1) インドの第二波に関するNatureの記事
2) インドで新しい変異株(B.1.618)出現
3) 和歌山県調査:変異株は若年者で肺炎発症率高い
4) 緊急事態宣言で大阪駅前の人通りが激減
5) 緊急事態宣言前日の東京は人出増加
6) 政府が自治体とは別に運営する大規模接種会場を開設
7) 沖縄:「不要不急の救急受診を控える」よう協力要請
8) 4月15日時点で国内検出変異株の95.5%はイギリス変異株
9) インドの感染拡大に隣国パキスタンが医療支援の申し出
10) タイも感染者増加中で規制強化
11) アメリカ:65歳以上の67.1%が2回接種接種完了
<インドの第二波について>
「第二波に比べたら第一波など浴槽のさざ波程度に過ぎなかったのだと思える」
(P D Hinduja病院 Zarir Udwadia氏)
「第二波は予測していた。
しかしまさかこれほどのものになるとは、夢にも思わなかった」
(Ashoka大学 Shahid Jameel氏)
<インドは深刻な医療用酸素不足>
「何とかして下さい、
酸素を供給して下さい」
(新型コロナ患者の親族)
<パキスタンがインドに医療支援の申し出>
「インドの人たちとの連帯を表明する。
共に地球規模の課題と闘わなければならない」
(パキスタン カーン首相)
「恐ろしい新型コロナウイルスの流行の真っただ中にあるインドの人たちに心よりお見舞い申し上げる。
私たちは、インド政府と緊密に連携し、インド国民と医療従事者への追加支援を迅速に展開していく」
(米国 ブリンケン国務長官)
●インドの第二波に関するNatureの記事
→集団免疫を獲得したと思われたインドで、
予想を超える規模の第二波が起こっています。
その理由として、以下を挙げています。
・抗体検査の母集団の偏り
・第一波を乗り切った油断による特に都市部富裕層への感染拡大
・第二波前に多く行われていた大規模集会
・ワクチンキャンペーン開始による誤った安心感、ワクチン接種時に診療所で起こる感染
変異株の影響を主張する声もあるようです。
実際に一部の州ではイギリス変異株、あるいはインド変異株B.1.617が主流になっているところもあるようです。
India’s massive COVID surge puzzles scientists
https://t.co/LD5ssZuwIv?amp=1
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・パンデミックは科学者たちが眩暈を覚えるほどの速度(staggered scientists)で、インド全土に拡大している。
・感染爆発は3月の初旬に始まった。政府は4月18日の全国の感染者数は273,810人と発表した。インドの感染者数増加に伴い、世界の感染者数も最近1週間で1日あたり854,855人をとなり、1月の各種記録のほぼすべてを塗り替えてしまった。
・ほんの数か月前のデリーやチェンナイなどの都市における抗体検査のデータでは、すでに多くの人が既感染である事を示していたのだ。そのため、一部の研究者は、この国のパンデミックは最悪期を脱しただろうと結論づけていた。
・現在、インドの研究者らは、この空前の大流行の原因を突き止めようとしている。それはいくつかの不幸な要因が重なった結果かもしれない。感染力の強い変異株の出現、社会的交流が制限なしに行われるようになったこと、そしてワクチン接種率の低さなどである。
・インドにおける流行は1日の新規感染者が10万人に達したあと、昨年9月下旬以降は減少し始めていた。しかし今年の3月になって再び増加し始め、現在のピークは第一波の2倍に達している。
・「第二波に比べたら第一波など浴槽のさざ波程度に過ぎなかったのだと思える」とP D Hinduja Hospital & Medical Research CentreのZarir Udwadia氏はNatureの取材に答えた。彼は病床や治療薬の供給が不足した病院の、「悪夢」のような状況を語った。
・Ashoka UniversityのShahid Jameel氏も今回の流行の激しさには驚いていると述べた。「第二波は予測していた。しかしまさかこれほどのものになるとは、夢にも思わなかった」。
・昨年12月と今年1月に実した抗体検査では、インドの大都市圏では人口の50%以上が陽性であった。研究を主導した国立疫学研究所のManoj Murhekar氏は、「これによりある程度の免疫を保有しているはずだ」と述べた。
Princeton大学のRamanan Laxminarayan氏によると、この結果を受けて「次のパンデミックはそれほど深刻ではないだろう」という楽観的な見方をする研究者もいたという。しかし、今回の大流行は彼らに再考を迫っているのだ。
・理由の一つは第一波が主として都市部の貧困層を襲った点があるかもしれない。抗体検査が全人口を代表するものになっておらず、他のグループの曝露を過大評価してしまったものである可能性がある。
Gagandeep Kang氏は、抗体検査データはウイルスの不均等な広がりを反映できていないと指摘している。「ウイルスが第一波で入り込めなかった集団にもぐりこんだ可能性があります」、「第一波では社会的距離を保っていたより裕福な都市部のコミュニティが、第二波に巻き込まれているのかもしれません」。
・研究者の一部は、流行の速度と規模の大きさから、新たなは原因があるはずだと指摘している。それは変異株である。Udwadia氏は第一波では家族の一人だけが陽性だった事が多かったのと異なり、いまでは家族全員が感染するようになったと述べている。これは感染力の強い変異株なのだろうと考えている。
「家族の誰かが感染していれば、その家族全員が感染していると断言できる」と彼は述べた。
・ゲノムサーベイランスによると、インドのパンジャブ州ではイギリス変異株B.1.1.7が主流になっている。マハラシュトラ州では、昨年末にインドで発見されたB.1.617変異株が主流となっている。B.1.617は感染力増強と免疫逃避変異に関連する2つの変異を含んでいる。
インドの研究室では、B.1.617を培養し、増殖速度やワクチン接種者血清が感染阻止効果を持つかを調べているところである。
・インドの状況は、昨年末にブラジルのマナウス市で感染力の強いP.1変異株が再流行し、拡散していった状況と似ている。しかし、既存のデータではそのようの主張をするには十分ではないという主張もある。
Glasgow大学のDavid Robertson氏は「患者数に比べて入手可能な配列データが少ないため、結論を出すにはまだ慎重であるべきだ」と述べている
・昨年9月をピークに感染者数が減少したことで、「インドはCOVID-19に打ち勝ったという世論があった」とLaxminarayan氏は述べている。
「最近数か月で、政治集会や宗教的お祝い、結婚式など、屋内外で大勢の人が集まっていた。1月にワクチン接種キャンペーンが開始された事も、人々がそれによって油断し感染対策がおろそかになったとしたら、感染者急増の原因に関与したかもしれない」、「ワクチンの到着はみんなを安心させたのです」。
・現在、1.2憶回以上の接種が行われているが、インド製アストラゼネカワクチンである「Covishield」である。接種率はまだ10%にも達していない。診療所の待合では、ワクチン希望者と体調不良者が一緒にいるため、「ワクチン接種時に感染した人たちもいるかもしれない」とUdwadia氏は述べている。
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●インドで新しい変異株(B.1.618)出現
→2か所のアミノ酸欠失(H146del and Y145del)とE484K変異を持つ株(B.1.618)が見つかったようです。
報道では三重変異株と呼ばれているものです。
二重変異株とも呼ばれている、インド変異株B.1.617はE484Q /L452R変異。
West Bengal州では、B.1.617とB.1.618の両者が増加していると。
ただしこの記事でも、インド全体では感染の主体は従来株であり、変異株の中ではイギリス変異株の増加が主体のようです。
4月15日までの13,614検体の解析で、変異株は1,189検体。
うち1,109検体はイギリス変異株だったと。
'Triple mutant' coronavirus variant discovered in India? What it means
https://t.co/52UM1VKxEy?amp=1
●日本の状況
→東京都の推移
東京都 新型コロナ 635人感染
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210425/k10012996631000.html
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都内で新たに635人が新型コロナウイルスに感染していることを確認
都の基準で集計した25日時点の重症の患者は、24日より1人減って50人
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本日の全国の感染数・推移
大阪1050人、兵庫473人、福岡334人、愛知225人、神奈川221人、埼玉211人、
京都150人、千葉146人、北海道110人、
奈良90人、茨城76人、沖縄66人、岡山65人、大分63人、熊本59人、徳島44人、岐阜40人、群馬38人、三重36人、新潟32人、広島32人、宮城31人、
4月25日 新たに確認された感染者数
https://t.co/90gSdETBQF?amp=1
→和歌山県調査:変異株は若年者で肺炎発症率高い
3月14日からの1か月の感染者で変異株スクリーニングを実施したのは363人で、205人がイギリス変異株、158人が従来株に感染。
これに接触者など関連陽性者で従来株感染と推定される49人を合わせた207人を従来株感染者として解析。
感染者のうち肺炎を発症した割合は、全体では従来株と変異株で差なし。
しかし、20-40代で解析すると22.6%(14/62) vs 43.3%(42/97)で変異株が高かったと。
変異株感染の20~40代肺炎発症 従来株の倍近く 和歌山県調査
https://t.co/N7QPY9FcDM?amp=1
・和歌山県は感染者全員入院を現在も堅持しているので、肺炎発症率のデータの信頼性も高いと思われます。
ホテル療養はこれまで全く行っていないようです。
入院隔離の継続については増床を行い「感染者を抑え込むのに全員入院は必要なので、できるだけ堅持したい」と。
感染制圧の強い意思を感じます。
「変異株、想像絶する」 和歌山知事、外出自粛要請を全県民に拡大
https://t.co/qvp7Nujdp3?amp=1
→緊急事態宣言で大阪駅前の人通りが激減
経済的犠牲を伴うにも関わらず、多くの人が社会に協力的に行動し、このレベルの人流減少が達成できてしまう事に驚きます。
イギリス変異株であっても、日本では封じ込められるのだという事を証明できるか?
さて、これが有効であっても、これだけでは最終的に前回と同じ展開になるのは目に見えています。
+αの新たな対策をもう同時に開始すべきです。
休業・時短で人通りまばら 関西圏の街に変化
https://news.goo.ne.jp/article/fnn/nation/fnn-174452.html
→一方で、その前日土曜日の都内は人でごった返していたという報道。
その結果は1週間以内に、都内の感染者数という形で受け取る事になります。
緊急事態宣言という状況を、国民、都民が本当の意味で理解しているというわけではないのでしょう。
それでも・・・です。
なんとか感染を制圧しなければいけません。
マスク着用がほとんど遵守されず、デモすら起こるイギリスで、ジョンソン首相が感染制圧に成功しているようにです。
日本の政治家の力量が、今度こそ問われていると思います。
https://asahi.com/articles/ASP4S71RTP4RUTIL01Y.html
→政府が自治体とは別に運営する大規模接種会場を開設
東京、大阪に設置し、1日1万人規模の接種を想定。
医療従事者は資格を持つ自衛隊員の活用も検討すると。
国、ワクチン会場運営へ 1万人規模、東京・大阪
https://t.co/Db8IxJahZD?amp=1
→沖縄の状況
すでに一般医療の一部制限対応を行っている医療機関あり。
県は「不要不急の救急受診を控える」よう協力要請。
「不急の救急受診控えて」 コロナで医療逼迫、沖縄県が呼び掛け
https://t.co/kWZXcrzVta?amp=1
→日本の変異株検出状況
4月15日時点でゲノム解析により変異株と判明したのは380例
うち入院医療機関が判明したのは112例
このうち調査協力が得られた110例のまとめです。
95.5%(105例)はイギリス変異株で、各年代から分離されています。
全例が入院例なので、若年者も重症化する可能性を示唆しているように見えます。
新型コロナウイルス感染症(新規変異株)の積極的疫学調査(第1報)
https://niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2488-idsc/iasr-news/10320-496p01.html