王子様が恋に落ちた。

また、海に来てしまった。
波を力強くかき分けて沖の休憩台まで連れて行ってくれるホストたちは、高校生の息子と同じ世代。

産まれた時から泳いでいると笑う。金槌の私から見たらずいぶん眩しい。

海の中ではひっくり返ってぶちあって、じゃれ出したらとまらない。男の子ってどうしてこうなの！？となかば呆れる。でも、やっぱりそんなのも眩しい。


でも
この男の子たちは、
浜に座ってる女の子の事はどう扱ったらいいかわからないらしい。

眼差しが優しい。

そっと、お昼のきゅうりを渡す。

優しい歌を歌って寄り添う。

どんな話をしたらいいかわからない。ただ隣に座る。
とっておきの紅茶を淹れてくれる。


そんなのをリアルに見てしまったオバサンの私には、
優しくて眩しくて、セツナイ。

最後は現代っ子らしくメールアドレスの交換。

優しく見てくれた眼差しに気づかないフリして友達リストに追加、なのかな。

王子様。まだまだ夏休みはこれからだよ。

また、女の子を連れて海に通うからね。

いまだ目をつぶっても、キラキラ輝く残像が胸をつかむ。