私は
新聞記者であった。
が
辞めた。
生来の気性の激しさと独行気質は
自由奔放なジャーナリスト、文筆家が合っていた。
明治以降
日本は
殖産興業の名の下に
工場を作り
都市は田舎の人々を吸収して
巨大化した。
私は
その文明の行き方に
疑義を呈し
奴隷文明の真実を暴く決心をして
日本中を取材し
書に著した。
関東の山あい。
大きな繊維工場。
「あんた何いっとらんけよ」
突然
若い娘さんのような女性従業員の
富山弁とおぼしき会話が耳に入った。
私は
「あんたはんら、どっから来られたがけ?」
と尋ねた。
「富山県やちゃ」
「おらも富山やぜ!」
若い従業員らは
富山県から集団で就職したらしい。
この工場で
朝から晩まで働き
いったい幸せなのだろうか。
結局
その富は経営者の懐に入り
あの若々しい娘さん達は
健康を害して
苦悩の人生を歩むのではないか。
私は
住職さんがいない
空き寺を転々とした。
私は貧乏であった。
しかし
日本の下層社会の現実を克明に取材した。
寺の本堂から
光り輝く
大きな丸い月が見えた。
高橋作
新聞記者であった。
が
辞めた。
生来の気性の激しさと独行気質は
自由奔放なジャーナリスト、文筆家が合っていた。
明治以降
日本は
殖産興業の名の下に
工場を作り
都市は田舎の人々を吸収して
巨大化した。
私は
その文明の行き方に
疑義を呈し
奴隷文明の真実を暴く決心をして
日本中を取材し
書に著した。
関東の山あい。
大きな繊維工場。
「あんた何いっとらんけよ」
突然
若い娘さんのような女性従業員の
富山弁とおぼしき会話が耳に入った。
私は
「あんたはんら、どっから来られたがけ?」
と尋ねた。
「富山県やちゃ」
「おらも富山やぜ!」
若い従業員らは
富山県から集団で就職したらしい。
この工場で
朝から晩まで働き
いったい幸せなのだろうか。
結局
その富は経営者の懐に入り
あの若々しい娘さん達は
健康を害して
苦悩の人生を歩むのではないか。
私は
住職さんがいない
空き寺を転々とした。
私は貧乏であった。
しかし
日本の下層社会の現実を克明に取材した。
寺の本堂から
光り輝く
大きな丸い月が見えた。
高橋作