そして放課後
伊藤さんとふたりきりの教室
自分ごとでないからラクっちゃあ楽です
「伊藤さん、呼び出してゴメンねー」
「うん、大丈夫だよ。そうそう、この前の学園祭、朴くん、ジョンレノン上手かったよー。」
「あ、ありがとう。ジョンレノン好きなんだ?」
「うん、ポールも好きだけどね。今度、レコード貸してよ。」
などと話をなかなか本題に持ち込めないハイスクール朴竜
まあ、別にどうだっていいけど
高田君のことだし
教室の外ではクラスメートが息を殺してそば耳を傾けている気配が手に取るように分かります
「で、話ってなに?」
「えーっとさあ〜」
「なに?なに?」
「えーっと、う〜ん」
廊下から、言っちゃえ、言っちゃえ気配がビンビン伝わってきます
「えーっと、た、高田のことどう思う?」
「え?」
「高田がさあ、伊藤さんのことが好きなんだと。で、付き合って欲しいんだと。」
「え?」
と言ったきり伊藤さん固まっちゃいましたよ
伊藤さん、勘違いしていたことを表情に出さない気丈さで
「高田君ね〜 全くタイプじゃないし、全然興味もないし。話したこともないし。だから付き合うなんてあり得ない!そんなこと頼む方もおかしいし、引き受けるのもおかしいよ!」
と私に怒ったようにキッパリ!はい、その通りでございます。反省してます
あ〜
哀れ高田君よ。教室外でもがっかり。
「分かった、じゃあ、高田にはそう伝えておくね。ゴメン!」と頭を下げるハイスクール朴竜
何故、オレが〜?
まあ、自分ごとじゃないんで、落ち込まないわけですが、高田君にはなんて伝えようかなあと校舎を出たとこで、小太り赤ら顔の高田君が待ち構えていました
「ねぇねぇ、朴ちゃん、どうだった?オーケーって行ってくれたかな? まあ、大丈夫だと思うけどさあ〜」
この根拠のない自信はどこから湧いてくるのか不思議
「高田さあ、伊藤さん、高田君はタイプじゃないし、だいたい大事なことを他人に任せる人は好きじゃないとオレまで怒られたよ。まあ、伊藤さんが正しいよ。ってことだから諦めた方がいいんじゃない?」
と、話を聞いていた途中から赤ら顔が憤怒からか黒く変化していくのが分かりました
「朴ちゃん、ちゃんと伝えてくれたんだよね?ちゃんと伝えてくれたんだよね?ちゃんと伝えてくれたんだよね?ちゃんと伝えてくれたんだよね?ちゃんと伝えてくれたんだよね?ちゃんと伝えてくれたんだよね?ちゃんと伝えてくれたんだよね?ちゃんと伝えてくれたんだよね?ちゃんと伝えてくれたんだよね?俺の悪口言ってないよね?俺の悪口言ってないよね?俺の悪口言ってないよね?俺の悪口」
段々と怖くなってきました。
「任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった任せなきゃよかった」
「朴に変に言われた朴に変に言われた朴に変に言われた朴に変に言われた朴に変に言われた朴に変に言われた朴に変に言われた朴に変に言われた朴に変に言われた朴に変に言われた朴に変に言われた朴に変に言われた」
と高田君、完全にイッテしまいました
高田君はその後、3年のクラス替えまで一度も口を利いてくれませんでした
伊藤さん、本当にゴメンねー
写真は本編とは全く関係ないのですが、ラーメン食べたくなりましたので