「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

平成25年度「隣接地域振興事業費助成」425,000,000円

2013-06-19 20:00:00 | 静岡空港
今夜は空港関係予算の中から、空港推進費の中の「隣接地域振興事業費助成」4億2500万円を紹介する。

この予算は全てが空港周辺の市町に対しての補助金である。

この補助金の必要性について、県は「空港建設に当たって、地元と「覚書」を締結し、「覚書」に基づき実施している事業であり、開港後5年(H26)まで実施することとなっている」として予算計上しているが、空港建設当時、このような覚書があったことを知っていた県民は皆無である。
また、県はこの事業について「市町計画に基づく進捗管理のため、空港の利用に資するものと考えられる」と論拠不明な自己評価をしているが、以下のとおり、とても空港利用の向上のためとは思えない事業が県の空港推進費(予算の目名)の中の補助金予算として計上されているのである。

(注:単位は千円

これらを見て、無駄ではないから良いという意見もあるだろう。
確かに、道路・橋など無いよりもあった方が良いというものもあるが、このあった方が良いというだけで今日、税金を使って直ちに行うことが正当化されるのであろうか。
これらは決して「ただ」ではない。いずれも相応の代償を払って行われる事業である。
今ここに暮らす者にとっては「ただ」かもしれない。しかし、後の世代が必ず代償を払う必要が生ずるものである。

まして、以前にも書いたが、今日の財政状況においては、あったら良いというものよりも、まずは必要のあるものを優先しなければならない。

さらに、空港推進を目的とした予算で直接関係のない事業を盛り込むなどということは、震災予算で直接関係のない事業を行っていた例と全く異なるところがない。

予測はずれの空港負担増で県財政が圧迫される中、空港の地元だけが空港建設に協力して県からご褒美がもらえたんだから使わなきゃ損とばかりのこのような税の使い方というのは、実に浅ましいの一言に尽きる。

<予算調書>
「隣接地域振興事業費助成」

平成25年度「空港定期便拡充促進事業費」179,700,000円

2013-06-18 21:30:00 | H25県予算評価
今夜は空港関係予算の中から「空港定期便拡充促進事業費」179,700,000円を紹介する。(なお、この予算も空港の収支計算、つまり赤字には算入されていない)

この予算の97%、1億7,970万円を占めるのがやはり補助金である。(他には昨夜に似て県職員の就航先企業訪問旅費など)

この補助金の必要性について、県は「他空港との競争の中、利用者数を拡大するには、当事業による県内の民間団体、行政機関等が一体となった取組が必要」として予算計上しているが、実質は昨夜紹介の予算同様、路線維持のための航空会社支援にほかならず、やはり、なぜこの金額でなければならないのかという根拠は一切不明である。

昨夜の補助金が県からの直接ルートなら、今夜紹介の補助金は富士山静岡空港利用促進協議会なる官製団体を通じての不透明な税金のばらまきなのである。


(注:一番上段に補助金が予算計上されている

この補助金の内訳であるが、別紙計上されており、補助金交付先の「富士山静岡空港利用促進協議会」の活動費として5,800万円。
同団体を通じての迂回補助として、旅行会社支援に1,500万円、チャーター便補助に5,160万円、修学旅行やビジネス利用の補助に3,380万円、販売座席数に応じた補助金に1,560万円、が積算根拠である。

直接補助にしないのは県の厳格な支出チェックを回避し、県の会計書類上から実態を見えなくするための役人の常とう手段であり、県に残る簡易な実績報告書類では個々の支出の実態が全く見えなくなるのである。(先日紹介の補助金事務の概説中の補助金内訳書で県職員が検査した書類が付いているから県民は信じろと言わんばかりの構図)
もちろんこれでは県議会でさえ実態把握できていない。
今般の選挙で多数を占める県議会会派が川勝県政を批判していたが、その前に自分たちがすべきこと、すなわち県に対するチェック機能を果たしてきたのかをまずもって問うべきであろう。
議会を通さずに役人による自由な事業がまかり通っている部局調整費の無チェック放置もしかりである。

昨夜と合わせ、二つのばらまき予算だけで、すでに5億円を超えている。
開港前に石川嘉延は「グランシップは8億円くらいの持ち出し(県の予算で埋めている)となっている。空港は着陸料が丸々入ってこないとしても、今の想定では5億円強で、グランシップの赤字に比べはるかに少ない」とうそぶいた。
維持管理費を5億円と見込んでのことだが、こういったばらまき補助金も県の持ち出し以外の何物でもない。
いまさらだまされたといっても取り返しがつかないのである。
高い授業料を我々県民は払った。
二度と過ち無きよう、真実を見る目を養いたいものである。


<予算調書>
「空港定期便拡充促進事業費」

平成25年度「空港競争力強化事業費」373,000,000円

2013-06-17 20:15:00 | H25県予算評価
再開第1弾は空港関係予算の中から「空港競争力強化事業費」373,000,000円を紹介する。(なお、この予算は空港の収支計算、つまり赤字には算入されていない)

この予算の95%、3億5,567万1千円を占めるのが航空会社への支援を目的とした補助金である。(他には県職員の航空会社訪問旅費など)

この補助金の必要性について、県は「他空港との競争の中、より利便性の高い空港を実現するには、航空会社に対する運航経費支援や積極的な働きかけを行い、路線便数の維持・拡大を図ることが必要」として予算計上しているが、実質は路線維持のための損失補てんであり、しかも、なぜこの金額でなければならないのかという根拠は一切示されていない。
すなわち、増やすも減らすも行政のさじ加減次第というに等しいばらまき予算である。

先日来全国ニュースを騒がしている鹿児島県の県職員千人を上海に研修派遣する予算案であるが、その額は1億1,800万円。
目的は中国東方航空の鹿児島¥繩C線を維持するためであり、実質、本県の空港競争力強化事業費と変わるものではない。
しかも鹿児島では非難の声が上がる中、当初予定していたパスメ[ト申請費用の県費負担をやめたり、県民枠を設けたりしたにもかかわらず、いまだ理解の声は少ないようだ。

このことを比較すると不思議な錯覚に至る。
一方(静岡県)はお金を直接的に航空会社に与えるのみで非難が上がらず、もう一方(鹿児島県)は航空会社支援に加え研修という目的を付加し、かつ額も少ないにもかかわらず非難を受ける。
一方(静岡県)は職員のパスメ[ト負担に非難が上がらず継続を誇示、もう一方(鹿児島県)はマスコミの取り上げられたばかりに非難を受け負担を回避する。

これが今日の現実であり、現実とは如何に不条理であるかを示す事実でもある。

もう一つ。
安倍政権で打ち出された成長戦略第3弾の「10年間で1人当たり国民総所得(GNI)を150万円増やす」という目標であるが、あたかも国民の平均年収を150万円増やすかのように流布され批判を浴びているが、一方で本県では「県民所得が3位」であることが県民の平均年収であるかのごとく報道されても一向に問題にされない(※このブログ内を県民所得で検索されたい)。

とても同じ国の中のこととは思えない現実であるが、一級の専門家を含め様々な目で監視されこれを検証できる全国報道と少数の記者個人に依存し批判能力・検証能力を欠く地方報道の差がこれら不条理を放置している一因であることは疑いない。

批判のないところに緊張感は生まれず、このぬるま湯の中で県の役人が何をなすかは絶対権力が絶対的に腐敗するがごとく必然といってよい。

ゆえに、もし我々がここで暮らす人々の未来に責任を持とうと思うならば、我々自身が想像力と検証力を持たねばならない、行政監視を怠ってはならない、声を抑えてはならない、諦めてはならない、のである。


<予算調書>
「空港競争力強化事業費」

川勝再選、そして活動再開

2013-06-16 21:58:00 | 近況活動報告
知事選も終わったことから実質的活動を再開します。
その前に今回の知事選についてですが、副知事3人制をノーと言った際には自民県連も昔と変わったのかと期待したところもあったのですが、出してきた候補は・・・、残念です。
職場で昼のニュースで知事選の報道があった時にもダブルスコアと予想を公言しましたが、二人羽織の羽織の陰からあの石川嘉延が見え、最後には羽織を脱ぎ捨て表に出てきたときにはトリプルスコアもありかと思ったほど自民県連の県民意識とのかい離が顕著な選挙だったのではないでしょうか。
そして選挙モードに入ってからは書けませんでしたが、川勝を100点満点で評価すれば50点。
これまでにここで取り上げたマイナス点は多いものの、たとえば空港近くへのコンベンションセンター建設のストップ、東静岡駅のスタジアム建設のストップ、沼津の高架化での強制収用の否定、そして実施時期の認識の相違はあるものの原発住民投票への一定の評価など、しがらみのないものにしかできないことを行った点はやはり評価すべきところでしょう。また、非常勤の行政委員の報酬の日額化も知事の決断だったというのも個人的には大きな評価点です。
しかし、県政運営を全体としてみれば、まだまだ闇の中。
今後もしっかりその闇に光を当てよりよき未来に向けた活動をしていきたいと思います。

さて、その活動再開の手始めとして先月末に知事も議会もコントロールできない役人の自由なお財布というべき「部局長調整費」に関する公文書開示請求を行ったので、その開示の状況を報告します。

部分開示が多いですが、これらは契約相手方の担当者氏名であるとか印影であるといったものが非開示とされているもので問題となるような非開示はありませんでした。
非開示対象部分の記述や理由も明確で、以前と比べて進歩が見られたことは幾たびか異議申し立てを行ったことが無駄でなかったといえ、今後も厳しくチェックしていきたいと思います。
また、期間延長がいくつかあるためこれらの決定が出た後、書類の閲覧をすることになるのでこれに関する報告ができるのはまだ先になりますが、明日からは空港関連予算の紹介を再開したいと思います。

静岡空港利用者の推移(開港4年目最終月)~4年目は45万人、需要予測の約3割、開港1年目の約7割~

2013-06-10 21:20:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で4か年を比較したグラフです。

以下、開港4年目の最終月となる5月実績に基づき傾向を概観する。
<傾向等>
開港からはや4年間を経過した静岡空港。
1年目の実績は県が空港建設の根拠とした需要予測138万人を大きく下回る63万人。
これをごまかすかし県民の幻想を持続させようと県が吹聴したのが航空の自由化の波に乗って過去別の空港で開港から大きく伸びた事例を引き合いに出しての「年々増加の幻想」。
しかし、2年目には51万人と下降、3年目には震災の影響で43万人の底を打ち、4年目こそはV字回復かという中で結果は45万人と微増に留まり幻想は早くも現実によって打ち消された。

ここで民間企業ならば方針転換もあってしかるべき、少なくとも再精査があるべきところであるが、税金という政治家や県に役人らにとっては痛くもかゆくもない、むしろ2代連続で県職員OB(国なら禁止されている関連企業への天下り)が社長となって天下った富士山静岡空港株式会社を初めとする利権に資するとばかり、梼Y企業が陥る失敗事業への追い銭に似て、ターミナルビル増築などという規模拡大に走り始めたのが静岡県である。
しかも、今回は費用対効果の検証も省き、一時期流行の行政経営という理念もかなぐり捨て、昔ながらのお役所仕事路線に回帰してしまったのである。

さて、ここでこの4年目の最終月を飾った5月実績から個別路線の状況を見てみよう。

国内線は、前年同月比で減少したのは鹿児島線のみ。
福岡線と沖縄線にあっては30%以上の増となって、ピークの初年の同月と比較してもほぼ同じレベルとなっている。
ただし、沖縄線は5月としては最高の旅客数となって、一見すると順風満帆のように見えるが、搭乗率は機材の大型化が災いして49.0%と5月としては過去最低となっており、経営的には厳しくなっている。
このことから、沖縄線の路線需要はこのレベルで均衡点を迎えたとみられる。福岡線にあっても初年の壁を越えられずにいることからやはり初年の実績が限界とみられる。
なお、鹿児島線は昨年同月とほぼ同様の利用者数と搭乗率(しかも8割近い)であり、初年の約半分で均衡を得た状況である。
路線の増が見込めない中、トータルで見て国内路線が初年の壁を超えることは困難であり、県が目標としている年間70万人(この数字には費用便益上の根拠等はない)に国内路線が貢献するとは考えにくい状況である。

では国際線はどうかというと、
台北線が利用者数にして対前年同月比124.6%、搭乗率は下がったとはいえ69.8%と高率を維持し好調に見える。増便の効果であるが、便を増やせば旅客はいくらか増えても搭乗率が下がるという今回の傾向から、限界は近いと見込まれる。
一方、上海線は対前年同月比44.7%、搭乗率にあっては30.9%、利用者が917人しかおらず、県の税金投入がなければ撤退は確実な路線である。
運行時間を変更して臨んだソウル線にあっては、大きく時間を変えた大韓航空が搭乗率を前年同月に比べ20ャCント近くも下げ、1.5ャCントしか下げなかったアシアナとの差は大きく開いた。
このままなら大韓は撤退も考えられるところだ。

鹿児島県では上海便の不振を受け、県職員1000人を研修名目で上海線利用させる予算が県議会に上程され議論を呼んでいる。
かつては、本県においても3776人の上海訪中をぶち上げたが、これは県職員だけでなく一般県民の自費訪中や羽田からの県職員訪中も含んでの計算であり、鹿児島の手法は常軌を逸している。

「必要があるもの」と「あったらいいもの」の区別もつかなくなっているのであろう。
限られた財源の中で何を成し何を成さずにおくか、政治家や役人よりも一般県民の方がよく分かっている。

では、以下に今月の実績を記す。
<平成25年4月の実績:対前年同月比>
路線:搭乗者数対前年同月比(H25.5/H24.5):搭乗率[H25.5;H24.5]

札幌線:107.9%(6,189人/5,737人):[45.5%;57.7%]
福岡線:130.7%(9,631人/7,369人):[69.1%;78.8%]
沖縄線:132.3%(5,313人/4,016人):[49.0%;54.6%]
鹿児島線:91.5%(1,547人/1,690人):[79.4%;78.3%]
国内定期便計:120.6%(22,680人/18,812人):[56.2%;65.4%]

国内線チャーター便計:0.0%(0人/139人):[-%;92.7%]

国内線計:119.7%(22,680人/18,951人):[56.2%;65.5%]

ソウル線:93.2%(9,787人/10,503人):[47.4%;58.0%]
上海線:44.7%(917人/2,050人):[30.9%;48.3%]
台北線:124.6%(3,970人/3,186人):[69.8%;72.0%]
国際線定期便計:93.2%(14,674人/15,739人):[50.1%;58.8%]

国際線チャーター便計:62.9%(611人/972人):[96.7%;56.5%]

国際線計:91.5%(15,285人/16,711人):[51.1%;58.7%]

全路線計:106.5%(37,965人/35,662人):[54.0%;62.1%)]