記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

パスカル・ロジェ監督「トールマン」

2015-03-15 12:20:13 | タ行
ものすごく意見が割れそうな映画。


パスカル・ロジェ監督「トールマン」
いえ借りた理由が「そういえばメガテンにそんな名前の大佐がいたな…」と思ったからだなんて口が割けても言えません。

旦那を失って娘と息子を養いつつ超さびれた村の看護師として働く女性が息子を謎の存在(=トールマン)に誘拐されてさて謎を解いて息子奪還しちゃうぞー!って映画だと思ったら違った。
それにしても昨日観た「スキンウォーカーズ」に続いて癖っ毛の息子とアクションもバリバリやっちゃうお母さんの映画か…と思ったら違った。
途中から展開が展開だったから「ふえっ!?」ってなった。


すみませんこの映画ネタバレしないとあと感想が続かないです…
結論から言うと、この主人公のお母さんが誘拐犯だったんです。そしてトールマンは死んだはずの旦那。要は、二人一緒に誘拐をしてたんですけど、その理由ってのが「学校も何もないこのさびれた町で、ただ不幸な子供だけが増えていく→子供がもっと幸せに生活できる環境を…→それなら都会の金持ちに頼めばいいじゃない!」ってことで子供を誘拐して、養子として出していくわけ。
この町ってのがとっくに閉山してしまった元炭鉱の町で、教育も医療設備も娯楽も整ってない状態でそりゃ楽しみと言ったら酒と博打とセックスになるでしょうよ。で、望まれない子供とかそんなんが増えていく…と。
「その悪循環を断ちたいのよ!」ってのが極端な話この主人公と旦那の言い分。もうね、信念が強すぎて目がいっちゃってるレベル。

どうなんだろうね、実際。虐待されたり、放置されたりで亡くなっていくよりは、無理矢理にでも助け出したほうがもっと幸せな道があるのかもしれないって考えると、この人たちのやってたことが絶対に悪いこととは言えないだろうし。
でももちろん誘拐って犯罪ですからね。しかも約20人弱。この活動(組織)を守るために、「幼子を20人近く殺害した猟奇殺人鬼」の汚名をかぶってこの女性はこの先牢獄で生きていくわけですよ。

途中まで割とゾクゾクする。町の人気者で皆から頼りにされている看護師の息子がいなくなったってのに町の人たちすっごく余所余所しいっていうか、なんていうか。これ町全体がグルで子供隠してんじゃないの?って思ってたら真逆(女性が誘拐犯だと薄々感づいてた状態)だったわけでそりゃ余所余所しくもなるわ。
「ウェイク・ウッド」的な「町に何か秘密があってそれを隠そうとしてるけど隠しきれてない」感はちょっと面白い。
子供たちの将来を考えると、いい話、なんじゃないかな。

蛇足…?
最初のシーンで出産してた女の子、最初の感じだと「得体の知れない男にいろいろ教え込まれて挙句妊娠させられちゃったフンガー」ってお母さん怒ってたけど、ラストシーンでなんだかうまくいってるっぽくて笑った。いやいい話だよ。

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