早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句 「早春」昭和三年三月 第五巻三号

2020-10-23 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句 「早春」昭和三年三月 第五巻三号

  近詠

ものみながうまるゝ土よ春たてり

山川に曇のひろがり春の月

萌草のすゑに遠山燈りぬ

町ひろく春のある日のかすれ雨

陽を惜しみ立てば木の芽にうつるいろ

厨に来る春の霞のまめまめし

野に立ちて袖に沁むなる春の雨

おぼろ夜の人棲まぬ島人ふまぬ沙

ちらばらに枯木は若し春嵐

艪の塩に東風の光の見ゆるかな

 早春社本會二月句會 露の天神社

梅の春小さき水に雲走る

日の雪の川の空なる揚雲雀

草萌にまぎれて聲の小鳥かな

 早春社中央句會 船場光西寺

つもる雲云うてすぎけり火の廻り

橋上の月に夜番がしばらくす

あざやかにみだるゝかげや冬木立

 北摂早春社七支社 総合俳句大会  山下大昌寺

往くほどの水にうつりつ冬の山

日がさしてわけなく親し落葉山

 乾丘會俳句會 天王寺新世界軍人会館

古草のながき綴りて日のつらゝ

寒椿後兼架の窓に谷深く

あららぎに大寒の日のちりばめり

 早春社上町倶楽部例會

人のあと艸あけかかるとんど哉

冬風の少し崩れて千鳥かな

左義長汀の氷ふむもあり

そこばくの水に冬木のさくら哉

福壽艸みな咲きあれて松すぎぬ

 旦青會 神戸

冬凪や石のまわりの薄氷

稚松の冬風いけば山の腹