宋斤の俳句「早春」昭和十八年十一月 第三十六巻五号 近詠 俳句
近詠
出來稲の風なり日なり面うつ
さわやかに寄合畠朝の聲
秋晴れの窗時となく機を迎ふ
野菊咲くむかし神崎の白拍子
遠くにも家前秋耕見ゆるかな
草風つけて見舞に來てくれし
秋大日武庫山すでに一の暮れ
増産のひびきかすかに蟲の夜
鵙の聲窗にはまりし野のせまく
菊の花このをごそかさ必必勝
秋の雲みだりに散らず人とゆく
山路見る蔓なり鉢に紅葉しぬ
秋日南筆硯われをそゝるなる
病み居れば友にも甘へ秋燈下
病めば土のむやみに戀し薯の土
秋の蚊の窗を浮き出て遠山て
秋の人空地の草をしごき出し
霽るゝ雨朝のぬけゆく秋ざくら
だれかはひとり憩ひ居る石草秋の
子規忌、友善忌
十月三日 於 河内道明寺
ことづける不参の一句子規忌かな
友善忌故友に告ぐる戰の句
六橋觀對座吟 宋斤と布丈
舳蹴つて待宵草に膝つきぬ
待宵艸川底ひろく水寢ねて 布丈
六橋觀偶會 宋斤、松堂、妙女
夏大雨晴れて目高を涼しうす
夏の雨眺めて玻璃の蝿とあり 松堂
夏の雨たゝかれそよぐ蔓のもの
▽宋斤は 書痙を専念に治療のため去る十月六日尼崎市潮江病院に入院。
近詠
出來稲の風なり日なり面うつ
さわやかに寄合畠朝の聲
秋晴れの窗時となく機を迎ふ
野菊咲くむかし神崎の白拍子
遠くにも家前秋耕見ゆるかな
草風つけて見舞に來てくれし
秋大日武庫山すでに一の暮れ
増産のひびきかすかに蟲の夜
鵙の聲窗にはまりし野のせまく
菊の花このをごそかさ必必勝
秋の雲みだりに散らず人とゆく
山路見る蔓なり鉢に紅葉しぬ
秋日南筆硯われをそゝるなる
病み居れば友にも甘へ秋燈下
病めば土のむやみに戀し薯の土
秋の蚊の窗を浮き出て遠山て
秋の人空地の草をしごき出し
霽るゝ雨朝のぬけゆく秋ざくら
だれかはひとり憩ひ居る石草秋の
子規忌、友善忌
十月三日 於 河内道明寺
ことづける不参の一句子規忌かな
友善忌故友に告ぐる戰の句
六橋觀對座吟 宋斤と布丈
舳蹴つて待宵草に膝つきぬ
待宵艸川底ひろく水寢ねて 布丈
六橋觀偶會 宋斤、松堂、妙女
夏大雨晴れて目高を涼しうす
夏の雨眺めて玻璃の蝿とあり 松堂
夏の雨たゝかれそよぐ蔓のもの
▽宋斤は 書痙を専念に治療のため去る十月六日尼崎市潮江病院に入院。