そういえば。。。
東大の構内を歩きながら、
20年位前に指導していたシュン君(仮名)のことを思い出しました。
シュン君は、長男が幼稚園に入る前に通っていた
幼児クラブで出会った男の子です。
いわゆる年少さんのある日のこと、
シュン君が その教室で「思い出のアルバム」を片手で弾いていました。
上手にキチンと弾いていたので、お母様に
「シュン君、ピアノが上手ですね。
どれくらい習っているのですか?」と尋ねました。
4歳になるかならないかの年齢にしては、素晴らしい
と思ったのです。
するとお母様は意外にも
「ピアノは習っていないのですよ。」と仰いました。
「まあ習っていないのに、あんなに弾けるなんて、素晴らしいですね。
すぐに習わせた方がいいですよ。」
とお伝えしました。
そんな経緯があり、シュン君は私の教室でピアノを習い始めました。
シュン君は、群を抜いて飲み込みが早く、あっと言う間にメキメキと上達して、
小学校1年生の頃には、バッハのインヴェンションが弾けるようになりました。
しかも、私が1回お手本を弾き、
次に、シュン君に片手ずつ1回弾かせ、
試しに両手で弾かせてみると、その場で弾けてしまうのです
一般的に、バッハの曲は初見が難しいと思うのですが、
小1のシュン君にとっては、簡単なことのようでした。
その頃シュン君は、暗算にも凝っていて、
6桁位の足し算や引き算は、暗算で簡単に出来ました。
算盤を習ってもいないのに、です。
そういえば5歳の頃には、世界の国旗も全て暗記していました。
とにかく、何でも出来て、何でもすぐに覚えてしまうので、
シュン君のレッスンは、
私にとって楽しみで有り緊張の時間でもあり。。。
といった感じでした。
そんなシュン君は、小1の3月に、アメリカに引っ越してしまいました。
お父様が、海外勤務になったのです。
確か、中学生の頃まで、アメリカに住んでいたと思います。
その後日本に戻ったシュン君は、
県下一の進学校に入り、東京大学に現役で合格したと伺いました。
【栴檀は双葉より芳し】そんな言葉を彷彿とさせるシュン君のことを、
五月祭の構内を歩きながら、思い出したのでした。