静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移
(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で6か年を比較したグラフです。
以下、開港6年目の2か月目となる7月実績に基づき傾向を概観する。
<傾向等>
開港から6年目の2か月目となる7月実績は、国内線では沖縄線が過去最高、国際線では過去最低となったソウル線をカバーするように上海線と台湾線、さらにチャーター便が過去最高となり、対前年比で16.5%アップ、ピーク年に比較して9.3%下回る過去第3位の実績となった。
路線ごとに見た過去6年間の7月実績のみで比較した順位と比率は以下のとおり。
札幌線6,617人 3位/過去6年(1の平成21年12,197人に対して
54.3%)
福岡線8,539人 2位/過去6年(1位の平成21年13,352人に対して
64.0%)
鹿児島線1,224人 4位/過去6年(1位の平成23年2,698人に対して
45.4%)
沖縄線6,389人 1位/過去6年(2位の平成25年5,991人に対して
106.6%)
ソウル線5,397人 6位/過去6年(1位の平成22年16,786人に対して
32.2%)
上海線4,876人 1位/過去5年(2位の平成24年3,622人に対して
134.6%)
台湾線3,836人 1位/過去3年(2位の平成25年3,596人に対して
106.7%)
また、上記路線以外のチャーター便を含む総利用者は45,349人で
過去6年間で第3位、ピークの平成21年(48,323人+上海推計1,700人)に比べて90.7%であった。
国内線と国際線の過去6年間の推移を見ると、
国内線が底打ち後横ばいに、国際線が増減を繰り返しつつもトレンドとしては漸増にあることがわかる。
国内線の内訳を見ると、
今回過去最高となった沖縄線が漸増の傾向にあるものの、総じて横ばい。採算の見込める路線は残っていないため税金を投入しての新規路線開拓がなければ今後の大きな伸びは期待できない状況である。
国際線の内訳を見ると、
ソウル線が低落傾向、これをカバーする形でチャーター便が急増、上海線及び台湾線が漸増傾向にあることがわかる。
このチャーター便こそ
1便当たり100万円を県民の税金で補助し6月から運行中の天津航空(180席の小型機を使用し、月、火、水、金、土曜の週5便で、運航期間は10月25日までの5か月間運行)中国人日本観光のチャーター便である。
今回、このチャーター便による8,329人(片道で1人と計算したものなので実質4,165人の来日)の利用者実績がなかったなら、国際線で対前年同月比にして50.2%押し下げ84.9%、全利用者数では対前年同月比にして21.4%押し下げ95.1%となっていたものであり、需要の少ない空港にとってはチャーター便とはいえ1便の新規就航効果が対前年比などの数字に大きな影響を及ぼすことが顕著に見て取れる現実が示されたものといえる。
今後、既存路線での顕著な伸びが期待できない中、最も安易な税金補助による価格誘導での就航が増えることになるものと見られる。
もちろんこれにより県内での消費が投じた税金を回収できるほどに増えるならいいのだが、現実には先月明らかにしたとおり初日の夜県内で1泊した後は、大阪京都東京を巡り、最終日に東京から空港へ直行する観光ルートが主流であり、主にお金を落とすのは空港内の免税店、しかも地場産品よりも大手メーカーの量産品である家電が中心で、すなわち、天下り法人の富士山静岡空港株式会社の利益がアップするのみであり、地域への波及効果は極めて限定的である。
税金投入して天下り法人が肥えるスキームと言っても過言でないのである。
では以下、今月の実績を記す。
<平成26年7月の実績:対前年同月比>
路線:搭乗者数対前年同月比(H26.7/H25.7):搭乗率[H26.7;H25.7](赤文字は搭乗率が65%を下回っており、税金補助がなければ路線存続が疑問視されるもの)
札幌線:99.6%(6,617人/6,641人):[
48.1%;48.8%]
福岡線:102.7%(8,539人/8,315人):[
57.1%;58.8%]
沖縄線:106.6%(6,389人/5,991人):[
60.6%;55.3%]
鹿児島線:88.4%(1,224人/1,384人):[
56.0%;70.0%]
国内定期便計:102.0%(22,769人/22,331人):[54.9%;55.0%]
国内線チャーター便計:-%(142人/-人):[93.4%;-%]
国内線計:102.6%(22,911人/22,331人):[55.1%;55.0%]
ソウル線:47.0%(5,397人/11,490人):[
78.8%;60.7%]
上海線:320.2%(4,876人/1,523人):[
56.5%;51.0%]
台北線:106.7%(3,836人/3,596人):[
67.5%;71.1%]
国際線定期便計:84.9%(14,109人/16,609人):[66.7%;61.5%]
国際線チャーター便計:-%(8,329人/-人):[96.9%;-%]
国際線計:135.1%(22,438人/16,609人):[63.6%;61.5%]
全路線計:116.5%(45,349人/38,940人):[63.6%;57.6%]