「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

民活の虚像、税金で利権構築の静岡空港

2014-04-27 21:28:00 | 近況活動報告
「官の非効率に比べて民間は効率的」「民間活力を利用して」などと進められてきた民間への事業委託。
静岡空港も例外ではなく、開講前から空港赤字懸念の声に対し、県は民間事業者への運営委託で効率的運営、すなわち税金投入額の軽減が図られると説明してきた。
その上で「民間事業者」として祭り上げられたのが「富士山静岡空港株式会社」である。
空港ビルを税金支援で建設しさらにはやはり税金支援で増築し、その独占的ビルの賃料を県から得て収益を上げ黒字化している県の天下りが歴代社長を務めている会社だ。店子は県(税金)や航空会社(航空会社の賃料も税金補助)であるため、とりっぱぐれはなく、空港利用者数に左右されないため、県として見た空港経営が大赤字なのとは対照的なのである。

その会社の独占的利益の元である空港ビルにまつわる県民不在の利権構造が明らかになったので以下紹介する。



これは県発注の委託事業であり、業務内容は御覧のとおりパネルの掲出と保管である。
特定の事業者でなければ出来ない業務でないことは一目であるが、現実には、県はこれを特定の事業者でなければ契約できないとして業者の言い値で契約を行っているのである。
その額1,340,850円。地方自治法規定の競争原理が働けばこのような額にはならないだろうが、なぜ、こうなったのか。
そこには、「富士山静岡空港株式会社」の存在がある。
以下は、この契約を特定の一事業者と契約しなければならない理由が記された「随意契約執行伺」の冒頭2枚である。




「単独契約理由」を見てのとおり、

「富士山静岡空港旅客ターミナルビルは、富士山静岡空港(株)が所有・管理する建物であるが、その建物に掲出する広告・看板等の設置を含めた販売は、同社から(株)東急エージェンシーに全て委ねられている。」
「さらに、富士山静岡空港(株)の了解の下、広告看板やパネル等の広報媒体のスャ塔Tー間調整、デザイン、建物全体とのバランス調整等の実務については、(株)東急エージェンシーから(株)静鉄アド・パートナーズに任せられている。」
そのため、(中略)当該事業者と締結するしかない。」と、競争原理排除の原因が、富士山静岡空港(株)と(株)東急エージェンシー、(株)静鉄アド・パートナーズら民間他業者による、行政が介入できない民間契約による利権構造にあることが、見て取れるのである。

そもそも、PFIなどの民間活用は民間事業者による運営手法が官治の方法よりも効率的・効果的であることが前提とされ、それゆえに税金負担の軽減が図られるはずの仕組みである。
しかし、現実はどうだろう。
富士山静岡空港(株)のように競争無く独占的な立場にある企業に公の施設を任せたとき。
企業情報だとして役員報酬はもちろん民民の契約実態も情報公開されず、ゆえに住民監視も働かず、ビル独占で競争も働かないところでは。
くだんのとおり、民間活用によって税金が効率的に使われるどころか、税金が効率的に企業に吸い上げられる構造が出来てしまうのである。

では、空港ビルを県が買い取ればこの構図が変わるのか。
残念ながら県は引き続き競争させずに富士山静岡空港(株)にビル管理を委託させるつもりである。
県の職員が引き続き天下るだけでなく、県出資の第三セクター会社にしたのもそのためである。

もちろん純粋に競争による民間委託とすれば良しかどうかは賛否あるところ。
TSUTAYAやスターバックスコーヒーに図書館運営を委託した武雄市をどうみるかは人それぞれの目的・期待するところにもよるだろう。
しかし、少なくとも、役人らによる利権構造のもとで県民に何ら果実無く税金が垂れ流されるを良しとする県民はおるまい。

良識ある県民は、これら事務を行っている役人はなぜこういうものに疑問をもたないのか、を疑問とするかもしれない。
しかし、行政がなぜ誰のために存在しているのか、組織として見失ってしまった以上、これは必然である。
政治も行政も、権力のあるところは容易に腐敗し、しかも不可逆(自己浄化に向かわない)である。
ゆえに、県民の不断の監視、そして行動だけが、これに抗しうるのみであることを我々は自覚すべきである。


<附記>
(株)静鉄アド・パートナーズに聞き覚えのある方もおられよう。
昨年住民監査請求を行った京極事件で、違法な事務処理や違法な再委託にも関わらず県や監査機関が擁護した企業である。また、富士山静岡空港(株)の筆頭株主である静岡鉄道(株)のグループ企業の一つである。
政・官・財の癒着という言葉が国レベルであるが、地方にも類似の癒着構造がある。共通して言えるのは、国民負担の上に、これら利権が存在しているということである。

平成25年度部局調整費に係る公文書開示請求

2014-04-24 07:44:00 | 近況活動報告
毎年の恒例になりましたが、使途が県民の目からはブラックボックス化し、議会のチェックもなく役人が自由に使える予算「部局調整費」の使途を明らかにするため、以下のとおり公文書開示請求を行ったので報告します。


<県受付メール抜粋>
平成26年4月22日付けで「以下の2件

1 平成25年度の以下の調整費の具体的使途(事業実績)及び各事業ごとの支出負
担行為額計(実績金額)のわかる公文書の写し交付(取りまとめたものがない調整
費にあっては当該調整費に係る支出負担行為文書のすべての閲覧及び閲覧後の写し
交付)
・ 県政推進調整費
・ 経営管理部企画調整費
・ くらし・環境企画調整費
・ 文化・観光部企画調整費
・ 健康福祉部企画調整費
・ 経済産業部企画調整費
・ 交通基盤部企画調整費
・ 危機管理部調整費


2 「平成25年度富士山静岡空港地域経済波及効果分析業務委託」(空港利用政
策課)に係る受託者から県に提出された文書及びデータの全て」に関する開示請求
を受付けました。
 この請求については、経営管理部総務局総務課が担当となります。

<参考:昨年請求時>
「平成24年度の部局調整費の使途に係る公文書開示を請求」

・ 県政推進調整費
・ 経営管理部企画調整費
・ くらし・環境企画調整費
・ 文化・観光部企画調整費
・ 健康福祉部企画調整費
・ 経済産業部企画調整費
・ 交通基盤部企画調整費
・ 危機管理部調整費

「部局調整費の開示と住民監査請求の予告」



地域に根ざした起業支援による雇用創出のための基金で空港イベント、しかも県職員天下り会社に約3千万円で

2014-04-20 22:42:00 | 近況活動報告
富士山静岡空港株式会社は皆さんよくご存知だろう。
県職員の天下りが続いている空港運営を委託されている第三セクターである。
税金支援で建設したターミナルビルを県や航空会社に貸して賃料を得て黒字化している空港ビル所有会社でもある。
しかし今後、川勝平太の意向を受けビルは県所有になる見込みとなり、天下りを養う利権確保のため新たな資金ルートを求めているところに、やはり税金頼みの様相を見せはじめたと見えるのが、今日紹介するイベント受託である。

まずは、以下の画像を御覧いただきたい。

平成25年度末から平成26年度にかけての事業で、件名のとおり「富士山静岡空港及び空港周辺のにぎわいづくり」を目的とした事業である。
さらに事業の具体的内容については、委託契約書中の業務委託要領から、以下の画像のとおりである。




見てのとおり、そのほとんどが、これまで県が直接民間に委託して実施してきた事業である。(昨年度は(6),(8),(9),(11)以外は株式会社シグマ観光サービスが受託して行った。)
しかも、言い訳のように「受託者の創意工夫のもとに、これまでとは異なる独自性をもって実施する」との文言が踊っているのが分かる。まるで新受託企業の方が従前の受託企業よりも創意工夫に長けていると言いたげだ。
しかし、この受託企業こそ、県職員による天下り社長ャXトとなっている第3セクター「富士山静岡空港株式会社」なのである。役所がよく使う民間活力云々という民間とは役人が天下った会社のことなのだろうかと首を傾げたくなる現実である。
肝心の新規雇用は5人(しかも、経費積算の資料によれば日当1万円以上の計算。既存雇用の経費の一部も賄う計算。)であるが、ノウハウのない新規雇用のスタッフだけで各種事業が出来るわけがなく、下請け、要するに別業者への再委託は容易に想像できる。これでは中間搾取の構造であり、間に立つ天下り会社の利益分、税金負担は増えることとなるのである。(実際、昨年の類似のにぎわい事業総額に比べ約1割の事業費増)

問題はさらにある。

最初の画像の予算科目を見てほしい。
この予算は空港関連予算ではなく雇用対策を目的とした「就業支援費」による事業であるという問題だ。
つまり、先日紹介した空港関連予算には算入されない隠れ空港予算ということであるばかりでなく、県予算書上の事業名は「緊急経済対策民間活力等推進事業費」として「民間からの提案方式などにより、幅広い雇用の創出及び地域のニーズに応じた人材育成を行う。」という目的である予算が、本来の目的からはほど遠いこのようなイベント予算に投じられているという問題である。(ちなみに、「維新エンターテインメント株式会社」による「静岡空旅×(カケル)小説プロジェクト」なる映画製作も緊急雇用創出事業による税金で作られたものである。)

そもそも、この県の「緊急経済対策民間活力等推進事業」、その原資は国からの交付金である。
国の「緊急雇用創出事業」として県に交付され、基金に繰り入れて運用する仕組みである。
本県でも国の復興予算の流用として問題になった、中部電力浜岡原発から無料で温水を提供されている「静岡県温水利用研究センター」のコスト負担として静岡県の基金を通して4億円が中電に実際に支払われた際の基金と同じ仕組みの基金である。

ゆえに一応、国が使途や要件を定めているのであるが、今回問題となっているこの事業は、その「緊急雇用創出事業」のうちの一メニューである「企業支援型地域雇用創造事業」に該当するいう位置づけのもので、その事業の概要は以下の画像(厚生労働省資料)のとおりである。


見てのとおり、事業の趣獅ヘ、
「安定的な雇用 の受け皿を創造していく」「特に、国際競争にさらされる産業分野においては競争の激化により工場の海外移転が進む中、地域に根ざした事業を支援す ることにより雇用の創出が期待できることから、「起業支援型地域雇用創造事業」を創設し、地域の雇用の受け皿の確保を図る」ことにあるが、はたしてこの事業がそのような趣獅ノ沿ったものであろうか。

さらに国の「緊急雇用創出事業等実施要領」では、「起業支援型地域雇用創造事業」の要件として、以下のとおり、



「都道府県が企画した新たな事業であること(既存事業(実質的にそのよ うに判断されるものを含む。)の振替でないこと。)」との事業対象要件が定められているが、このようなイベント事業が多少の創意工夫と言っても新たな事業と見るべきか疑問である。
事業仕分けで名前を変えて事業を復活させ無駄を排して新規事業を計上したという詭弁になれた静岡県ならではの事業採択でしかない。

また、このような空港イベント事業が同要領の「地域の産業・雇用振興策に沿って、地域に根ざした事業の起業等に資する事業」たりうるかも、大いに疑問であるが、独自の言語解釈が得意の静岡県なら、である。
もっとも、国にあってさえ、政権が変われば憲法解釈ですら変えられるというのでは、国も県に文句は言えまいが。

静岡県の人口流出が続いていることが昨今ニュースになって、その一因が雇用にあるとされている。
そのような中、本県においては雇用対策の資金がこのような使途に投じられ、他県の後塵を拝する結果となっている。
このような県行政の使命感・責任感の欠如は情けない限りである。


さて、最後に、どのようにして受託事業者を「富士山静岡空港株式会社」にすることができたのかであるが、ここに、謎の業者が介在していた。
まず、この事業者選択を誰がしたかであるが、以下のとおり、県空港利用政策課職員5名が選考委員となって選んだことが分かる。




このような選考で天下り会社を排除することなど出来ようはずがないことは、誰もが容易に想像できよう。
では、当て馬、役所用語で「相見積(あいみつ)業者」はどこかであるが、これが実態がよくわからない会社であった。
名称は「株式会社デコデザイン」、会社をネットで調べても実働しているホームページが見当たらない。いろいろと見ていくと元県会議員の大石裕之氏が代表を務め、会社の住所は同氏の選挙事務所内となっていることが分かった。
氏が本気でイベント会社としての企業を考え、天下り会社に勝てると思っていたかは公文書上からは不明である。
しかし、もしそのように思っていたのなら県行政の実態を知らなさすぎるということは言えるのではないだろうか。
逆に、当て馬承知だとしたらあまりに不誠実な加担である。
いずれにしても、まさに、議会が行政を監視できない実態を垣間見るような現実である。釈明をぜひここに寄せられたいものである。

組織ぐるみ、監査も黙認、静岡県職員の事務の無法状態を公開

2014-04-13 00:35:00 | 近況活動報告
皆さんが家を新築しようというとき、どのような経過を辿るだろう。
一般な手順としては、おおむね次のようなものになるのではないだろうか。
(1)予算を決める、(2)候補の業者を選ぶ、(3)設計案、見積を取る、(4)業者決定、(5)契約をする、(6)着工、(7)完成・引渡、(8)支払
もちろん、これ以外の手順もあろう。
しかし、これが、
(1)予算を決める、(2)候補の業者を選ぶ、(3)着工、(4)ほぼ完成時に設計案、見積を取る、(5)業者決定、(6)契約をする、(7)完成・引渡、(8)支払
だったら?
通常は有り得ないだろう、あり得るとしたら発注者と受注者の間に、よく言えば強固な信頼関係が、悪く言えば癒着があり、しかもコストパフォーマンスに興味がないような場合であろう。

地方自治体における契約は地方自治法によって規制されている。
その順序はもちろん前者の例のとおりである。
しかし、現在の静岡県庁では後者の手順の違法を承知の上でこれを平然と行うことに何らの抵抗がなくなってしまっていることが分かったのである。

では、前置きを終えて、以下に実例を示そう。
事業名は「富士山世界文化遺産登録機運醸成業務委託」、業務は「(1)登録直後に堅調本館前で行う登録記念セレモニー(6月23日実施)、(2)6月29日から8月1日までの期間で県内主要駅や商業施設等で行うキャラバン隊の編成を中心とした広報、(3)8月4日にグランシップで行う世界遺産登録感謝の集いの企画運営、の3つの事業からなるもの」である。
なお、県の所管部署は昨年6月にメール御送信事件を起こし謝罪した静岡県文化・観光部文化学術局世界遺産推進課(H26年度の富士山世界遺産課の前身)である。

書証(2月13日請求の公文書開示請求により入手)から見えた時系列の流れは以下のとおり。
1 H25.5.24 委託契約の契約予定者を電通東日本株式会社外1社に決定
2 H25.6.22 (富士山の世界遺産一覧表への記載が決定)
3 H25.6.23 契約予定者らが委託事業のうち「富士山世界遺産登録記念セレモニー開催」を完了
4 H25.6.26 (富士山の世界遺産一覧表への記載により登録完了)
5 H25.6.29 契約予定者らが委託事業のうちキャラバン隊事業の初回を完了(第2回7/6、第3回7/13、第4回7/20)
6 H25.7.26 随意契約執行伺を起案、同日決裁、同日事業者(電通東日本・SBSプロモーション共同企業体)に見積書提出を依頼
7 H25.7.27 事業者が委託事業のうちキャラバン隊事業の第5回を完了
8 H25.7.30 事業者が見積書(契約希望金額9,421,650)を提出
9 H25.7.31 見積どおりの金額で支出負担行為伺(契約の伺い)起案
10 H25.8.1 事業者が委託事業のうちキャラバン隊事業の最終回を完了
11 H25.8.4 事業者が委託事業のうち「富士山世界遺産登録感謝の集い開催」を完了(この時点で設計書金額ベースで99%の業務が完了)
12 H25.8.9 支出負担行為伺の決裁完了
13 H25.8.9 委託業務実施計画書受領
14 H25.8.22 富士山静岡空港富士山回廊に設置予定の別注の展示パネル製作の遅れから展示作業に係る委託期間の延長依頼を起案、翌日に事業者に通知
15 H25.8.27 契約書に知事印押印(地方自治法上の契約成立日)

16 H25.8.27 事業者から8月4日開催の「富士山世界遺産登録感謝の集い」の必要経費が契約額を上回ったとして契約額の246,750円増額を申し出
17 H25.8.27 申出どおりの金額で支出負担行為伺(変更)起案
18 H25.8.29 支出負担行為伺(変更)の決裁完了
19 H25.9.5 増額し、期間延長(8/30を9/30に)した変更契約書に知事印押印(契約成立)
20 H25.9.27 委託期間の再延長依頼を起案、同日決裁、同日通知
21 H25.10.15 期間延長(9/30を10/31に)の変更契約書に知事印押印(契約成立)
22 H25.10.28 事業者から委託期間の再延長の申し出、同日県起案・決裁
23 H25.10.29 期間延長(10/31を11/15に)の変更契約書に知事印押印(契約成立)
24 H25.11.15 事業者から「委託業務実績報告書」が提出される
25 H25.11.29 11/22に完了検査(県HPに公開の出張記録になし)をしたとして「検査合格通知」を事業者に通知
注:2月13日に請求し3月に開示された公文書上では、請求や支出(支払)の公文書はなかった。

見てのとおり、見金額積や契約が成立する前にほとんど事業が完了しているという異常な手順を経ていることが分かろう。

なぜか?
この事業は自分の金ではなく税金という使い切りが奨励されている他人の金で行うものであるため、前置きで述べたとおり、県職員にとってはコストパフォーマンスに興味が向くわけがないのである。しかも相手がマスコミ関係とあらば、政治力の落ちた建設業者と違って気前良く信頼関係(癒着)をとなるのも無理からぬところであろう。

しかし、発注者と事業者の癒着だけでこの違法を完遂できないはずである。
それは審査機関があるからだが、問題は、静岡県においてはそれが機能していないということだ。
以下の画像は、この金額・内容で契約をして良いかを執行機関内だけでなく出納機関にも伺う「支出負担行為伺」という書類の裏面の記載である。8月9日の段階で審査機関が書類を見れば手続きの違法は明白であるにもかかわらず、是としているのである。


さらに、見てのとおり、既製のゴム印に日付を入れているだけであることが分かろう。
すなわち、繰り返しこのような違法が見過ごされるという、執行機関、審査機関が手を組んでの組織ぐるみの違法状態にあるということである。

また、類似の事案を監査請求した結果が示すとおり、監査委員においては違法であって損害があるかもしれないとしても、その損害額が立証できなければ不問としたことから、もはや誰からもとがめられないとして、会計事務にとどまらず自らの行う違法行為に不感症になっているのが今の静岡県庁なのである。

ここに、「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」(地方自治法第2条)という地方公共団体の使命感が見られるだろうか。

これこそ、まさに堕落である。国民財産を守るパブリックサーバントから国民財産をむさぼるシロアリへの。

ゆえに、「静岡県水利用課、大井川広域水道企業団補助金不適切事務処理関係公文書の開示を拒否」や、「静岡県の不適切事務で1億2,840万5千円の国庫補助受けられず」は起こるべくして起こったという意味で、偶然ではなく堕落の必然というべきである。

静岡空港利用者の推移(開港5年目第10月)~平成25年度は46万人どまり~

2014-04-11 17:52:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で5か年を比較したグラフです。
県は、県議会の要望を受け、次期県総合計画の中での5年後の空港利用者数目標を85万人から70万人に引き下げたものの、平成25年度はその目標の6割程度の実績に終わった。

全国的に見れば、2013年の訪日外国人旅行者数は前年に比べ200万人(24%)増加し、これまで最高だった震災前の2010年(平成22年)の861万人を大きく超える1,036万人と、過去最大を記録し追い風が吹いていた。
観光庁の観光統計によれば「平成25年年間値(暫定値)では、日本人延べ宿泊者数は約4億2,281万 人泊(前年比+2.3%)、外国人は約3,324万人泊(前年比+26.3%)。ともに、 調査開始(平成19年)以来、最高値」と同じ傾向が見られる。
もっとも、領土問題などによる関係悪化から出身国籍別で見て、中国、韓国については宿泊者数は平成22年比で約1割ダウンしているが、それでも震災前の水準に徐々に近づいている。
にもかかわらず、静岡空港の海外便利用者数は、過去最低を記録、特に韓国路線にあっては回復の兆しすら見えない散々な状況である。
一方、国内線にあっては回復基調にあるとはいえ、過去最高どころか平成22年水準にも及ばず、全国的な流れからは遅れを取っている。
オリンピックや防災にこじつけた静岡空港新幹線新駅の野望も潰えて、先の見通しは真っ暗な状況である。

それでは、以下、開港5年目の10月目となる3月実績に基づき傾向を概観する。

<傾向等>
3月という月は8月に次いで利用者数の多い月であり、搭乗率は高くて当然の月である。
経年的傾向を見るには利用者数を見るべきであるが、その3月実績は、国内線が各路線震災後の急落から復調基調の中で過去2位(とはいえ、いまだ平成22年時の7割に留まる)の実績となった反面、国際線は今月も過去最低記録を更新した。

路線ごとに見た過去5年間の3月実績のみで比較した順位と比率は以下のとおり。
札幌線8,043人   2位/過去5年(1位の平成22年9,070人に対して88.7%)
福岡線10,954人  2位/過去5年(1位の平成22年12,174人に対して90.0%)
鹿児島線3,154人  3位/過去5年(1位の平成22年4,313人に対して73.1%)
沖縄線7,663人   1位/過去5年(2位の平成25年6,653人に対して115.2%)
ソウル線6,445人 5位/過去5年(1位の平成22年17,491人に対して36.8%)
上海線1,906人   3位/過去4年(1位の平成23年2,198人に対して86.7%)
台湾線4,092人   1位/過去2年(昨年2,920人に対して140.1%)
また、総利用者は42,992人で過去5年間で第3位、ピークの平成22年に比べて68.7%であった。

国内線と国際線の過去5年間の推移を見ると、


先月同様、国内線が回復基調にある反面、国際線が低迷している状況がはっきりしている。

国内線の内訳を見ると、


先月過去最高を記録し国内線の牽引役だった福岡線が過去2位に後退。「福岡線にあっても、初年度の需要にようやく追いついたにすぎず、今後の伸びがなければ限界と見るべきであろう。」と先月述べたが、やはりそろそろ頭打ちの状況に来たと見られる。
もちろん、税金投入(福岡線を運行するFDAには直接同社に交付された補助金だけで9,127万6,279円もの額に及ぶ(平成24年度実績))を大幅に増やせば、実質運賃の低下につながり、それなりに利用者は増えるだろう。
しかし、「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」(地方自治法第2条)という地方公共団体のあり方、費用便益・効率性から見た税金の使途としては、大いに疑問である。

なお、5年目の実績については、残り2か月を前年並みと見て、前年の僅か数千人増の46万人弱に留まりそうな状況である。

では以下、今月の実績を記す。
<平成26年3月の実績:対前年同月比>
路線:搭乗者数対前年同月比(H26.3/H25.3):搭乗率[H26.3;H25.3](赤文字は搭乗率が65%を下回っているもの)

札幌線:129.0%(8,043人/6,237人):[71.7%;79.4%]
福岡線:113.1%(10,954人/9,683人):[74.4%;66.3%]
沖縄線:115.2%(7,663人/6,653人):[70.2%;85.0%]
鹿児島線:86.0%(3,154人/3,668人):[71.9%;80.4%]
国内定期便計:113.6%(29,814人/26,241人):[72.3%;75.3%]

国内線チャーター便計:-%(498人/0人):[79.8%;-%]

国内線計:115.5%(30,312人/26,241人):[72.4%;75.3%]

ソウル線:56.8%(6,445人/11,339人):[55.7%;59.4%]
上海線:153.8%(1,906人/1,239人):[57.4%;41.5%]
台北線:155.7%(4,092人/2,920人):[80.9%;71.1%]
国際線定期便計:80.3%(12,443人/15,498人):[62.4%;59.2%]

国際線チャーター便計:15.5%(237人/1,527人):[100.0%;96.2%]

国際線計:74.5%(12,680人/17,025人):[62.8%;61.3%]

全路線計:99.4%(42,992人/43,226人):[69.3%;69.1%)]