早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句 「早春」昭和三年八月 第六巻二号 近詠・俳句

2021-01-10 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句 「早春」昭和三年八月 第六巻二号 近詠・俳句

近詠

大徳寺塔中へ行く梅雨の傘

  真珠庵にて
天雲や沙羅想樹の咲きゆるゝ

  王梅庵にて
談するに竹に風して寺涼し

  猪名川鮎とり
水底や澄めるがあわれ網の鮎

蚊火に立ち夜毎の声を五位鷺としる

玉ほどく芭蕉や風の星近く

蟻さとし蓬がさやぎ雨の来る

汐のいろ鱚の日ぐれとなりにけり

夏の霧散じて蕗の埃かな

  五月雨吟座 六月二十五日 於池燈房
山藤NI日の風ありて滴れり

川音に葎茂りて空もなし

梅雨穴を傍へに眺め簟

かわせみにあしまの出水渦たちて

 早春社七月早春社本句会
山鳥ひびきて雨の青簾

青簾たれて水擦る蓮の中

蝉鳴いて一夏の盛り湖の町

蝉涼し海のみどりに心やる

蝉とんで何にも鳴かず山の晝

早春社中央句會
月の波透き透き㡡の風にあり   

  早春社池田例會
簾さす日に綾なしつ釣りしのぶ

  早春社神戸例會
池の橋渡るはなれや水馬

  早春社尼崎例會
夕立の打つに噴水戦えり

  大峡氏追悼例會
夏草の旺ンなりしが寒さかな

松杉のくるゝはやさを蚊喰鳥

  朔宵會
へらへらとおはぐろ水に蛭游ぐ

朝曇りぶどうの虫の地に飛びて

  打出句會
誘蛾燈山のあるかに空の闇

遠き燈を雨振りかくし竹酔日