静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移
(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で6か年を比較したグラフです。
以下、開港6年目の5か月目となる10月実績に基づき傾向を概観する。
<傾向等>
開港から6年目の10月実績は、ここ5か月の傾向から大きな変化が見られない。依然として過去6年間で3位というャWションが続いている。
利用者数は前年同月よりは伸びたものの、開港以来の10月の最高(52,625人+上海推計1,600人)の壁は厚い。
特に既存の定期路線の伸びがなく、7つの全ての路線で過去ベストの実績を越えられず仕舞いであった。
これをカバーしたのがチャーター便、とりわけ6月から運行の天津航空(1便100万円補助)のチャーター便であるが、これのみでは県が当面の目標としている年間70万人を達成することはもちろん、過去最高だった初年の63万人さえ越えられない。
近隣の空港は訪日外国人が過去最高を記録する中で活況を呈しており、過去の記録を更新しているのとは対照的である。
既存路線で旅客が近隣空港に流れる中、利用者流出に歯止めをかけるには税金投入(補助金ばら撒き)しか打つ手がない様相である。
<経済波及効果追記>
さきごろ県は県による広報費や航空会社や旅行会社などへの補助金等の税金支出を含まない施設維持管理費約7億円のみでの空港収支を発表したが、このような計算でさえも赤字(5億1,800万円)であった。
このような収支は、今年度の税金投入額が40億円を超える実態とは大きくかけ離れた、まさに「粉飾」である。
また、この赤字の言い訳として県は赤字事業にお得意の経済波及効果を持ち出し「県内経済への貢献と合わせて考える必要がある」などと述べたそうだが、詭弁である。
空港の経済波及効果はその多くが虚構であるからだ。
また、その後公開された公文書(4年目の結果解説のみで積算根拠としては不十分で再現不可能なもの)から、さらに虚構の経済効果があることが判明している。
これは、4年目の県内消費総額の3割以上が航空運賃で占められている、言い換えれば経済波及効果の約3割が航空運賃によるものであるということである。
経済効果の元となる県内消費額の構成は、国内アウトバウンド、国内インバウンド、国際線日本人利用者、国際線海外利用者がそれぞれ2割の構成となっていたが、このうち国内線のアウトバウンド(県内から県外へ行く旅客)においては県内消費額の6割を航空運賃が占めていた。
また、海外の航空会社による航空運賃も例外でなく、上海便による入国者の消費額の27%相当が航空運賃であった。
これらは、消費額の地域配分について「航空運賃は出発地で計上する原則から、往路の静岡出発便(静岡県)に50%、復路は・・・」などと実態を無視した設定をしているためである。
そもそも、海外の航空会社に支払われた航空運賃が県内消費額になるだけでなく、その額が企業の余剰利益として県内の税収効果に反映されるなど、どう考えてもおかしい根拠に基づいていたのである。
また、この航空運賃にこの代理店手数料を加えると、実に県内消費額の約4割弱の経済効果を占めるものとなるのである。
さらに、アンケートで把握した実際の消費額とは別に、旅行者の消費額に「旅行前後消費支出額」なるものを計上している。
これは、旅行に行く前には旅行用のカバンや衣類電化製品を購入し美容室にも行くだろうという前提のもとに、例えば海外旅行では旅行前に1人20,229円消費し、さらに旅行後には写真の現像・プリント、衣類のクリーニングなどで1人1,504円消費するなどと仮定して経済効果を計算していたのである。
少なくとも旅行前の消費額くらいはアンケートで把握すればできたであろうが、これをしなかったのも虚構の数字からの目減りを防止する意図があったものと考えざるを得ない。
このようなもので空港の必要性を強弁されても、多額の税金を旅行者にばらまくような行為を正当化することはできるはずがない。
県の言い分は、まさに虚構による詭弁なのである。
県が開港4年間での県内経済波及効果を859.7億円としたことに、県民の実感がないなどと各報道で叩かれたのも無理からぬ計算実態だったのである。
<10月実績>
定期路線ごとに見た過去6年間の10月実績のみで比較した順位と比率は以下のとおり。
札幌線8,970人 2位/過去6年(1位の平成21年11,242人に対して79.8%)
福岡線9,921人 2位/過去6年(1位の平成21年14,373人に対して69.0%)
鹿児島線1,810人 4位/過去6年(1位の平成23年2,753に対して65.7%)
沖縄線6,098人 2位/過去6年(1位の平成25年6,182人に対して98.6%)
ソウル線4,786人 6位/過去6年(1位の平成22年16,216人に対して29.5%)
上海線3,918人 2位/過去5年(1位の平成22年3,961人に対して98.9%)
台湾線3,732人 2位/過去3年(1位の平成25年3,940人に対して94.7%)
また、上記路線以外のチャーター便を含む総利用者は46,660人で過去6年間で第3位、ピークの平成21年(52,625人+上海推計1,600人)に比べて86%であった。
国内線と国際線の過去6年間の推移を見ると、
国内線、国際線ともに底打ちは見られるが2年目以降総じて横這いである。
国内線の内訳を見ると、
札幌、福岡の両路線は初年度の壁が遠く、沖縄線も頭打ち、鹿児島線は低迷状態にある。
国際線にあっては、
上海線が緩やかな伸びのトレンドを示す中、ソウル便が激減するのと対照的に補助金優遇のチャーター便が急な伸びを見せていることが分かる。
<追記>
なお、搭乗率等の個別実績等は、県が今月からマスコミ以外の一般県民には公表をやめたことから掲載しないこととした。
今後は年度末等にまとめて全月の実績とその根拠資料を以前行ったのと同様に公文書開示請求を行いその際にここで公表等行う予定である。
(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で6か年を比較したグラフです。
以下、開港6年目の5か月目となる10月実績に基づき傾向を概観する。
<傾向等>
開港から6年目の10月実績は、ここ5か月の傾向から大きな変化が見られない。依然として過去6年間で3位というャWションが続いている。
利用者数は前年同月よりは伸びたものの、開港以来の10月の最高(52,625人+上海推計1,600人)の壁は厚い。
特に既存の定期路線の伸びがなく、7つの全ての路線で過去ベストの実績を越えられず仕舞いであった。
これをカバーしたのがチャーター便、とりわけ6月から運行の天津航空(1便100万円補助)のチャーター便であるが、これのみでは県が当面の目標としている年間70万人を達成することはもちろん、過去最高だった初年の63万人さえ越えられない。
近隣の空港は訪日外国人が過去最高を記録する中で活況を呈しており、過去の記録を更新しているのとは対照的である。
既存路線で旅客が近隣空港に流れる中、利用者流出に歯止めをかけるには税金投入(補助金ばら撒き)しか打つ手がない様相である。
<経済波及効果追記>
さきごろ県は県による広報費や航空会社や旅行会社などへの補助金等の税金支出を含まない施設維持管理費約7億円のみでの空港収支を発表したが、このような計算でさえも赤字(5億1,800万円)であった。
このような収支は、今年度の税金投入額が40億円を超える実態とは大きくかけ離れた、まさに「粉飾」である。
また、この赤字の言い訳として県は赤字事業にお得意の経済波及効果を持ち出し「県内経済への貢献と合わせて考える必要がある」などと述べたそうだが、詭弁である。
空港の経済波及効果はその多くが虚構であるからだ。
また、その後公開された公文書(4年目の結果解説のみで積算根拠としては不十分で再現不可能なもの)から、さらに虚構の経済効果があることが判明している。
これは、4年目の県内消費総額の3割以上が航空運賃で占められている、言い換えれば経済波及効果の約3割が航空運賃によるものであるということである。
経済効果の元となる県内消費額の構成は、国内アウトバウンド、国内インバウンド、国際線日本人利用者、国際線海外利用者がそれぞれ2割の構成となっていたが、このうち国内線のアウトバウンド(県内から県外へ行く旅客)においては県内消費額の6割を航空運賃が占めていた。
また、海外の航空会社による航空運賃も例外でなく、上海便による入国者の消費額の27%相当が航空運賃であった。
これらは、消費額の地域配分について「航空運賃は出発地で計上する原則から、往路の静岡出発便(静岡県)に50%、復路は・・・」などと実態を無視した設定をしているためである。
そもそも、海外の航空会社に支払われた航空運賃が県内消費額になるだけでなく、その額が企業の余剰利益として県内の税収効果に反映されるなど、どう考えてもおかしい根拠に基づいていたのである。
また、この航空運賃にこの代理店手数料を加えると、実に県内消費額の約4割弱の経済効果を占めるものとなるのである。
さらに、アンケートで把握した実際の消費額とは別に、旅行者の消費額に「旅行前後消費支出額」なるものを計上している。
これは、旅行に行く前には旅行用のカバンや衣類電化製品を購入し美容室にも行くだろうという前提のもとに、例えば海外旅行では旅行前に1人20,229円消費し、さらに旅行後には写真の現像・プリント、衣類のクリーニングなどで1人1,504円消費するなどと仮定して経済効果を計算していたのである。
少なくとも旅行前の消費額くらいはアンケートで把握すればできたであろうが、これをしなかったのも虚構の数字からの目減りを防止する意図があったものと考えざるを得ない。
このようなもので空港の必要性を強弁されても、多額の税金を旅行者にばらまくような行為を正当化することはできるはずがない。
県の言い分は、まさに虚構による詭弁なのである。
県が開港4年間での県内経済波及効果を859.7億円としたことに、県民の実感がないなどと各報道で叩かれたのも無理からぬ計算実態だったのである。
<10月実績>
定期路線ごとに見た過去6年間の10月実績のみで比較した順位と比率は以下のとおり。
札幌線8,970人 2位/過去6年(1位の平成21年11,242人に対して79.8%)
福岡線9,921人 2位/過去6年(1位の平成21年14,373人に対して69.0%)
鹿児島線1,810人 4位/過去6年(1位の平成23年2,753に対して65.7%)
沖縄線6,098人 2位/過去6年(1位の平成25年6,182人に対して98.6%)
ソウル線4,786人 6位/過去6年(1位の平成22年16,216人に対して29.5%)
上海線3,918人 2位/過去5年(1位の平成22年3,961人に対して98.9%)
台湾線3,732人 2位/過去3年(1位の平成25年3,940人に対して94.7%)
また、上記路線以外のチャーター便を含む総利用者は46,660人で過去6年間で第3位、ピークの平成21年(52,625人+上海推計1,600人)に比べて86%であった。
国内線と国際線の過去6年間の推移を見ると、
国内線、国際線ともに底打ちは見られるが2年目以降総じて横這いである。
国内線の内訳を見ると、
札幌、福岡の両路線は初年度の壁が遠く、沖縄線も頭打ち、鹿児島線は低迷状態にある。
国際線にあっては、
上海線が緩やかな伸びのトレンドを示す中、ソウル便が激減するのと対照的に補助金優遇のチャーター便が急な伸びを見せていることが分かる。
<追記>
なお、搭乗率等の個別実績等は、県が今月からマスコミ以外の一般県民には公表をやめたことから掲載しないこととした。
今後は年度末等にまとめて全月の実績とその根拠資料を以前行ったのと同様に公文書開示請求を行いその際にここで公表等行う予定である。