早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十八年八月 第三十六巻二号 近詠 俳句

2023-11-09 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十八年八月 第三十六巻二号 近詠 俳句

    近詠
大柳風巻き入りて季夏のあり

友來たるみな日焼けたる親しけれ

空中戦熾烈を思ふ雲の峰

日盛りを配給の拍子木打って來る

優雲華に隅々迷信打破を説く

舊盧樹ありてこの玉蟲を得たるなり

蚊姥のそのかげさらに春ける

毎日暑きアンテナたるみ眼の空に

眠り草夜はまことに深寝かな

一つ葉の干からび一葉一葉抜く

足場の根蔵あい風に三尺寝

  六橋観句座 
   洛艸さん 如雨露さんと膝つきあわせたしんみりした句座
梅疎なり塀ゆくほどに谷あがり

春雪や堂後の笹の拓きかけ

春寒や野蒜そよぐが日をもてり

春寒し川中川に映る山

空降りて眉に來りぬ春の雪

降りやみし雨にて草の古座哉

古草に小さき鳥居を植えしかな