「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

公文書非開示理由への異議申立て結果報告

2013-03-30 20:05:00 | 近況活動報告
先日行った「平成25年度当初予算案に関する公文書開示請求」の開示決定通知の中に2通の「公文書部分開示決定通知書」があり、そのうちの1通は標題誤りで差し替えをしてもらったが、残る1通については異議申立てを行った。
本日、この結果が通知されたので全国の公文書開示請求活動の参考として紹介する。

<当初の公文書部分開示決定通知書>


このの事案は、結果として部分開示はやむを得ないと思える事例であるが、その理由に認識の誤りが認められたため異議申し立てを行ったものである。
「一般職の非常勤職員の氏名は、一般に公開されておらず」という理由をもってなぜ「条例第7条第2号ただし書きのいずれにも該当しない」と言えるのか全く不明であり、何よりもこの理由からは「一般職の非常勤職員」が「公務員等」に該当するものとして条例第7条第2号ただし書きウについて検討されたのかが全く不明である。よって、以下のとおり異議申立を行ったものである。
<異議申立て>
平成25年3月21日
静岡県知事 川勝 平太 殿
異議申立人 ○○ ○○ 

異議申立書

次のとおり異議申立てをする。
1 異議申立人の住所・氏名・年齢
  <略>
2 異議申立てに係る処分
 貴職から意義申立人に通知された、平成25年3月13日付け健管政第167号「公文書部分開示決定通知書」に係る処分
3 異議申立てに係る処分があったことを知った年月日
  平成25年3月20日
4 異議申立ての趣
 上記2の処分は静岡県情報公開条例第7条第2号ただし書きの適用に瑕疵があり、行政手続条例第8条に定める適法な理由提示の要件を欠いた違法な処分として、本件処分を取り消すとの決定を求める。
5 異議申立ての理由
 本件「公文書部分開示決定通知書」中の「開示しないこととした部分、その根拠規定及び当該規定を適用した理由」において、静岡県知事は「事業概要等の説明に記載された非常勤職員の名前」の非開示の根拠規定を「静岡県情報公開条例第7条第2号」とした上で、その適用理由として「非開示とした部分には、一般職の非常勤職員の名前が記載されており、特定の個人が識別される。」「また、一般職の非常勤職員の氏名は、一般に公開しておらず、条例第7条第2号ただし書きのいずれにも該当しない。」と主張している。
 この適用理由について、前段の「特定の個人が識別される」ことは是認するが、後段の「条例第7条第2号ただし書きのいずれにも該当しない」との主張は認めがたいので、以下に疎明する。
 条例第7条第2号の趣獅ヘ、個人のプライバシーを保護するため個人識別情報を原則非開示とする一方で、個人の権利利益を侵害せず非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優先するため開示すべきものについて例外的に原則を非適用とし、個別具体的にその開示・非開示をただし書きア~ウの適用によって判断するものである。
そこで、同条同号ただし書き「ウ」の適用について考えるに、開示非開示の判断対象となる個人として同ただし書きが適用されるのは「地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員」と規定されているところ、本件非開示の対象となっている個人情報は静岡県の「非常勤職員」の氏名であるとのことであり、当該「非常勤職員」は「地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員」であることから、県知事主張の「条例第7条第2号ただし書きのいずれにも該当しない」との主張には同条同号ただし書きの適用を誤った瑕疵があり、行政手続条例第8条に定める適法な理由提示の要件を欠いた違法な処分として取り消されるべき処分であると思料する。
6 処分庁の教示の有無及びその内容
 本件「公文書部分開示決定通知書」において「この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、静岡県知事に対して異議申立て(審査請求)をすることができます。」との教示があった。
7 添付書類
 本件「公文書部分開示決定通知書」の写し 1通
以上


そして、結果は以下のとおり、当初の決定は要求どおり取り消された。


ここでの肝は「職務の遂行に係る情報にも当たらない」としているところで、これは、一般職の非常勤職員が条例第7条第2号ただし書きウの公務員等に該当すると認めた上で、ウの後段非該当をもって非開示としたということである。
実際、異議申立て時にはあえて伏せたが、本県の「非常勤職員身分取扱要綱」においては、その第1条に「地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する非常勤の職員」と、明確に記されており、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員の区分を規定した同3条に該当するということはすなわち条例の「公務員等」に該当するということは明々白々の事実でなのである。

昨年のあるはずの文書を無いという事例といい、最近、公文書開示請求のたびにずさんな事務対応が繰り返されている。
一昨日公開した予算調書の中にも年度が昨年度のままであるところが散見されるなど、漫然と前例どおり事務処理するという体質が蔓延しているようだ。
平成25年度予算の紹介で指摘したとおり、事業も委託などでの丸投げが常態化しているのと同じで、今の県庁は学習したり考えたり行動する力が衰えているのではないだろうか。

行政は誤らないというのはもはや過去。県民各位にあってはよりよき未来のために、静岡県庁(役人)は間違うものとしてしっかり監視し所要の対応を取って鍛えていただきたい。
私も身近なところから監視と指導を強化していきたいと思う。

原子力発電広報対策事業費80,924,000円

2013-03-28 21:51:00 | H25県予算評価
今日は「原子力発電広報対策事業費」の予算を評価する。



この事業の目的は「県民への原子力発電所に関する知識の普及・啓発」となっているが、事業内容は至ってシンプルである。
一番大きなシェアなのが、予算の約40%を占める32,089,050円をかけた原子力広報研修センターの改修工事(設計委託費及び工事請負費)である。要するに箱モノの維持費であるが業者丸投げである。

次に、予算の37%29,559,600円を占めるのが交付金である。
これは、原発周辺の4市に「周辺住民の原子力に関する理解促進(広報パンフレット作成・配布、住民の視察等)を図る」ため交付されるもので、御前崎市に21,804,000円、牧之原市に4,830,000円、叶?sに1,800,000円、菊川市に1,800,000円が交付される。
要するに広報という名目であるが、実態は御前崎市などでは住民の懐柔予算の一つとなっている。

それ以外では環境放射能調査結果の新聞掲載に5,909,400円。
「静岡県原子力発電所環境安全協議会」なる団体の負担金が330万円。
事業丸投げの、原子力広報研修センター展示事業委託費が200万円。

残りは事業らしい事業はなく、例年発行のパンフレットの印刷費や職員の旅費、書籍の購入、非常勤職員の雇用などであり、漫然と予算を消化しているような経費ばかりである。

予算の財源が国庫補助金であるため使途に制約があるのだろうが、原発を取り巻く環境が大きく変わった現在も惰性のごとく続けていくのはどうだろう。
県民の生命財産を守るという視点からいえば、環境放射能調査のようにもっと充実させてしかるべきものもあるのだから、国にも県にも大ナタを期待したかった事業である。振り返れば、無駄をなくすなどと国民の期待を煽った上で見事だました事業仕訳けが一番無駄というより罪だったのかもしれないと思う。

<予算調書PDF>
原子力発電広報対策事業費

内陸のフロンティア推進事業1億5千万円

2013-03-24 23:40:00 | H25県予算評価
請求していた公文書が届き、本日ようやくPDF化が終了した。
500枚を超える量で予算も50項目近く全体の整理がまだのため、順不同になるがコメントしやすいものなどから本日から何日かおきに順次紹介していきたい。

今日は現在の県政の看板事業ともいえる「内陸フロンティア」推進事業を紹介する。


事業費1億5千万円という内陸のフロンティア推進事業であるが、カタカナ文字の事業というのはたいてい胡散臭い。特にこの事業は直訳すると内陸の辺境推進事業という意味不明なものだ。
今回の安部政権が前回のカタカナ文字連発の失敗から学び、卒業したのとは対照的である。

では、具体的に県はこの事業をどう進めていくのかであるが、添付画像の「事業概要」にあるとおり、「全体構想の推進・具体化」と「事業化」という見るからに何かやりそうに思わせる区分で説明されているが、現実には県庁の職員がやることはほとんどない。
職員がやるのは、
・シンャWウムの開催
・県内外の企業訪問出張
・情報意見交換セミナーの開催
・専門家の会議運営
・関係機関との打ち合わせ
それと、
・委託契約、支払い等
この程度である。
職員として特別な専門知識も企画能力も必要ない、採用2~3年目の職員だけでも十分できるものばかりである。

というのも、PDF化したこの事業の予算調書の1枚目を見てのとおり、委託料が1億4,095万円と予算の94%を占めているのである。
内訳は、
・民間の専門家派遣、コンサルタント業者派遣委託9,000,000円
・総合特区の成果及びノウハウ等戦略的広報業務委託18,500,000円
・特区事業推進のための事業スキーム及び推進方策作成等業務委託29,650,000円
・企業の本県への物流施設の立地意向把握アンケート調査業務委託3,000,000円
・PRツール制作業務委託800,000円
・関連事業の事業スキーム及び推進方策作成業務委託80,000,000円
見てのとおり、重要なものはすべてコンサル等への丸投げである。

コンサルの当たり障りのない絵をもらって喜んでいる実情では、県の企画が地域の実情とマッチせず、一向に県政発展の成果が見えてこないのも納得である。
職員が内陸のフロンティア推進事業をやっているといっても、その実は単なる契約事務管理でしかないという貧相な職務実態。
かつて職員個々の能力の向上と、地域に設置したミニ県庁というべき地域の行政センターを通じての分権的企画事業の推進を目指した知事がいたが、今の県庁にはその面影もない。
今後紹介する事業にも同様の構造が見られることからして、この予算は県というものの存在意義が問われる状況であるとわかる象徴的事業である。

<予算調書PDF>
「内陸のフロンティア」推進事業

静岡空港利用者の推移(開港4年目第9月)~誰のため?税金での空港生命維持~

2013-03-08 20:05:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で4か年を比較したグラフです。
以下、開港4年目の9月目となる2月実績に基づき傾向を概観する。
<傾向等>
開港から4年目の9月目を迎えた静岡空港であるが、利用者数こそ前年度を上回ったものの震災前の水準には遠く、自慢の搭乗率も同月比で過去最低となるなど振るわない。
先月に比べても国内・国際合計で対前年同月比113.6%から111.0%と利用者の勢いは衰え、先月1月が年末年始の日並びの良さによる一時的なものだったことがうかがえる結果となった。
また、震災前(一昨年)の同月比で見ても、80.2%と先月の88.5%から大きく落ち込んでおり、利用者離れの現実が見て取れる。

次に、航空会社の経営状況の指標となる搭乗率を見てみる。
全体の搭乗率は2月としては最低となったものの、便数削減や機材繰りの工夫などで先月に比べて搭乗率の改善が見られた路線が多い。
顕著な例が札幌路線で、1月に比べ利用者が3%減に対して搭乗率は59.8%から70.3%に大きく改善している。これは、1月に比べ2月は3日少ないながら、それを上回る座席提供数17.4%減少が大きな要因である。
また、台湾路線についても、座席提供数14.3%減により先月の搭乗率51.4%から今月は67.6%に大きく改善している。
LCCなどで活況の近隣空港の傾向とは逆に利用者が減少傾向にある静岡空港にあっては、身の丈に合った機材で運行しなければ航空会社としては採算に合わない(ただし、羽田や中部国際にはない県費からの補助金で事実上赤字の一部が補てんされている)と見られる。

今月の実績を見てもやはり、国内国際ともに現在の、自立償還が前提のJRや高速道に比べて公共交通機関としては破格の税金支援・行政支援がなければ路線維持すら困難な状況、自立できない状況に、まったく変化は見られない。
離島の空港や交通不便値の空港とは違い生活必需路線ではない静岡空港。いったい誰のために数十億の税金を毎年投入し続けるのか。早急なゼロベースでの見直しが望まれる。

以下に今月の実績を記す。
<平成25年2月の実績:対前年同月比>
路線:搭乗者数対前年同月比(H25.2/H24.2):搭乗率[H25.2;H24.2]

札幌線:82.7%(4,821人/5,828人):[70.3%;64.2%]
福岡線:116.9%(7,319人/6,261人):[56.0%;66.2%]
沖縄線:105.1%(5,423人/5,160人):[77.7%;74.1%]
鹿児島線:195.0%(2,878人/1,476人):[68.9%;56.6%]

国内定期便計:109.2%(20,441人/18,725人):[65.8%;66.6%]

国内線チャーター便計:0.0%(0人/132人):[-%;86.8%]

ソウル線:98.1%(10,879人/11,300人):[66.9%;64.4%]
上海線:127.6%(1,412人/1,565人):[38.7%;46.0%]
台北線:-%(2,564人/-人):[67.6%;-%]

国際線定期便計:121.7%(14,855人/12,202人):[62.7%;62.1%]

国際線チャーター便計:0.0%(0人/727人):[-%;80.8%]

全路線計:111.0%(35,296人/31,786人):[64.4%;65.1%)]

平成25年度当初予算案に関する公文書開示請求

2013-03-08 19:40:00 | 近況活動報告
全国市民オンブズマンの情報公開度調査では、47都道府県のうち約半数の23道府県が80点満点の同店1位となり、都道府県レベルの透明度の尺度としては希薄化してきているところ、都道府県と政令市について、注目されるのが予算編成過程の透明度ランクである。
2年前にもこの問題には触れたが、静岡県の情報公開姿勢に進歩なく、いまだ平均点以下の公開度である。

加えて、本県は議会の審議を経ずに事業が可能な部局調整費なるものが拡大の傾向にあり、ここでも追求してきたがブラックボックス化している。これについては、毎年費消実績をチェックし、ここで公開していきたい。

よって、また今年も以下のとおり予算の積算根拠について、公文書開示請求を行わざるを得ず、今週始めに以下のとおり請求し、受付されたので報告する。
平成25年度県予算案中の以下の事業予算に係る予算調書類(平成25年度当所予算編成要領の「様式編」及び「その他様式編」に規定の文書(附表含む)並びにそのほかに予算査定に用いた文書のすべて)

<事業名(細目名等)><予算額>
地域外交推進費 269,800千円
県政推進調整費 64,800千円
企画調査事務費 31,792千円
調査分析事業費 2,489千円
「内陸のフロンティア」推進事業費 150,000千円
空港周辺地域の”理想のまちづくり”グランドデザイン策定事業費 3,000千円
電源立地地域対策交付金事業費 1,814,636千円
くらし・環境部企画調整費 20,900千円
文化・観光企画推進費 42,034千円
グランシップ管理運営事業費 1,015,000千円
ふじのくに海外誘客推進事業費 84,900千円
ふじのくに観光ブランド創出事業費 188,000千円
MICE誘致促進事業費 7,000千円
空港企画広報推進事業費 15,860千円
富士山静岡空港利用促進事業費 568,100千円
石雲院展望デッキ管理運営事業費 12,600千円
空港アクセスバス運行事業費 68,000千円
健康福祉企画推進事業費 36,233千円
経済産業企画推進事業費 27,315千円
経済産業部企画調整費 30,000千円
富士山静岡空港内情報発信事業 16,490千円
中小企業国際化推進費 62,700千円
遠州織物ファッション製品創出事業費 16,000千円
交通基盤企画行政費 1,235千円
交通基盤部企画調整費 21,500千円
空港管理運営事業費 537,000千円
富士山静岡空港新経営体制推進円滑化事業費 10,000千円
空港行政費 31,786千円
富士山静岡空港利便性向上事業費 56,189千円
航空保安関係事業費 43,000千円
空港旅客ターミナルビル等機能向上調査検討事業費 30,000千円
空港周辺部環境整備事業費 97,000千円
空港周辺地域振興推進事業費 568,000千円
空港周辺施設維持管理事業費 3,500千円
モンゴル上下水道技術交流事業費 5,000千円
危機管理部調整費 20,000千円
原子力発電広報対策事業費 80,924千円