早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句 「早春」昭和四年三月 第七巻三号 近詠 俳句

2021-04-21 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句 「早春」昭和四年三月 第七巻三号 近詠 俳句

機村や春は空から山端月

春あさく散る木の葉あり鳥飛べり

砂くぼに貯むる蛤小はまぐり

地にひくくそそる根深に春の雨

たかだかと干衣を掲げて東風を見る

くちびるに冷たき葉なる椿もち

子雀の親へ枝とぶ桑の中


   早春社二月本句會
春さむく道なきのはら枯れつつじ

部屋のすみもの煮る火あり春寒し

   早春社中央句會
星の中星はろかあり冬の凪

氷柱日に鳥さまざまに飛びにけり

ささかにも妻木にたるる氷柱かな

   早春社神戸例會
冬枯れや行雲海にひろがりつ

釣舟の出て行く空や凪

   早春社上町倶楽部例會
春水や旅中燈を見て町に入る

   早春社白鴎例會
春近しかまどほこりを野に拂う

猫柳の生けこぼれたる春近し

   







宋斤の俳句 「早春」昭和四年二月 第七巻二号 近詠 俳句

2021-04-21 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句 「早春」昭和四年二月 第七巻二号 近詠


晴天の鳶や雪映ゆ湖岬

初虹のたつや比良山雪の上

蓬々の一徑梅に遠きかな

町を出て星にぎやかや春近く

野のしづか氷雨が傘を打つばかり

夢踏むや見る水鳥はうごかずに

如月の濱小やしろの鈴をふる

夕べ踏む我家のどかの木の實哉

  早春社正月句會
初鶏の高きに鳴きて海の闇

初鶏やはるかに山の燈のそよぎ

  早春社上町倶楽部例會
茶の花につのる野山のくもり哉

谷浅き日南を飛べり冬の蝶

  早春社東例會
水鳥に振りなつみたる時雨哉

水鳥を道の木の間に暁けそめる

  早春社白鴎會例會
夜の空のぬくさ山茶花咲きにけり





宋斤の俳句 「早春」昭和四年一月 第七巻一号 俳句

2021-04-21 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句 「早春」昭和四年一月 第七巻一号 俳句

   早春社東句會総會
水に垂れて散る柳とも見えねども

朝寒の艸にきこえて水や往く

   早春社神戸例會
菊さして小春に居るや窓の下

庭小春ぬかご拾えばかぎりなし

   早春社大鐘例會
芋畑の交々のかげ小春かな

船に見て小春の空の晝の月

   早春社上町倶楽部例會
穭田や池の朝々あめの降る

穭田や夕ひろがる山の霧

   早春社尼崎例會
道に出て燈に染む肩や秋深し

松透きて時雨の千鳥舞にけり