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えりもの街は 人生100年の自転車旅

2015-10-01 13:30:28 | 自転車でコスモスの島へ

 

 様似町を過ぎ、アポイ岳の裾を襟裳岬へと向かうにつれ、海はますます荒れてきました。

 

 

 海は白く泡立ち、波の頂きから水しぶきが飛び散ります。

 

 悪天候でもないのに、これ程までに荒れ狂う海を見るのは初めてかもしれません。

 

 

 

 私は目の前に乱舞する波の躍動感に魅せられて、気が付くと護岸に身を寄せ、カメラのシャッターを幾度も押し続けていました。

 

 青い空と白い雲、

 

 

 蒼い海と白い波。

 

 

 こんな光景に没頭できるのは、自由な自転車旅であればこその醍醐味です。

 

 えりも町へ向かう国道336はやがて、見事な防潮トンネルを潜りました。

 

 

 

 その途中で、自転車から眺める海は、美術館の絵でも見ているような、夢と現の狭間へと紛れ込んだかのような、不思議な感覚の世界を見せてくれました。

 

 

 えりも町に入ったのは14時を過ぎていました。

 

 正面から吹き付ける風は相変わらずでしたが、今日中に襟裳岬を巡り、岬と広尾町の中間辺りまでは行けるだろうと思っていました。

 

 

 

 えりもの街は、独特の哀愁を感じさせます。

 

 私はイギリス最北の地、ジョン・オグローツを訪ねたときのウイックの街を想い出していました。

 

 えりも町とウイック、何れの街も不思議な静けさに包まれていました。

 

 岬の先の灯台守の家族が、肩寄せ合って、吹き荒れる潮風の中で息を潜めて暮らしているような雰囲気が街に漂います。

 

 

 えりもの街を抜けて襟裳岬へ向かう途中で、北緯42°線を北から南へと越えました。

 

 

 東の空には虹が掛かっていました。

 

 

 しかし、この辺りから雨が降り始めたのです。

 

 襟裳岬の方角は、本降りを思わせる、水分が大気に混じり合った空の色を見せていました。

 

 

 襟裳岬へと続く道に人影は全く見えません。

 

 

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アポイ岳 人生100年の自転車旅

2015-10-01 00:34:37 | 自転車でコスモスの島へ

 

 天空に陽が昇りきる前に浦河の街が見えてきました。

 

 道路脇に、いかにも北海道らしい看板、「熊出没 不法投棄ゴミは熊が寄りつく原因になります」が見えます

 

 

 海岸沿いの道を進むと、勇壮な波が磯に打ち寄せてます。

 

 外海に面した海のことだけはあるなと感心したのですが、この時関東では、台風18号の豪雨で鬼怒川が決壊したことを、私は全く知りませんでした。

 

 

 浦河を過ぎた辺りから、東の風が強まり、南東へ進む自転車の進行を妨げます。

 

 被っていた帽子を、ザックに収めざるを得なくなってきました。

 

 

 

 陽は天空の頂きに昇り、日高幌別では、歩道脇の幅1mほどの植栽スペースで、コスモスが秋の明るい陽射しを受けていました。

 

 澄み渡る空の青さに、薄紅色のコスモスが本当に良く似合います。

 

 

 街を抜け、日高幌別川を渡りました。

 

 アイヌ語で「ホロ」は「大きい」、「ベツ」は「川」の意ですから、幌別川は大きな川という意味です。

 

 水量の多い、清らかな川の上流部では、イワナやヤマメなどが群れ泳ぐ姿が見れるはずです。

 

 

 

 苫小牧からはしり来た国道235号は浦河町で終わり、そこから先の日高幌別へは国道236号線に入ります。

 

 国道236号線は日高幌別から左折して日高山脈を越え、十勝の広尾町を経て帯広市へと伸びてゆきます。

 

 日高幌別から先の海岸線に続く国道336号線は、様似町、えりも町、広尾町を経て釧路市へ至ります。

 

 自転車は国道336号線に入り、目の前に様似の親子岩らしき岩礁が見えてきました。

 

 

 海に迫り出る岩山のトンネルを抜けると正面に、海に向かってなだらかに落ち込む尾根が見えました。

 

 

 その尾根の頂きがアポイ岳です。

 

 アポイ岳は標高810mの低山ですが、山を構成する「かんらん岩」は地下のマントルが上昇したものです。

 

 アポイ岳はその特異な土壌と、夏は海霧に覆われる冷涼な気象条件、プレート活動による造山活動後に一度も海面下に潜ることがなかったことから、貴重な固有植物種が数多く見られます。

 

 アポイ岳の植物群落は国の特別天然記念物に指定され、花の百名山に名を連ねます。

 

 4時間もあればピークまで往復できるので、登ろうか、とも思いましたが、花の季節ではないし、既に二度も登っていますので、無理をせずに、次の機会を待つことにしました。

 

 

 

 そしてアポイ岳は、私が旅を終える直前の2015年9月19日に世界ジオパークに認定されました。

 

 

 

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