在職中、会社で保有する沢山の測定器は自社の専門部署の人やメーカーから技術者
が来て校正をしていた。機械の修理をするのに波形測定したり電気の数値を測定する
のに狂いがあると用を為さないからだ。故障した測定器でトラブルシュートを始めると所
謂、ドツボにはまり幾ら考えても真の答えには到達しない。
事の発端は昨日の昼に測定した温度240℃、9時から130℃も上昇し以後も途轍もない数
値を叩き出してきた。温度と同時に煙の状況も参考にするが、今回はどうもそれが一致し
ていないように思われた。昨日は上昇を抑え込む形で一晩越した。今朝は257℃ともう籠
める支度をする温度、過去のデータや経験からすれば納得はいかないが窯のお告げは
私たちが思っていることと違う。仕方なしに籠める準備を始めると10時で300℃まで上が
った。普通ならこの辺りだと煙突の煙は透明になっているはずが白っぽい。その内、煙
は炭木に火が回りモクモクと出てくる状態になり、とても籠めるような段取りになりそうもな
い。しかし12時には326℃になり何が何でも籠めるしか選択の余地はない状況。13時に
は炭小屋内部に充満するほどの煙が勢いよく吐き出され、窯の中には未だ燃焼すべきも
のが沢山残されていることを証明している。
最近使用してなかった500度計(使用可能だと思われるが最近使用していなかった)が目
に入り、それで測定した所、220℃を示す。この温度なら今の状態と合うし3晩越しルール
に従うこともできる。
昨日の12時から丸1日、私たちは不可能を可能にしようと闘っていたようだ。この間、バタ
バタとあちこち動き回り、連絡の取りあいで無駄な忙しさに翻弄される。何よりも摩訶不思
議な現象が今流行りのフェイクだったことで胸の痞(つか)えもとれやっとすっきりした。
午後から220℃を正しいものとして5日目の炭焼きを続行。最初の予定通り明日に窯籠め
の予定。
午前中の様子
温度が300℃(偽温度)くらいの時の煙
17時の様子