標高900mの標示が見えてきました。
自転車で十勝三股を出発してから約1時間後のことですが、時計のない私は経過した時間を認識していませんでした。
しかし、足に感じる疲労感は少なく、これは行けるぞと思えました。
目の前に見える稜線がどんどん低くなっています。
なるべく、坂の先は見ないようにしていました。
路側帯を進み、そこに描かれた舗装のひび割れ模様を目に拾い、無駄のない脚運びだけを考えながら登ってゆきます。
十勝三股を出た後、上り斜面だけが続く道を、ギア比を一番軽くして、ペダルをこぎ続けました。
追い越す車は、対向車線にはみ出しながら、大きく自転車を避けてくれました。
「物好きの遊びに手間を取らせて、本当に申し訳ありませんです。」
振り返ると、十勝三股が樹海の中に埋もれていました。
見上げると、これから進みゆく橋が谷を跨いでいました。
見上げる稜線は低く感じるのに、より現実味を帯びた目先の道が「わお!あんなに高い」と思うのは何故なのでしょうか。
そして、程無くその場所に至ると、今度はその上が気になります。
私はもう、収入が増えない年金生活者ですが、財産が増えれば増える程、お金の心配が増すというのは、こんな心境なのかもしれません。
ホントかなぁ?
先ほど今の場所を見上げていた松見大橋を見下ろせば、それはそれで、今の状況は「なかなかのもんだ」と思います。
遠くに、おっぱい山が見えています。
観光バスが写真にアクセントを加えていました。
カメラのレンズに付いた水滴がちょっとリアルでしょ。
少し登っては振り返り、場所を変えては振り返りしながら、峠の頂きを目指しました。
そして16時27分、とうとう三国峠展望台に到着しました。
目の前に広がる樹海の先に、折り重なる峰々の間に、今日通り過ぎて来た、音更川の作る谷が見えていました。
そうだ、これが見たくてここまで来たんだ!
ホッホー、大したもんじゃないか。
そう、誰も誉めてくれないので、何時もの、唯我独尊、自画自賛です。
※ 他の記事へは 自転車でコスモスの島へ index をご利用下さい。
他の旅の記事は 旅の目次 をご利用下さい。