今日発表された。

事件は平成16年度に国庫補助による道路拡幅工事(県道豊田竜洋線:磐田市内)の用地買収に絡んで、県が買収した用地の明け渡しが済んでいないのに、土地・物件補償費の全額を年度末に支払い、国に対して明け渡しが完了したと虚偽の実績報告をしたところ、平成24年度になっても明け渡しが完了していないことが明らかとなり、結局、国から国庫補助金の返還を求められ、国庫補助金69,158,957円と加算金(遅延損害金)52,844,359円の合わせて1億2,200万3,316円を国に払うこととなったというものである。もちろん、すべて県民の税金による負担である。

県は今日、当時の関係職員(部長級職員ら8人)を処分したと発表したが、すべて「文書厳重注意」。職員の処分というよりも、かつての裏金事件を彷彿させる勲章授与による「事件の処分」である。
よって、これをもって今後の同種事件の抑制が期待できないと考えるのは当然の帰結である。

実際、私がこの活動を始めるきっかけとなったのが土木事務所時代の未完了工事を年度末の繰越事務回避のため「完了」という虚偽で処理する事務を目の当たりにしたからだ。
早速問題提起し、その際には改善のためのミーティングも行われたが、わずか1年で異動となり改善の確認は出来ず仕舞いだったが、その後もやはり変わっていなかったということがこの事件からはっきりしたのである。
いわば今回の事件の顛末は、組織のDNAとなっているものを変えることは何年経とうが、儀式的処分を繰り返そうが、内部からは決して出来ないことの証左である。

さらに、県議会が2月定例会で退職者を含めた関係職員に負担を求める付帯決議をしたものの、県は損害の一部については職員らに任意の拠出金を募るとしたものの、加算金については職員に賠償責任は問えないなどと判断したという。
職員に責任がないから税金(県民)が負担すべきという理屈であるが、ここにこそ静岡県らしさがある。すなわち、言葉の建前とは異なる、県民のための行政ではなく役所組織と役人のための行政という根強い意識の染み付きである。
もっとも、任意の拠出金では額もしれたものであろうから補助金の返還額にさえ到底及ばないものであるが、実に情けない判断である。
東電の組織防衛的隠蔽体質が明らかになり、今またJR北海道のユーザー不在のずさんな体質が明らかになったが、いずれも県庁と同じで官僚体質の組織であり、共通する特徴は組織的不祥事は実質責任を問われることがないという「無責任」だ。
ここが変わらないことには、県民不在の行政が繰り返され、その付けが県民負担となる構図は今後も絶対に変わることはない。

静岡県ソウル事務所公金横領事件顛末

2013-09-23 22:52:00 | ノンジャンル
以前お伝えした静岡県ソウル事務所の不正経理について、県は20日に関係者の処分を発表しましたので紹介しておきます。

正式名称は静岡県国際経済振興会(※いわゆる天下り外郭団体)ソウル事務所、通称 県ソウル事務所において、平成24年度に着任した所長(県参事 外山靖)による犯行(私的流用:約186万円、不正経理:約535万円)とのことです。

報道によれば、私的流用の内容は、
・私的な飲食代
・私的な交通費
・業務と無関係な知人への贈答化粧品代
・自宅エアコン取り付け費
・自己用バランスボール購入費
など、であるとのこと。

また、不正経理は車両借り上げ代の全額を前金で払うなどした不正との事ですが、このことで公金の損失が生じたかは不明です。
この所長は、24時間生活のすべてが公務だと思ってしまったとして公私混同の動機を語ったそうだが、結局、懲戒免職となりました。

実際、この世代と言えば、官官接待残業時の夕食代の公費負担など、公私混同の飲食が盛んだった時代を経験しています。

これらは、廃止に追い込まれるなど一時的には問題視されながらも、あくまで外圧によるものとして反省の機会を与えられることもなく、今日に至っています。
さらに、プール金の問題に際してもあいまいな解決と儀式的処分で組織として反省の機会を喪失してしまった。
役人の日常を観察して見ても、このことが、この職員の公私混同の発想の根にあることは間違いないと思われます。
現在進行中の監査請求対象の京極仁志(現:文化政策課長)らの不正経理も、私的流用はないにしても、県民よりも身近な業者よりの姿勢で、県民の財産を預かる公務員としての意識の希薄さが顕著に見て取れます。

一人の人間ならば、内心の声、いわゆる良心の声が過ちに対してブレーキをかけるところですが、(仕事の上での)役人にはそういう根っこに当たる価値観がありません。
彼らは公務に際しては組織防衛と自己保身の二つをもって一貫性のないその時々の理屈で物事に対処していきます。理念に対する価値中立性(無価値性)こそが役人の本質だからです。
組織に使命感を与えるべき政治家の体たらくが招いた現実ですが、本をただせば県民の無関心が招いたものです。
この流れにストップをかけたいのなら、まずは、一人一人がこの国の形について、ありかたについて、考えを持つべきです。
決して他人事ではないのです。

住民監査請求 県側の意見書公開

2013-09-17 20:00:00 | 近況活動報告
本日はさきに提出の監査請求に係る意見陳述日でした。
主張は既に文書で出しているわけですが、この機会は地方自治法で定められたものであって、監査請求文書の補足説明や監査委員からの質問疑問に答え理解を深めるための場です。
本県の場合、40分以内で説明し、その後、質疑応答となります。
また、同法によって関係職員の立会いが認められています。(法上は、監査委員が必要があると認めるときとなっていますが、どこの自治体でも立会いを認めるのが通例です。)
今回、新しい事実の主張はありませんが、ここで紹介済みの損害存在の蓋然性については口頭にて補足しておきました。

今日は、この場で県側の意見書の写しを頂いたので、これを以下に紹介します。


この画像は静岡県出納局の意見書ですが、中段の「支出負担行為(変更)が持ち込まれた時点で、変更された内容ですでに事業実施されていたため、やむを得ず決裁したものである」のくだりに苦しさがにじみ出ています。
出納局といえば各部署を検査して回っては違法ではないが不適切な点について細かい指導をしているわけですが、既遂の違法は「やむを得ない」として放置では、指導も説得力はありません。

次に静岡県文化・観光部の意見書ですが、


この部分を見ても「担当職員が業務多忙の中で必要書類の作成等に日時を要し、手続きが遅れたため支出負担行為の決裁が遅れてしまった」であるとか「変更後の見積書の早期提出も見込めなかったことから、やむを得ず業務実施後の清算としたものである。」と苦しい言い訳を並べています。
そもそも、時間を要する開催中止の清算行為・契約と追加事業の見積・契約は分けて行うべきもので、これを併せて行うことに無理があると言うことが理解できていないようです。
また、しきりに「緊急避難的」という語句を使っていますが、これは違法性阻却自由を意識してと思われますが、地方自治法では緊急に契約しなければならない場合を想定していないはずがないわけで、地方自治法施行令第167条の2において「緊急の必要により競争入札に付することができないとき」は単独随意契約も可能となっています。今回の例で言えば、この用件を使うよりも「競争入札に付することが不利と認められるとき」又は「時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することが出来る見込みのあるとき」を使えばその日のうちに業者から追加事業の見積もりを取って契約ができるものであり、切迫性の要件は認められず、また違法を犯してまで代替事業を行う正当性もなく、緊急避難の法理適用には無理があります。素人だましでしょう。


本日の意見陳述の際に県側の立会いもありましたが、文化・観光部からは文化政策課のイチカワという職員のみの立会いで、違法な事務手続きを行った県職員京極仁志ら当事者の姿はありませんでした。既に他人事なのでしょう。
一方で出納局からは課長等3名(マツイ、オカダ、ヨシダ)が立ち会っていました。
こういったところから姿勢の違いが見て取れます。

最後に意見書全文をPDFにて公開しておきますので本県の会計事務についての見識の質をお読み取りください。
出納局意見書.pdf
文化観光部意見書.pdf

ここまで堕ちたか「新聞」報道

2013-09-13 21:43:00 | 静岡空港
今日の読売新聞(静岡県版)で静岡空港の8月実績について「8月の静岡空港 搭乗者4路線で過去最多」の見出し記事が掲載された。

確かに8月は年間で一番多い月であるが、いつもここをご覧の方は、この記事にたぶん疑問をもたれたのではないか。
というのも、国内4路線、国外3路線の内で4路線もの過去最多なら先日紹介のグラフのようになることはまずありえないからだ。

実際過去5年間の8月分だけで比較しても、
札幌線8,825人   4位/過去5年(1位は平成21年の14,013人)
福岡線10,403人  2位/過去5年(1位は平成21年の15,593人)
鹿児島線1,486人  5位/過去5年(1位は平成22年の3,372人)
沖縄線9,331人   1位/過去5年
ソウル線12,098人 4位/過去5年(1位は平成22年の19,000人)
上海線3,578人   3位/過去4年(1位は平成24年の4,660人)
台湾線4,914人   1位/過去2年

4路線どころか現実には2路線、しかもその一つは昨年新設の台湾線であり、見出しの印象とは大違いというのが現実なのである。

どうやらこの記者は県の空港利用政策課の言葉を鵜呑みにして、自ら検証することなく載せたようであるが、最近の記者は裏を取るということも出来なくなってしまったのだろうか。

空港建設が問題になった当時の読売の記者が県に自ら情報公開請求をして真偽を探ったのとは大違いで、県職員だけでなく記者の質までもここまで落ちたのかと残念である。

ウィキペディアの報道のページを見ると「報道は表現の自由に基づく、報道の自由や知る権利に支えられている。反面、報道は客観報道の原則を守らなければならないとされる。報道は報道を受け取る大衆との信頼関係の上に成り立っている。 この為、報道は事実に基づいたものである必要があり、事実を追求するための取材が不可欠である。 憶測や推測に基づく記事は、信憑性が失われる原因となり、結果として信頼関係を失うこととなる。 取材をして裏付けを取り、事実を報道することが、報道の原則である。」とある。

この新聞記事は報道ではなく県の広報に過ぎない。
いっそのこと、県庁広報課付け読売新聞静岡支局と改名したほうが県民への害は減るだろう。報道失格であることは明白だ。

第20回全国市民オンブズマン京都大会報告その3

2013-09-12 21:34:00 | 近況活動報告
今日は秘密保全法制ともいわれる「特定秘密の保護に関する法律」(案)についてです。
この法案は国の安全保障上の次の4事項について特定秘密としての指定の上情報の保護を図ろうとするもので、現在、内閣官房のHPでパブリックコメントの募集をしており、秋の臨時国会に提出される見込みです。
1 防衛に関する事項
2 外交に関する事項
3 外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項
4 テロ活動防止に関する事項

安全保障上の秘密を守るのは良いことか悪いことかと問われて後者を答える人は少ないと思いますが、かつての治安維持法同様に名称や趣獅ニいったものは得てして反対し辛いように提示されるもので、問題は実際の運用の危険性にあります。



例えば原発の情報ですが、画像のスライドのとおり、(実際に隠すか否かはそのときの行政機関の判断しだいとなりますが、)原発情報でさえ、テロ防止の名目で情報を隠すことが可能となります。
また、国民の代表として活動する(政府の要職にあるものを除く)国会議員もこの特定秘密は知ることができないこととなり、法案審議などの活動も制約されかねない内容となっていることも問題です。これに手放しで賛成するのは、まさに国会議員の自殺行為ともいえます。


さらに、秘密を漏らしたものはもちろんですが、「特定秘密の保有者の管理を害する行為」などという(罪刑法定主義上問題がある)抽象的な行為が処罰対象となっており、プラカードをもって原発情報を開示するように圧力をかけたとして処罰されることもありえます。
先月27日には自民党プロジェクトチーム座長は「正常な取材活動は問題ないことを法律上明記したい」と言いましたが、「正常な」というのはあまりに抽象的です。

確かに国家には守るべき秘密があります。
しかしそれは必要最小限にして行政機関の恣意性を抑えるような仕組みとしなければ国民の自由な活動意欲を阻害してしまいます。
アメリカでは一定期間経過すればかつての秘密も開示されますが、わが国にはそのような仕組みさえありません。

自由な活動意欲とその環境は単に国民の権利だから必要と言うものではありません。
経済の成長には創造的破壊、イノベーションが不可欠ですが、これこそは自由な活動意欲とその環境あってのものです。

世界を取り巻く環境が大きくしかも急速に変化していく中にあって、政府・国会にあっては、従来の思考にとらわれ時計の針を戻すのではなく、リスクをとっても前に進めるべくあってほしいものです。


<おまけ:伏見稲荷大社>