「官の非効率に比べて民間は効率的」「民間活力を利用して」などと進められてきた民間への事業委託。
静岡空港も例外ではなく、開講前から空港赤字懸念の声に対し、県は民間事業者への運営委託で効率的運営、すなわち税金投入額の軽減が図られると説明してきた。
その上で「民間事業者」として祭り上げられたのが「富士山静岡空港株式会社」である。
空港ビルを税金支援で建設しさらにはやはり税金支援で増築し、その独占的ビルの賃料を県から得て収益を上げ黒字化している県の天下りが歴代社長を務めている会社だ。店子は県(税金)や航空会社(航空会社の賃料も税金補助)であるため、とりっぱぐれはなく、空港利用者数に左右されないため、県として見た空港経営が大赤字なのとは対照的なのである。
その会社の独占的利益の元である空港ビルにまつわる県民不在の利権構造が明らかになったので以下紹介する。
これは県発注の委託事業であり、業務内容は御覧のとおりパネルの掲出と保管である。
特定の事業者でなければ出来ない業務でないことは一目であるが、現実には、県はこれを特定の事業者でなければ契約できないとして業者の言い値で契約を行っているのである。
その額1,340,850円。地方自治法規定の競争原理が働けばこのような額にはならないだろうが、なぜ、こうなったのか。
そこには、「富士山静岡空港株式会社」の存在がある。
以下は、この契約を特定の一事業者と契約しなければならない理由が記された「随意契約執行伺」の冒頭2枚である。
「単独契約理由」を見てのとおり、
「富士山静岡空港旅客ターミナルビルは、富士山静岡空港(株)が所有・管理する建物であるが、その建物に掲出する広告・看板等の設置を含めた販売は、同社から(株)東急エージェンシーに全て委ねられている。」
「さらに、富士山静岡空港(株)の了解の下、広告看板やパネル等の広報媒体のスャ塔Tー間調整、デザイン、建物全体とのバランス調整等の実務については、(株)東急エージェンシーから(株)静鉄アド・パートナーズに任せられている。」
「そのため、(中略)当該事業者と締結するしかない。」と、競争原理排除の原因が、富士山静岡空港(株)と(株)東急エージェンシー、(株)静鉄アド・パートナーズら民間他業者による、行政が介入できない民間契約による利権構造にあることが、見て取れるのである。
そもそも、PFIなどの民間活用は民間事業者による運営手法が官治の方法よりも効率的・効果的であることが前提とされ、それゆえに税金負担の軽減が図られるはずの仕組みである。
しかし、現実はどうだろう。
富士山静岡空港(株)のように競争無く独占的な立場にある企業に公の施設を任せたとき。
企業情報だとして役員報酬はもちろん民民の契約実態も情報公開されず、ゆえに住民監視も働かず、ビル独占で競争も働かないところでは。
くだんのとおり、民間活用によって税金が効率的に使われるどころか、税金が効率的に企業に吸い上げられる構造が出来てしまうのである。
では、空港ビルを県が買い取ればこの構図が変わるのか。
残念ながら県は引き続き競争させずに富士山静岡空港(株)にビル管理を委託させるつもりである。
県の職員が引き続き天下るだけでなく、県出資の第三セクター会社にしたのもそのためである。
もちろん純粋に競争による民間委託とすれば良しかどうかは賛否あるところ。
TSUTAYAやスターバックスコーヒーに図書館運営を委託した武雄市をどうみるかは人それぞれの目的・期待するところにもよるだろう。
しかし、少なくとも、役人らによる利権構造のもとで県民に何ら果実無く税金が垂れ流されるを良しとする県民はおるまい。
良識ある県民は、これら事務を行っている役人はなぜこういうものに疑問をもたないのか、を疑問とするかもしれない。
しかし、行政がなぜ誰のために存在しているのか、組織として見失ってしまった以上、これは必然である。
政治も行政も、権力のあるところは容易に腐敗し、しかも不可逆(自己浄化に向かわない)である。
ゆえに、県民の不断の監視、そして行動だけが、これに抗しうるのみであることを我々は自覚すべきである。
<附記>
(株)静鉄アド・パートナーズに聞き覚えのある方もおられよう。
昨年住民監査請求を行った京極事件で、違法な事務処理や違法な再委託にも関わらず県や監査機関が擁護した企業である。また、富士山静岡空港(株)の筆頭株主である静岡鉄道(株)のグループ企業の一つである。
政・官・財の癒着という言葉が国レベルであるが、地方にも類似の癒着構造がある。共通して言えるのは、国民負担の上に、これら利権が存在しているということである。
静岡空港も例外ではなく、開講前から空港赤字懸念の声に対し、県は民間事業者への運営委託で効率的運営、すなわち税金投入額の軽減が図られると説明してきた。
その上で「民間事業者」として祭り上げられたのが「富士山静岡空港株式会社」である。
空港ビルを税金支援で建設しさらにはやはり税金支援で増築し、その独占的ビルの賃料を県から得て収益を上げ黒字化している県の天下りが歴代社長を務めている会社だ。店子は県(税金)や航空会社(航空会社の賃料も税金補助)であるため、とりっぱぐれはなく、空港利用者数に左右されないため、県として見た空港経営が大赤字なのとは対照的なのである。
その会社の独占的利益の元である空港ビルにまつわる県民不在の利権構造が明らかになったので以下紹介する。
これは県発注の委託事業であり、業務内容は御覧のとおりパネルの掲出と保管である。
特定の事業者でなければ出来ない業務でないことは一目であるが、現実には、県はこれを特定の事業者でなければ契約できないとして業者の言い値で契約を行っているのである。
その額1,340,850円。地方自治法規定の競争原理が働けばこのような額にはならないだろうが、なぜ、こうなったのか。
そこには、「富士山静岡空港株式会社」の存在がある。
以下は、この契約を特定の一事業者と契約しなければならない理由が記された「随意契約執行伺」の冒頭2枚である。
「単独契約理由」を見てのとおり、
「富士山静岡空港旅客ターミナルビルは、富士山静岡空港(株)が所有・管理する建物であるが、その建物に掲出する広告・看板等の設置を含めた販売は、同社から(株)東急エージェンシーに全て委ねられている。」
「さらに、富士山静岡空港(株)の了解の下、広告看板やパネル等の広報媒体のスャ塔Tー間調整、デザイン、建物全体とのバランス調整等の実務については、(株)東急エージェンシーから(株)静鉄アド・パートナーズに任せられている。」
「そのため、(中略)当該事業者と締結するしかない。」と、競争原理排除の原因が、富士山静岡空港(株)と(株)東急エージェンシー、(株)静鉄アド・パートナーズら民間他業者による、行政が介入できない民間契約による利権構造にあることが、見て取れるのである。
そもそも、PFIなどの民間活用は民間事業者による運営手法が官治の方法よりも効率的・効果的であることが前提とされ、それゆえに税金負担の軽減が図られるはずの仕組みである。
しかし、現実はどうだろう。
富士山静岡空港(株)のように競争無く独占的な立場にある企業に公の施設を任せたとき。
企業情報だとして役員報酬はもちろん民民の契約実態も情報公開されず、ゆえに住民監視も働かず、ビル独占で競争も働かないところでは。
くだんのとおり、民間活用によって税金が効率的に使われるどころか、税金が効率的に企業に吸い上げられる構造が出来てしまうのである。
では、空港ビルを県が買い取ればこの構図が変わるのか。
残念ながら県は引き続き競争させずに富士山静岡空港(株)にビル管理を委託させるつもりである。
県の職員が引き続き天下るだけでなく、県出資の第三セクター会社にしたのもそのためである。
もちろん純粋に競争による民間委託とすれば良しかどうかは賛否あるところ。
TSUTAYAやスターバックスコーヒーに図書館運営を委託した武雄市をどうみるかは人それぞれの目的・期待するところにもよるだろう。
しかし、少なくとも、役人らによる利権構造のもとで県民に何ら果実無く税金が垂れ流されるを良しとする県民はおるまい。
良識ある県民は、これら事務を行っている役人はなぜこういうものに疑問をもたないのか、を疑問とするかもしれない。
しかし、行政がなぜ誰のために存在しているのか、組織として見失ってしまった以上、これは必然である。
政治も行政も、権力のあるところは容易に腐敗し、しかも不可逆(自己浄化に向かわない)である。
ゆえに、県民の不断の監視、そして行動だけが、これに抗しうるのみであることを我々は自覚すべきである。
<附記>
(株)静鉄アド・パートナーズに聞き覚えのある方もおられよう。
昨年住民監査請求を行った京極事件で、違法な事務処理や違法な再委託にも関わらず県や監査機関が擁護した企業である。また、富士山静岡空港(株)の筆頭株主である静岡鉄道(株)のグループ企業の一つである。
政・官・財の癒着という言葉が国レベルであるが、地方にも類似の癒着構造がある。共通して言えるのは、国民負担の上に、これら利権が存在しているということである。