「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

静岡空港利用者の推移(開港6年目8か月)~前年同月に比べ9,922人増も、歴代2位どまり~

2015-02-12 20:34:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で6か年を比較したグラフです。
以下、開港6年目の8か月目となる1月実績に基づき傾向等を概観する。

<傾向>
開港から6年目の1月実績は、先月同様歴代2位であった。
前年同月に比べ利用者数は行き帰りをそれぞれ1人と計算した利用者数で述べ9,922人増加(1人が往復を利用したとすれば1日当たり160人実利用者増加に相当)した。
先月同様に国内線にあってはFDAの福岡便と鹿児島便の2路線が1月としては過去最高となり、低迷した札幌便を補う形で、行き帰り合わせて歴代2位の2万3,839人の利用者数となった。
一方、国際線にあっては、全国的に増加が著しい訪日中国人が静岡空港においても利用者数を押し上げ、ソウル便の減少分を補い、1月としては過去最高の行き帰り合わせて2万1,290人の利用者数となった。
とはいえ、依然として、県が目標とする70万人達成に当たってまず越えなければならない開港初年度の壁(46,046人+上海推計1,600人)は、またしても超えられなかった。
<動向>
最近の動向として、3月29日から寧波に週2便の新規路線が敷かれることが決まった。
また、同じく3月29日から上海便が昨年の夏に続き再びデイリー運行となることも決まった。
ただし、平成24年度か以降、新規就航・増便の着陸料については運行開始から1年間全額免除、すなわちタダにすると条例改正で特例を定め運用しており、県の収入の増加には結びつかない一方で、定期便向けのターミナルビル使用料の補助金は交付されることとなり、この増便が真に定着するかは1年後を見なければわからないものとなっている。食い逃げのようなことが起こらないよう願いたい。
また、他空港からの訪日外国人の来県者も着実に増えており、静岡空港利用者に税金投入を特化するよりも他空港からの訪日外国人の来県者も取り込んだ形の消費喚起策に税金を投入した方が効率的とみられるだけに、このままでは地域間競争に遅れをとりかねない懸念がある。

以下、1月実績である。
<1月実績>
定期路線ごとに見た過去6年間の1月実績のみで比較した順位と比率は以下のとおり。
札幌線5,261人   3位/過去6年(1位の平成22年7,235人に対して72.7%
福岡線9,389人  1位/過去6年(2位の平成22年8,422人に対して113.3%
鹿児島線3,097人  1位/過去6年(2位の平成26年2,569に対して120.6%
沖縄線5,913人   3位/過去6年(1位の平成26年6,348人に対して93.1%
ソウル線4,094人 6位/過去6年(1位の平成22年18,026人に対して22.7%
上海線2,763人   1位/過去5年(2位の平成26年1,605人に対して172.1%
台湾線3,493人   1位/過去3年(2位の平成26年2,646人に対して132.0%
また、上記路線以外のチャーター便及び1月から定期便化した天津便を含む総利用者は45,129人で過去6年間で第2位、ピークの平成22年(46,046人+上海推計1,600人)に比べて94.7%であった。

国内線と国際線の過去6年間の推移を見ると、

国際線の伸びが復調を牽引していることが顕著である。

国内線の内訳を見ると、

福岡線が初年度の壁を突破し、利用者数の増加に貢献していることがわかるが、一方で搭乗率が60.3%であり、採算的には補助金なしでは自立できていない路線である。

国際線にあっては、

ソウル便の激減と既存の路線の伸び悩む中にあって、これを補う形で、優遇補助金や着陸料免除に支えられた新規路線・チャーター便が増加している。

以上

平成27年度静岡県当初予算案等について

2015-02-11 21:57:00 | H27県予算評価
県は2月10日に平成27年度当初予算案の概要を公表した。
三重県などの情報公開先進県においては予算編成過程の情報だけでなく知事査定の映像まで公開されており、具体的に予算がどのように執行されるのかもわかるようになっているのに比べると、静岡県の予算の密室査定は戦後民主主義において欠落した参加型民主主義を欠き衰退しつつある欠陥自治体の姿を象徴するものである。
今日は、平成27年度当初予算案についてコメントするとともに、同日発表された平成26年度2月補正予算案についてもコメントしたい。

<平成27年度静岡県当初予算案について>
まずはじめに、県債残高の推移を見てみよう。

未だに増え続けていることがよくわかる。
しかも、昨年の当初予算時に見込んだ平成27年度末の県債残高見込みを今回の見込みでは130億円上回る2兆7,467億円となっているのである。ずさんというより、その場しのぎの粉飾がまかり通っている現実が見てとれよう。

知事が今回の予算を「攻めの予算」と表現したように、予算規模は以下のとおり大きく伸びているのが特徴であるが、事業に新味はない。小手先の手法いじりはあっても、県民が新たな未来を感じられる事業は皆無である。

このため、本日の新聞各紙で紙面を割いて解説されているが、特徴がないだけに各紙見出し小見出しがバラバラである。
その中で、今回の予算の外観を見る上で、一番わかりやすいのが毎回恒例の読売新聞の「サラリーマン家庭に換算」しての解説だ。県の予算案の歳入歳出を1か月の収入支出がそれぞれ月50万円の「ヘイタさん一家」にたとえての解説である。
これによると、月給(県税)は前年より2万円増えて19万円となったが、親からの仕送り(地方交付税など)などが減り、医療介護にかかる支出などが増えたため、趣味に使うお金(自由に使えるお金)を増やせず「なかなか楽にはならないなあ」とぼやく姿が描かれている。新たな預金引き出しと借金を毎月9.7万円しながら、毎月7.4万円返すという苦境もよく分かる。
また、知事部局内に総合教育局を設置し予算をつけるなど教育に介入したくて仕方ない知事は「よい人材が作り上げられていくメカニズムを作っていく」などと述べたそうであるが、これに対して毎日新聞の「教育制度は株式会社化」というコラムが鋭い指摘をしていた。学テ騒動に関連した教育行政の一連の動きを見て、「上意下逹になじみ、ノルマをこなし、短期で効率よく利益を上げる人間を育てるだけが全てではない」というのはそのとおりであり、今の県行政にも通じる問題提起である。

<平成26年2月補正予算について>
新年度予算の陰に隠れてあまり取り上げられていないが、今回の補正予算は「ばらまき」ぶりが顕著なものとなっている。
もとより、この予算の原資は国の交付金であり、アベノミクスの景気刺激策・消費拡大策の一環、地域振興券に変わるバラマキ事業であるが、かつての地域振興券とは異なり、具体的用法は地域ごとに創意工夫が可能なものとなっているのが特徴である。
この国の総額2500億円に及ぶ地域消費喚起・生活支援型の地域住民生活等緊急支援交付金については、静岡県への割り当て額は25億11百万円であるが、これをどのように使うのかが地方自治体の能力の見せ所となるのである。
静岡県はというと、この予算25億11百万円全額を、地域消費喚起型事業費として、以下の用途に使うという。
・通販サイト等で、ふじのくに名産品を割引販売
・ウェブキャンペーンやツアーを利用した県内宿泊者に対する料金割引
・県内宿泊と体験メニューのセットプラン利用者に対する料金割引
静岡空港利用の訪日客向けがメインターゲットであることが見え見えである。
まさに、コラムの指摘どおり。空港の利用者数を増やすというノルマのため、短期で効率よく増やせる補助金バラマキをして成果を上げるが、地域消費を喚起しこれを持続させるという事業の本質を見失った一過性の観光宿泊費用割引に偏った使い方で終わるのが見て取れるのである。
これでは、他県との地域間競争に勝てないだろう。

<公文書開示請求>
最後に、不十分な予算情報公開のため事業の詳細が県民にはブラックボックス化している現状が変わらないため、毎年のこととなってしまっているが、以下の事業について、本日、公文書開示請求を行ったので以下公表する。

・・公文書開示請求内容・・
平成26年度2月補正予算案及び平成27年度県当初予算案中の以下の事業予算に係る予算調書類(予算編成要領の「様式編」及び「その他様式編」に規定の文書(附表含む)並びにそのほかに予算査定に用いた文書のすべて)


<平成26年度2月補正予算案>
地域消費喚起型事業費(マーケティング推進課ほか)2,511,000千円
観光誘客関連事業費(観光政策課・観光振興課)15,400千円
ふじのくにブランド販路開拓支援事業費(マーケティング推進課)4,000千円
ミラノ国際博覧会参加事業費(経済産業部政策監)40,000千円
県内企業海外展開支援関連事業費(企業立地推進課)5,000千円
地方創生推進事業費(企画課)300,000千円
<平成27年度当初予算案>
空港運営・周辺地域振興関連事業費(空港政策課・空港運営課)1,528,800千円

空港利用促進関連事業費 (空港政策課・空港利用促進課)805,200千円
魅力ある観光地づくり推進事業費(観光政策課・観光振興課)47,300千円

観光誘客関連事業費(観光政策課・観光振興課)252,000千円
ふじのくにブランド販路開拓支援事業費(マーケティング推進課)40,000千円

県内企業海外展開支援関連事業費(企業立地推進課)67,900千円
富士山静岡空港新幹線新駅関連調査事業費(交通基盤部政策監)20,000千円
大規模な広域防災拠点整備事業費(危機政策課)210,000千円
海外外交展開事業費(地域外交課)81,600千円
海外駐在員事務所運営費 (地域外交課)229,900千円
青少年の国際交流推進事業費(教育政策課)14,400千円
市町振興助成事業貸付金<特別会計>(自治財政課)貸付枠5億円
沼津駅周辺総合整備事業費(街路整備課)374,500千円
広報関連事業費(広報課)355,100千円
「富士山」後世への継承推進事業費(富士山世界遺産課)234,200千円
富士山環境保全推進事業費(自然保護課)23,000千円
美術館運営事業費(文化政策課)465,984千円
グランシップ管理運営事業費(文化政策課)927,000千円
プラサヴェルデ管理運営事業費(交流推進課)104,389千円
舞台件p振興関連事業費 (文化政策課)307,680千円